砂漠の魔物
決してキャラに名前が無いから名乗らない訳じゃないですからね?
「これでよしっと」
ぽちの首にバンダナを巻き付けた。大きくなったら切れそうだけどその時は魔法でなんとかしたい。
「じゃあ他にはもう無いかな?」
「はい」
「じゃあ砂亀について教えておこうか」
「お願いします」
「まずこの国の南南西に砂漠地帯があるのはわかるかい?そう。そこに数年おきに現れる魔物のことなんだけどね?砂漠の砂が集まって亀の形になるんだ。5m程の」
「騒がしくなってるのは討伐のためですか?」
「いやいや、砂亀は自然災害みたいなものでね。なにせ砂が集まって形作ってるだけだから刻んだところですぐに元取りさ。慌ただしいのは砂漠を狩場にしてた人達と南部に行こうとしてた人たちだ。砂漠に入れなくなるから東へ大きく迂回する必要があるんだ」
「魔物なんですよね?」
「扱いは、な?ひと月から数ヶ月で居なくなるんだが今がちょうどその時期って訳だ。君たちも死にたくなければ砂漠に入らないことだよ」
「南部諸国に行くにはどうすればいいんです?」
「南部に行くのかい?最短であれば砂漠沿いに進むんだけど襲われる可能性があるからね。他の人たちは一度東の国に寄って南部諸国に入ることが多いね」
「なるほど。ありがとうございます」
「くれぐれも気をつけてね」
ギルドの人と別れて外へと出ると、日が傾き始めていた
「お昼にしないとかな?」
「そうしましょう!」
リリーは懐から冊子を取り出してパラパラと捲っていく
「にしても砂漠の魔物ねぇ…」
たぶんリリーなら倒せるよね?
「見れば対処はできるかと」
リリーに引かれるように歩き出す
「帝国に行く前に南部に行きたいけど、南部に行く為に東へ行く必要があるってのはずいぶんと遠回りだよね」
「まっすぐ帝国に行けば問題無いのでは?」
「いや!サクランは欲しい!」
「ユーキ様がそうおっしゃるなら私は従うだけです」
「苦労をかけるね、リリー」
空いた片手でリリーの頭をなでる優希
「なぁ兄弟、エドはいるかい?」
足を止めたリリーが路肩に座り込んだ男に声をかけた
「なんだいあんた。エバはいないよ」
「だったら後で伝えてくれるか?あんたに会いにメシアが来たって」
「後で伝えておきますよ」
「頼んだよ、ビリー」
よくわからない会話を済ませリリーが男の横に見える路地へと進む
「今のは?」
「ここの人に合うための合言葉ですね」
冊子をしまいながらリリーが言う
「言わずに通ったらどうなるの?」
「ここの扉が開きません」
リリーの背後の戸が僅かに開かれる
「へぇ。どこかでやり取りを聞いてるんだ」
「早く入りましょう。迷惑はかけられませんから」
それもそうだ。ここではどんな話が聞けるんだろうね?
本当ですよ?




