まだ死ねない
床板が大きな音を立てて落下すると優希たちは重力に身を預けて落下する予定でしたが、そうは問屋が下ろしません
「ふぅ。殺される恐怖って慣れたくないね」
口元の布を落としながら優希がつぶやく
「馬鹿な!」「どういうことだ!」
周囲の兵士達は動揺し声を荒らげる
「さて、どうしてくれようか?」
魔封じの手枷を投げ捨てながら優希は周囲を見渡す
「そう、まずは解かないとだね」
優希が手を叩くとクラウス達を拘束している縄が解けて地面へと落下していった
「どうなってんだ?こりゃぁ」
驚いた表情で足元を見ながらクラウスさんが呟く
「どう?見ての通り足元に透明な板をつくっただけですよ?」
つま先で地面を叩いてコンコンと音を鳴らす
人には効果のある手枷がリリーには効果がなかったのであらかじめ魔法を使って優希の手枷を壊しておいたのだ
「魔封じの手枷、してたんじゃねえのか?」
「器が大きくて壊れちゃったんじゃないですかね?」
冗談を言いながら優希はまた手を打つ。すると周囲の兵士達の装備がボロボロと形を変え崩れ落ちていった
「さて、どうします?クラウスさん。今なら王様狩れますけど」
いつの間にか優希の足元にはクラウスらの装備が転がっている
「まて、少し状況を整理させてもらえるか?」
目頭を抑えクラウスはなんとか呟く
「どうぞ。まぁ主犯はフェニールさんでしょうけど」
しばらくの思考のあと、クラウスさんはスッキリしない顔で呟く
「やっぱり話を聞かねぇとわかんねぇな」
「誰にです?」
「あそこのお偉いさんだよ」
クラウスはテラスに見える王国のトップを見上げた
「ならまずはあちらへ行きましょう」
優希が手を鳴らすとテラスへと続くガラスのように透明な階段が現れる
「先に行っておくが狩るのはナシだからな?」
釘をさすクラウスさんの言葉は、どす黒いオーラを纏うリリーには効果がないようで反応がない。リリーさん?くれぐれもお願いしますよ?
「…この国を灰燼に…八つ裂きでは足りない…」
り、リリーさぁん!!
ブツブツと呟く少女に耳を寄せると恐ろしいことを考えているようだった
肩を抱き寄せただけではリリーは自分の世界から戻って来ないので両足をまとめて抱えておでこにキスをするとびくりと体を跳ねさせたあと、だらりと力を抜くように顔を胸元に埋めてきた。ようやく気付いてくれたかな?
見ると耳は真っ赤に…染まってる!?もはや人形らしさを探す方が大変だよ!?
「そぅゆぅのは…卑怯です」
優希の胸元でか細い声が聞こえる
「落ち着いたなら、降りる?」
「もう少し」
腕を背中に回してぎゅっと抱きしめてくる
かわいいやつめ!
さて、国王様。お話を聞かせて頂けますよね?
優希はニッコリと微笑んだ




