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ようこそ!迷宮闘技場へ!  作者: へたすん
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妖精の花園2

机の上にちょこんと座った子供には4枚の鮮やかな緑色の羽がついていて、お話に聞く妖精さんだと直感しました。

私が彼を見ていることに気がついたのか、目をぱちぱちとさせた後素早い動きでグラスの影へと隠れたのです。

物陰からチラチラとこちらを見る妖精さんにとても穏やかな気持ちになりました。

驚かせないようにゆっくりと手を伸ばすとすぐにいなくなってしまうのですが、その出会いはとても嬉しいものでした。

お伽噺に出てくる妖精とは見たものに幸せを運ぶという言い伝えのようなものがありますし、たとえ触れないとしても出会えたことに言いようもない幸せな気持ちになれたのですから、このお店に出会えたことに感謝の気持ちが溢れてきました。

帰り際、お店の方にその事を伝えると公言されないようにと念を押されました。妖精目当てのお客が増えると妖精さんが怖がって出てこなくなる事があるそうです。

それからしばらくの間、お店に行くことはできませんでした。主人が大きな仕事を任されるようになったりと、幸運と呼ぶべき様々な出来事があったのです。

7度目に訪れた時は夏前で、日差しが強くなり夏らしさを実感する時期です。その日は普段の部屋とは違う部屋に通されました。

それまでの飾りの少ないシンプルでいて高級感のある部屋ではなく、花や飾りの多いおしゃれな部屋でした。

案内されたテーブルには花が飾ってあったのですが、その横には前回来た時に見た緑の羽の妖精さんが姿勢を正して座っていたのです。

丁寧にお辞儀をされたのでお辞儀を返すと妖精さんと握手をしました。指先で摘むような形でしたが、確かにその小さな手と握手をしたのです。

10度目に訪れた頃にはなんとなく、ですが妖精さんの気持ちがわかるようになりました。言葉を聞くことはありませんが表情や動きで想像はできますから、様子を見ながら外の世界の話やお伽噺など様々なお話をしたのです。

妖精さんも食べたり飲んだり出来ることを知ってからは、料理やデザートを取り分けて一緒に楽しんだりもしました。ほっぺについたクリームを拭う事もありましたね。

のんびりとしすぎて一緒に寝てしまった時はとても恥ずかしかったですが、今となってはいい思い出です。

通い始めてから三年目の冬の話ではありますが、私は元気な男の子を産みました。

世界には妖精に愛されし者と呼ばれる人達がいます。その方たちの特徴は遺伝ではないのに、片目が違った色をしているそうです。

そして、私の子供も片目に鮮やかな緑を宿していました。これは想像でしかありませんが、きっとあのお店の可愛らしい妖精さんの仕業に違いありません。

きっとこの子の人生には様々な試練が訪れる事でしょう。ですがこの子なら、あの妖精に愛されたのならば、きっと乗り越えてくれると思います。

この子がもう少し大きくなったら、もう1度あのお店に行く予定です。素敵な出会いをくれたとても素敵なお店に、きっとうまく伝えられないとは思いますが、私に訪れた幸運に、感謝の言葉を伝えに…

次回から本編戻ります

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