まずはギルドへ報告だ
「あなた、朝がきましたよ」
ゆさゆさと体を揺らされた優希はあぐあぐと口を動かすのが精一杯だった。その体は錆びた機械のように動く気配を見せない
今回の1晩は本能のままに行動していたため全体としてみればぼんやりと記憶に留まっている程度だ
「もう1晩…ゆっくりなさいますか?」
薄着の少女は身体を密着させるように体を動かす
「大丈夫、もう、起きるから」
体に残った疲労を魔法で消しながらゆっくりと起き上がる
「家に戻ったらたっぷり可愛がってくださいね!」
それはつまり1晩では足らないという事であろう…
「そう…だね…」
底無しのリリーを満足させるために出来ることを、優希は模索し続けるのであった
「さて、ギルドはこの街にもあるんだろうか?」
軽めの朝食を食べた二人と1匹は賑わう市場を適当に歩いている
「この道の先です」
適当に歩いたつもりがその方向へ進んでいたらしい
「配達があるんだっけ?」
「急ぎの物でしたから昨日のうちに届けてあります」
「仕事が早いね」
なれた手つきで少女の頭を撫でる
「終了報告と鍛冶屋のことを聞きましょう」
「そうだね」
「ごめんよーー!」
突如後ろから突き飛ばされ優希達は地面に転がる
「いてて…何?今の」
「財布を抜いていったみたいですね」
「えっ嘘」
パタパタと懐を探してみると、そこにあるはずの巾着がなくなっている
「追いかけなきゃ!」
「ぽちに追わせてます」
見ると付近にポチの姿がない
「なら逃げられる心配はないのか」
深呼吸をして心を落ち着かせながら立ち上がる
「じゃあ案内をよろしくお願いしますよ?」
優希が恭しく手を差し出すと少女は手を引いて歩き出す
「おまかせされました」
少女の顔はとても明るく輝いている
「はぁ、はぁ、ここまでくれば大丈夫か」
街を駆け抜けた少年は裏路地の隅で呼吸を整える
「へへ、一体いくら入っているのかなっと」
しゃがんで足元に袋を返すと見慣れない硬貨がじゃらりと落ちる
「???」
初めて見る硬貨とはいえ、色と形を聞いたことがある少年にはあまりの衝撃に思考が止まる
その瞬間少年はふんわりとした何かにはじかれうつ伏せに倒れ背中を押さえつけられた
「えっぅ…?」
かろうじて顔を捻り後ろを覗くとそこには1mにもなろうかという狼が少年の背を押さえつけていたのである
「ひっわぼっ」
悲鳴をあげようとすると顔を舐められまともに喋ることができなかった
「やっ…やめっ…ぉぷっ」
ぶんぶんと空を切る音と背中を抑える足の振動から喜んでいるようには感じられるが、しばらくの間少年は舐め続けられることしかできなかった
次回本編から離れます




