南の国
太陽が丘の向こうに差し掛かる頃、優希達はひとつの商隊と出会っていた
「いやはや、魔物の群れに襲われた時は死を覚悟しましてねぇ」
真っ先に捕まりそうなたるんだお腹を揺らしながらふぉっふぉっふぉっと笑うのは南部から来たという中年の商人だ。
「戻るにしても壊れた馬車では荷物を運べませんし、置いていくとなれば大きな損失となりまして。1日半ほど待っていただけるならその間の護衛を依頼として報酬もだしますがいかがです?」
「何を運ばれてたんです?」
「これはサクランですよ。日持ちがするものではありますが置いておくと匂いで魔物が酔って暴れると言うので置いておくわけにもいかず…」
「待ってるあいだに馬車を手配するんですよね?」
「ええ、もし引き受けて頂けるならですが」
「ギルドへと急ぎ向かう必要があるからな…1日も待つのはなぁ」
「そうですか…」
「まぁ、買い取るくらいなら出来るんですけどね?」
「本当ですか?」
身を乗り出すようにグイグイと顔を寄せて来る中年の小太りのおっさん…とても暑苦しい
「買うと言っても値段によりますよ?戻ればすぐに出直せる距離ですし、何もしなければほぼゼロですからね?」
「ぐっ…それは…そのとうりですね…!」
言わなければがっぽり儲けるつもりだったらしい
「今ある量はどれくらいなんです?」
「馬車3台分ですね」
「値段は?」
「王都では2万コルで卸す予定でした」
「で、いくら?」
「それは…」
うむむーと商人は腕を組んで考え始める
「さっさとしてくれよ?ねる場所も決めなきゃならんのだ」
「それもそうですね。どうせ街に入れば買えるものですし見なかったことにし」
「5千でどうだ!」
「ではそれで」
予め決めておいた流れに耐えきれず商人は若干のマイナスを出しても利益を抑えることにしたようだ
「どうぞ」
魔法で予め値段を知っていたリリーが間髪おかずにお金の入った袋を手渡す
「えっあ?」
「良い買い物ができましたよ。あぁ、それはサービスです」
車輪が飛んだ馬車の折れた車軸を魔法で直し、トールさんたちの方へと進む
「ええっ!?」
「あぁ、数はあってるんですよね?」
これで値段が違っていれば詐欺みたいなものだからね
「えっと…はい、確かにありますが…」
「では我々はこれで。またすぐ会うかも知れませんが、その時はその時です」
「えっ?商品は?ええ?」
混乱して状況がよめてないらしいがもうすでに馬車は空っぽだ
「いい買い物が出来ましたよ」
早速手にいれたサクランの実を口に投げ入れながら答える
「いつのまにっ!?!?」
狐につままれたとおもって見逃して欲しいね
「お待たせしました」
「良かったのか?あの様子ならもう少し値切れたんじゃないのか?」
「恨まれても困りますからね、あれくらいがちょうどいいんですよ」
相手を追い込み過ぎると後々面倒なことになりかねないからね!
その後のトールさんはそんなものかなぁとしきりに首をかしげていた
次回は土曜日かも知れません




