ひとやすみ
さぁ、自宅でのんびりしましょう!となったとしても、実際のところそうなるわけはありません。きっと面倒事が降り掛かるに決まっています。
「これからも一緒に居たいとは思っているんだけど、隠し事されてたことを許したわけじゃないからね?」
そんな言葉で固まるのは意気揚々と寝室に潜ろうとしていたリリーである
「ご冗談…では…ない…です?」
ぎぎぎっと首を回した金色の髪の女の子は妖精に集られている青年の穏やかな笑顔に恐怖した
「冗談に思えるかい?」
「そんな!私達はただ…」
「君たちの事じゃあないんだ。これは僕とリリーの話だからね?」
話に割り込もうとした少女達を手で制しながら優希はつげる
「さて、リリー。こういう場合はどうすべきだと思う?」
言葉にはしないものの、しっかりと意識しているそれはリリーへと届く。いや、送られると言った方が正しいのかもしれない
「せっかく予定も無いわけだから、ゆっくりとしようじゃない。ね?」
「はい…そうです、ね」
彼女の声はとても震えていたが、その理由を知るものは他にない…
鳥達が鳴き叫び朝の到来を告げ、少しだけ湿ったひんやりとした風が吹き抜ける。
魔力で動くマッサージチェアに揺さぶられながら、優希はダンジョンの構想をねっていた。
そばにあるベッドでは女の子が髪を乱してぐったりと横たわっている
「死ねば血肉は回収できる…でも繰り返し来てもらった方が1人あたりの確率は多い…」
元々優希は独りで考え事をするのが嫌いではない。こちらに来てからというもの、常に誰かと行動を共にしていたのでこのような機会は初めてなのだ。
「魔石を回収する事で低コストで魔物を復活させられる…」
考え事をする時は声に出すことによってひとつひとつ整理するのが優希のカタチだ
「誰かにクリアしてもらえば仕組みは理解してもらえるから…魔石を鍵の代わりにするか」
大まかな形はイメージ出来ているのだが、細かな事を決めながらより効率のよい方法を考えていく
「連戦となると休息の事もあるだろうし…」
やりたいことは多くても出来ることは限られている
「あぁ〜どうしたもんかねぇ〜」
悩むことに疲れたら椅子の動きに身体を任せて寛ぐ
「失礼します」
ちょうど考えるのを止めたあたりでサンディが朝食をどうするかと訪ねてきた
「軽い物と甘めの珈琲が飲みたいな。リリーはどうする?」
しばらく前に目を覚ましたものの、邪魔をしないようにと静かにしていたリリーは同じ物を頼む
「すぐにご用意致します」
立ち去る執事を見送りながら、優希は彼がより執事らしくなる姿に自分も主人として何かを学ぶべきかと考え始めた
「まずはやってみたら良いのでは無いでしょうか?修正は後からでもできますから」
そんなリリーの言葉に、かつて挑戦することの大切さを熱く語られた事を思い出しながら、優希はより具体的なダンジョンを構築する
「そうだね、やってみないとわかんないよね?」
立ち上がりマッサージチェアを片付けるとテーブルについて朝食の到着を待つ。
「お待たせしました」
するとタイミングを図ったかのようにサンディが現れる
「今朝はよい卵がありましたので」
ほんのりと甘くて柔らかいフレンチトーストを口へ運びながら今日からどうするかを考える
「美味しい」
やりたいことは沢山あるのだから、出来ることから順番にやっていこうと優希は心に決めた。
だが、今はまだ優雅な朝食を存分に堪能するのであった。




