引きこもりはNG
「ところで。リリーにとって僕ってどういう存在なの?」
「そうですね…都合の良い男、でしょうか?」
顎に指を当て首をかしげながら答える
「思ったより酷い!」
ますますロボットであるとは考えられなくなってきた
「もう魔法はよろしいので?」
「興奮は覚めたよ」
緊張しながら確かめていたけど教えてもらった方が早そうだしね
「では町に向かいましょう」
「なぜ!」
最低限安全の確保ができるまではこの安全地帯で鍛えるべきじゃないの!?狼とか熊とか出てきたら簡単に死んじゃうよ?!
「大丈夫ですよ、私もついて行きますから」
「え、うそだぁ?」
コアはダンジョンから出れないんでしょ?なにいってんの?
「方法はあります」
そう言いながら椅子を消して立ち上がると壁を指差し、引き寄せた。その瞬間から空間が狭まり四方の壁が近付く
「うぇってっ危ない!」
触れる程に壁が近付くとリリーは壁に手を当てた。その手を中心に壁に簡素な扉が現れる
どうぞ、と呟くと扉を開く。扉の奥は木々の立ち並ぶ場所へと繋がっていた
「石のなかに埋まりたいのならそのままでいいのですが」
出ます出ます!あわてて扉を潜るとそこは森のなかで少し先に道が見える。
振り替えるとリリーは扉のそばにいてよくみると壁がさらに近づいて扉も縮みだしていた。
扉がリリーの身体に合わせて縮むといつの間にか扉が外套へと変化しリリーの体を包み込む。
「では行きましょう」
マントがダンジョンとなっててダンジョン内部って条件は満たしてるのかな?
「いや、どこへだよ」
目的も聞かずに追い出されましたが?!
「町で冒険者登録とかできますよ?それに情報収集は戦術の基本ですよ?何も知らないままに適当なダンジョンを作ってあっさり攻略されたいんですか?」
いや、それを言われるとそうだけども…
「何より、なにも考えず魔法使い続けたら魔素がなくなって何も作れなくなるかも知れないんですよ?何もできないまま死にたいんですか?それならすぐに戻りましょうか?」
「いや、その通りだすぐに町へ向かおう!ハハハ」
危ない危ない。言われなければ延々魔法を試すところだったよ
少しあるいて道へと出るとリリーが左へとあるきだす。町の情報があるのだろうし、おとなしくついていこう
一つ気になったのは道が大型の獣道のように見える事だけだ。きっと気のせいだよな、うん
ところでだ。この世界の文化レベルってどれくらいなのだろうね?
「中世のものと代わりありません。建物は石造りが多く移動は馬が主流です」
へぇ。ってことは風呂は贅沢品なのかね?
「毎日湯船に浸かれるのは世話人を多く持つ上流階級の方々ですね。一般には汚れを落とす魔法が広く知られています」
うーん、ダンジョン内部に温泉旅館。価格も安い。どうだろう?
「立地次第でしょうね」
候補として考えておこう