捕獲作戦
砂漠へと踏み込んだ優希達は魔物に出会うこと無く黙々と歩を進めていた
「静かですねぇ」
「そうだな…静かすぎるな」
「これはますます砂亀が居る可能性高くなりましたネ」
どこか楽しみな様子のオルフェンスさんは馬を降りて歩いている
「そういえばその馬車の車輪って凄いですよね?」
トールさんはたちが連れている馬車の車輪は後付けのパーツにより車輪が横に1mほどのすのこ状になっている
「最近出来たもんなんだがな?実際に使うテストがわりでな。うまく行けば今後砂地を横断するのが楽になるって寸法さ」
なるほど、試作を試すついでに依頼を受けたのか。どうりで少ない荷物の割に大きな馬車を連れてたんだね
砂亀が現れたのは火が傾き丘の向こうにまもなくかかろうとする夕方であった
最初の違和感はざわざわと風が強くなることだった。周囲の砂はザラザラと音を立てて動き出し、次第に風に乗って舞い上がり始める
「来たようですね」リリーがつぶやく
「さて、少しだけ寄ってもらえます?」
優希は他のメンバーに対して声をかける
「何をのんきな事を!今すぐにでも逃げるべきだ!」
「逃げても間に合いませんよ。なので集まってもらった方が楽できるんです」
「楽って何をするつもりなんだ?」
今にも逃げ出しそうなトールさんたちを半ば強引に集める
「彼女が思い切って作業できるようにあなたがたを囲むだけですよ」
十分に近寄ったメンバーにドーム型のシェルターを魔法で作って囲む
「リリー!もういいよ!」
声を張ってドームの外にいるリリーにオーケーを出す。その正面には丘ほどもある砂の山が出来上がっていた
「アレの対処は彼女に任せて、皆さんは砂亀を見なかったと報告する。それだけで穏便に方がつくんですよ」
「…もし話せば?」
「その場合はそうですね…廃人になるまで記憶を削っておくしか無いですかね?」
優希には本気でするつもりは無いが形だけは脅しておく
「…本当に砂亀を処理できるのか?」
「綺麗さっぱり。何も証拠は残りませんよ」
見るとリリーはちょうど魔法を使うところであった
「豪雨災害!!」
あとから聞いた話、砂亀とは極小の生物の集合体だそうだ。それぞれが砂粒サイズで魔法を使う。だからいくら切ったとしても殆どは切れる前に横にそれるのだそうだ。1体がいくつもの砂を操る。それらが集まって形作る魔物だ。
最初にするのは水で濡らすこと。バラバラの粉を一塊にしてしまう。
「冷凍障壁!」
若干名前をつけるのが面倒になったであろうリリーがドロ状の塊を氷漬けにする。
「くらっしゃー!」
もはや名前ですらない。
砕け散った破片をぱぱぱーっとダンジョンへと送っていく。今はまだ凍っただけで溶かせば動く状態らしい。もしそれらを全滅させるのであればかき氷のように削り落としていくか、纏めて圧縮したりするのが効果的だそうだ。
こうしてダンジョンに新たな魔物が追加られたのであった。利用されるのはまだ先のことではあるが。




