町、到着
さぁさぁ。今回もひとつ思い浮かんだよ?
「何で流れるように考えを読んで受け答えができるのかね?」
言葉に出してないよね?さっきからずっと
「説明が必要ですか?」
「もちろんだとも!!」
いつまでも考えを読まれたままじゃあエロいこととか考えられないじゃない!考え無いけど。ホントダヨ?
「コア登録後に同期したのは覚えておいでですか?今もある程度のことは流れて来るようになっておりますので、なさりたいことをイメージしていただければ対応できます」
こっちは何も感じられないんだけど?
「水は高いところから落ちるように、組み上げる必要があります」
つまり僕が、上位ってことか?
「形式上は」
認めたくないの?!
…黙秘?!
「町が見えて来ましたね♪」
そして無視!?
森のなかにぽっかりと穴が空き、ぐるりと高い城壁が町の姿を隠している。道の先には門と入場待ちらしい人だかりが見える
このまちの名前はなんというのだろうな…
「終わりの町、ヘイブンと。」
「そこはかっこよく決めようとしたところなんだからさぁ!!」
そっとしておいてほしかったね!!
ヘイブンが終わりの町とされるのは山へと至る道の最後の拠点だからだ。まだ見ぬ頂を求める冒険者が集まる最前線でもある
「はじめまして、かな?このまちへは何をしに?」
腰に剣をぶら下げた全身鎧の兵士が爽やかな笑顔を振り撒いてくる
「冒険者登録に来ました」
「じゃあそこの小屋で軽い質問をするからそっちへ行ってね」
そういって兵士は次の人に声をかける
小屋に入ると中央に机があり向かい側に顎髭をたくわえた四十程のおっさんが座っていた
「おう、すぐ終わるからそこ座れ」
向かいの椅子に座るとぞくりと背筋に冷や汗が滲む
「んっ?」なんだか今すごく嫌な感じがしたぞ?
「ふん、なかなかおちついてるなぁ?』
おっさんがこちらをじろじろと観察しながら呟くと嫌な感じは消えてなくなった
「悪いな、冒険者になろうってやつが来ると威圧掛けて耐えれるか確認すんのがきまりなんだわ」
「今のやな感じはそういうことですか」
「耐えれずに意識を飛ばすようじゃあ1週間すら持たねぇからな」
いきなり試されていたようだ
「じゃ、名前と目的、滞在予定期間を教えてくれるか?」
「僕がユーキでこの子がリリーです。冒険者の登録をしてから…」
期間、どうしようか?
「2週間程様子を見て考えます」リリーが答えた。
「そうかい、ようこそヘイブンへ。真っ直ぐ進んだとこにある広場にギルドはあるからな」取り出した紙になにかを書きながら教えてくれる
「ちなみにカネはあんのか?」紙をしまいながらおっさんが聞いてくる。そういえば無一文ダヨネ?
「素材を売って作ります」
なんの素材だ?リリーの方を見る
「なら大丈夫だな。ほれ、仮の通行証だ。ギルドでカード作ったら返しに来な」
名刺程の木の板を渡され小屋を出ると門へと向かい、通行証を見せて門をくぐる。さて、ギルドってどんな場所なんだろうな
「お疲れさんっす」小屋から出てきたら兵士に門の前の兵士が話しかける
「おう」
「どうしたっすか?かなり体調悪そうですけど」
「あの男、本気で威圧してもたいして反応しなくてよ…」
「え、軽くじゃなかったんすか?」
「軽く掛けてみたら一切の反応がなくてな、ついやってしまったんだがそのあとの台詞が嫌な感じ、だぞ?」
「それはなかなかですね。でもそれだけで具合悪くなったんです?」
「これはあの小さい女の子にだ」
「え、なにされたんすか?」
「去り際にAクラス並の威圧かけていきやがってよ、見ろこれ。手が汗でひでぇことになってやがる」
「うわ、隊長がそんなんなるって珍しいですね」
「しかもできて当たり前な感じでよぉ、正直生きた気がしなかったぜ」
「そんな強い奴があの優男と?揉め事増えそうっすね」
「揉め事ですめばいいがな…」
「ま、入っちまったもんはどうしようもないっすから、忘れて仕事に戻りましょぅ」
「そうだな。ハァ、今日はさっさと酒が飲みたいぜ」
疲れた男の呟きは風に流され消えていく