疾風のジン1
「おい、聞いたか?疾風のジンがこっちに来てるってよ」
「攻略にか?そりゃまた面白そうな話じゃないか」
「他にも向かってる奴らの話があってな。また騒がしくなりそうだぜ」
「あのダンジョンも有名になったもんだよなぁ」
活気のますヘイブンの町酒場では様々な噂がささやかれている
「呼ばれてますよ?ダンナ。いやぁ、人気者は大変ですなぁ」
腰をくの字に曲げた細身で小柄な男がテーブルのむかいに座っている男に話しかけた
「悪く言っているわけではないんだ。放っておけばいいだろ」
ジンという男は、流れるように連続で攻撃を加える、華麗な剣さばきをとくいとした速度重視の剣士だ
「そうですか?ダンナがそういうならいいんですがね、へへ」
彼の正面にいるのが盗賊上がりのスチュアートだ。彼は索敵や罠外しなどの補助的なことを担当している。
彼らは役割を分担することにより依頼をこなし、先日Bランクへと昇格したばかりだ。
「で、いつ向かうんです?」
町に来たばかりの彼らはダンジョンの情報をそこまで知っている訳ではない。故にどれだけ情報収集にあてるかということだ
「噂通りなら明日。違っていれば明後日だ。突入は昼にしようと思う」
「ならまだ大丈夫ですよね?おねーさーん!ビール追加で!」
酒場のよるはまだまだこれからだ
ヘイブンから遠くない山の麓。そこにダンジョンができたのは200日ほど前だ。発見者はクラウスという冒険者とその仲間でダンジョンに潜り、いくつかの魔道具を持ち帰ったことが始まりである
彼らの話によるとダンジョンの入口には力を示せと書かれており、部屋に入ると少しして魔法が発動し大きな部屋に飛ばされるのだ。そこでは何体かの敵がおり、倒すことで扉を開けるようになるのだという。
各部屋にいる魔物は進むにつれ強くなっていく。各部屋で魔物を倒すとダンジョンに沈むように消え、星型の魔石を落とすことだという。
その後の調査で部屋を出る方法はふたつあることが分かった。ひとつは更なる強敵と戦うために先へと繋がる扉に魔石をはめて鍵を開くことで、もうひとつは扉の横にある宝箱に魔石をはめて宝箱の中身を取ること。宝箱を開くと隣に魔法陣が現れ、全員が乗ると入口へと戻されるのだ。そして、それまでのダンジョンと1番の違いはダンジョン内で死んでも入口へと戻されるということだ。
死んだ者が復活できるという謎の仕組みだがデメリットがない訳では無い。死んで入口へと戻されたものは持ち物中からランダムでなにかを失い、尚且所持金を半分ほど失うのだという。
「噂通りみたいですね」
町で情報を集めたスチュアートがジンへと告げる
「ならば長居する必要も無いな」
日が登ったばかりの時間に彼らはダンジョンへと向かったのだった




