クラウスの特訓2
まずは1歩、互いに距離を取り相手を観察する。
次に半歩、体を前へ出す。まだ拳は届かない
膝を曲げて上体を前に。伸ばせばギリギリ届く距離。
膝を伸ばし、右の拳で顔面を狙う。当然かわされ右へ回り込もうとするだろう。
そこに右膝を振り上げながら上体を下げ、片手をついて重心を動かし体を回転させながら左の足をはね上げる
「面白い動きをされますね」
距離を取りながら服装を正すサンディが声をかける
「どうせ知ってる動きだろ?」
足をついて立ち上がりながらクラウスが言う
「まぁ、かつては散々な目に合わされましたから」
「なら普通にやったほうが良さそうだな」
拳を肩ほどまであげてジリジリと近付きながらクラウスは次の一手を模索する
「あまり長くはできませんからね?手早く終らせてよろしいですかな?」
「ハッ!できるものならな!!」
周囲の近衛兵達には認識できない速度での攻防が続き、最終的には1時間ほど殴り合いをしていた
「ふぅ、いい運動になったぜ」
「お強いですね?」
「手を抜いてた癖に、よくいうぜ。」
「おや、全力でお相手してもよろしかったので?」
「そんなことをしたら死んでしまうぞ。勘弁してくれ」
拳を交えたふたりは少しだけ仲良くなったようだ!
「さて、そろそろ回復したか?今日はもう終わりだ。さっさと撤収するぞ」
「明日、この場所でよろしいですかな?」
「あぁ。移動手段は任せていいんだよな?」
「えぇ、お任せ下さい。それでは皆様、また明日お会いしましょう」
そう言い残すとサンディは地面に溶け込むように沈んで消えていった
「まぁ、明日からは地獄のような特訓になるからな!」
爽やかに言い残したクラウスの言葉は、疲れた男達をさらに追い込むには十分だった
東の国の奥の奥、聖域内に住む1人の預言者が信託を受けた
「勇者が産まれる」
それは魔王が産まれ世界が戦乱へと飲み込まれる予兆。勇者が魔王を倒せれば、世界に平和が訪れる。
もし、もしも魔王の前に勇者が破れてしまえば、それは世界が暗闇に包まれるということではあるのだが…その結末はまだだれにも予測することは出来ない
「して、詳細は?」
「わからぬ…が…遠くない未来…確実に産まれると…」
その言葉は瞬く間に国を駆け巡り、国中の者達に期待を持たせる事となる
「次の妖精はいつとどくのだ!」
とある宮殿で1人の男が怒鳴り散らしている
「このままでは研究が進まぬではないか!」
男は体に余分な肉を蓄えていた
「予定では届いていてもおかしくないのですがねぇ?連絡もつきませんし…おそらくはもう」
「過程などどうでも良いのだ!お前達は準備をするといっていただろうが!」
「揃わないものはどうしようも無いですが。次の手段を考えねばなりませんね」
「クソう!」
男は机を蹴飛ばし少しでも怒りを収めようとしている
「全く、これだから人間は…」
つぶやかれた言葉は怒鳴り散らす肉ダルマには届く事は無い
次回本編戻ります




