打ち上げしましょう
王都のギルドは四方にあって、内域のギルドは北側にある。
「ふと思ったんですけどね?わざわざ内域まで獲物を運ぶことってあるんです?」
「あんたらみたいにいくらでも運べるやつはいねぇんだ。せいぜいが手押し車ひとつ分だろうよ」
「その割には広い解体場でしたよね?」
「外域ができる前の名残だ。最初からこの国がこんだけの規模ってわけじゃねぇんだよ」
「ってことは解体できる人がいないってことになりません?」
「出入りする必要があるから壁にと建物が付いてんだよ」
「職員向けの道ですか?」
「ちなみに外域側は兵隊の詰所とひとつになってるからな。当然出入りのチェックはされるさ」
悪用はできないってことだね
「ところで、だ。嬢ちゃんたしか酒樽も拾ってたよな?」
にやりと笑いながらリリーに顔を寄せるクラウスさん
「8本ありますがよくお酒だとわかりましたね?」
「好きなもんくらい見りゃわかるさ。その酒でうまい飯食いたくはないか?」
「タダとはいえ、なかなかいいお酒のようですが」リリーがちらりとこちらを見る。飲みきれないだろうし気にしなくてもいいんだけどね
「質のいい酒なら甘い物も食べられるだろうなぁ?」
「行きましょう」
美味しいものには目がないリリーさんでした
騒がしい酒場のカウンターで優希はグラスを傾けている。目の前には二つのグラスが並んでいて、それぞれにサクランボのような果実が入れられている。片方は黒い紫でもう片方は赤だ。
「お兄さんもなかなか強いね?」
グラスを磨いているのはこのお店の店長さんだ
「そうでもないですよ?」と、サクランボのような果物をかじりながら優希が答える
中まで濃い紫のぶどうにサクランボの枝がついたようなものなのだが、口に入れるとワインのような味がするのだ
「サクランの実を食べながら言っても説得力がないぞ?」
「これってそんなに強いんです?」
説明によるとサクランの実は水やジュースに漬けることでお酒になるという発酵食品だそうだ。
「少なくとも俺はそいつを肴に酒を飲んで倒れないやつを見るのははじめてだ」
美味しいのにねぇ?
「お前さんならあっちに混ざっても大丈夫何じゃねえのか?」
指さす方には酒樽を挟んで向かい合い、交互に酒を飲み合う飲み比べをしているリリーがいる
「流石にあの子には勝てませんよ」
なにせ酔わないからね、彼女。
今もまた1人の酒飲みを潰した所だ。酔っているのは演技らしく騙された名無し男達が次々に挑んでいるが、未だ負け無しであった




