帰ろう。我が家へ
リリーは今、150cmほどの身長となっている。昔に比べればかなりの成長だと思う。このままだと追い越されたりするんじゃないだろうか?
「これ以上大きくはなりません」
あら、考えを読まれていたらしい
「さぁ、早く出ましょう。完全に埋めてしまいます」
実験室の中では何度かに分けて襲撃があったがその都度リリーが相手をした。
「せめて穏やかに」
そんなことを言っていた気がするが詳しく聞いてはいない
ぐるりと巡った後、もう一つの出口を塞いで来た道をもどる
「家に戻ったら、しばらくは何もせずゆっくりとしてはいかがですか?」
「いいの?そんな感じで」
いつもならあれこれやろうとするじゃない?
「時には休息も必要です」
「ならまずは帰らないと。僕達の家にね」
2人と1匹が壁の穴から出ると背後の穴は完全に石で埋められた
「これで、もう二度と立ち入る事はできないでしょう」
「建物全部壊して掘り返すような事はさせないようにしないとね」
それくらい念入りに封鎖したという事でもあるが、知っている者が生きていればないとは言いきれないのだ
「で、生き残った兵士を集めたんじゃなかったっけ?」
「彼らにはカーネリアを当てています。私達は帰っても大丈夫です」
「彼女には何をさせるつもりなの?」
「次の指導者が現れるまでの繋ぎでまずは育成と復興をさせる予定です」
「もう日も落ちてるし早く寝たいよ」
「どうぞ」
外へと出た優希の前には扉がある
「…まるでどこにでも行ける秘密道具だね」
「自宅に真っ直ぐ帰れますよ?」
「いや、門を通らずに帰るのはどうなんだ?」
「ご安心ください。人形を使って街へと入っている体を整えていますので書類上は内域に居ることにななってます」
「え、初めて聞いたんだけど。僕そっくりな人形があるってこと?」
「……」
「言えない事なの?!」
「早く帰ってご飯にしましょう」
優希はリリーに押し込まれ扉をくぐる
「すこしは教えてくれてもぉ」
優希の叫びを閉じ込めるように扉が閉まると、まるで煙のように消えていく。最後に残ったのは夜の静寂といくつかの足跡だ。
その場に隠れていた何者かも、いつの間にやら消えてしまった
人類の住む大陸とは別の大陸。かつて勇者が訪れたというその大陸は今、荒れていた
「俺が」「私が」「我々が」
勇者が誕生するという予言により、大陸中の魔物や魔人が最強であることを示すために戦いを繰り広げている
魔大陸と呼ばれるこの土地で魔王を名乗ることが許されるのは、ほかの全てに実力を認めさせたもののことである。つまり、勝ち続けた者が魔王となるのである
巨人が、蛇が、龍が、小人が、獣が、機械が、幽霊が。ありとあらゆるものが、ありとあらゆる方法で力を示す。
始まりから半年ほどの時間が過ぎたが、未だ大陸は戦乱に包まれている。それぞれが理由を持ち己の強さを示すために戦う。
魔王が誕生する時は、勇者が生まれる時と重なる。つまり、勇者が生まれた時は魔王が決まった時であると言えるのだ
魔王を決める戦いは大陸全体へとひろがっているが勇者はまだ、生まれていない




