中の人って誰?
メモを閉じるホームへ戻ると林檎の基本機能となっているものを試してみた。ホームボタンの長押しである
「はじめまして。ご用件はなんでしょう?」
「うぁっしゃべった?!」
再現率は想像以上だった
「すみませんがもう一度お願いします」
「あっとえー何から始めるべき?」
一通り試してはみるけど一応聞いてみる
「まずはコアを設定しましょう。登録は自由ですが登録されたコアをダンジョン内部から持ち出すことはできません」
「登録方法はどうすれば?」
また声に出すのだろうか?
「一覧から選択する方法と音声で選択する方法があります。」
なるほど。
「ありがとう」
「どういたしまして」
本家のAIより出来がいいんじゃないか?イントネーションや受け答え完璧だし
「ありがとうございます」
「ん?今の口に出してないよね?」
「…一覧を開きます」
実は女神でした~なんてオチはないよね?大丈夫だよね?
一覧表には藤堂優希、携帯端末、リクライニングチェアの名前があった。
「ん?自分も登録できるの?」
名前があるということは出来るのだろうか?
「可能ですがダンジョンより出られなくなります。よろしいですか?」
「よろしくない!」
登録したらダメなやつだこれ!
となるとだ、選択肢は2つしかないわけだな?
「この端末を人形ロボットにして登録とかできたらいいんだけどな」
まぁそうかんたんなことではないし小物でも作ってとうろくしようか……?
さて、発言がそのまま反映される環境で適当なことを言うとどうなるか?答えはそう、実現してしまうです。
膝にのせていた端末がむくむくと大きくなり人の形を作り出す。白黒のヒラヒラとした服に身を包む金髪ショートの少女。その手首の球体間接が人形であることを教えてくれる。体調は1メートルほどでとても軽い。彼女が顔をあげると真っ赤な瞳がそこにあった。
瞳と言っても正確には赤い宝石のようでよくみると作り物である事がわかる。
「登録を確認しました。同期を開始します」
自分の上に座っている人形の顔が近付き、おでこが触れる。
椅子に深く座っているために離れるには押し飛ばすしかなく、人形ロボットがここまで人に似た人形であるとは想像もしていなかったために優希は動揺していた
ゆっくりとした動作で人形が離れる
「同期を完了しました。以後よろしくお願いいたします」
それは、今まで端末から聞こえていた声と同じで穏やかで優しい声でした