今日から改めて
ひと晩。それは太陽が沈んでからまた登るまでの時間。世間一般には一泊分の費用がかかるものだが、半分人を辞めた者にとってはおよそ三日間の出来事であるのだが、彼らがその3日という時間を掛けて何をなしたかというものは広まることは無い。
優希にとっては一生忘れることの出来ない、かけがいのないものを失ってしまった時間のことではあるがそのことを知るものは…
「そろそろ朝ですよ?ユーキ様〜」
布団の中で干物のように横たわる優希にリリーが優しく声をかける
「美味しいご飯を食べませんか〜?」
ゆさゆさと体を揺らしながら様子をうかがう
「もう1晩頑張りますか〜?」
「ご飯を食べよう!」
あの生活を繰り返したら死んでしまうよ!
「そうですか、残念です」
支度を済ませ寂しそうにするリリーをつれて部屋を出る。
「昨晩はご満足いただけましたか?」
部屋の外で待機していたらしいお店の人に料金を渡すとき、そんなことを言われた
「とても良かったですよ!」
答えたのはリリーだ
「またのお越しをおまちしております」
深くお辞儀をする店員に見送られ宿をあとにする。よく良く考えるとここは宿というよりはラブホテルのような造りだったきがするのだけれども…
「ほかの部屋では遊女の方々とお戯れができるそうです」
「やっぱりか!」
それにしてもこの世界の価値観からするとあの宿は浮いているきがする。
「あのお店はジパングという名前らしいですよ」
「確定じゃないか!」
オーナーと話がしてみたかったかな
「また行けばいいんですよ。そのうち仲良くなれますから」
「それもそうだね」
気持ちを切り替えてご飯たべに行こう
「所で今日からどうするの?予定も特にないよね?」
出店で買ったパンを齧りながら相談をしてみる。金銭的にはかなりの余裕があるため無理に稼ぎに行く必要もなさそうではあるが
「まず馬車を調達しませんか?外域の工業地帯に行けばオーダーメイドで作ってくれる方もいるそうですから」
「揺れにくい馬車だね。クッションとかも欲しいよね」
「ほかにも買い物などしておきたいことは多いですからね」
懐から冊子を取り出すリリー
「クラウスさんからもらったやつだよね?それ」
「はい。この国の情報通の方とその接触方法が書いてあります」
「情報屋?気になることでも?」
「えぇ。美味しいデザートのお店も完璧です」
やっぱりいつものリリーだったか…
「そう。じゃあしばらくは食べ歩きで王都を満喫しないとね?」
「はいっ♪」
幸せそうな少女を眺めていると、こういう生活も悪くないなとしみじみと感じるのであった




