黄昏る朝
リリーが戻って来るまでに偵察らしき者が来たので取り押さえて吊るしておいた。
もうじき交代の時間が来るし、クラウスさんを起こした方がいいのだろうか?
「おう、そろそろだろ?」
「起こしました?」
「いや、ゆっくり寝させてもらったぜ」
「ならいいんですが」
「連れの子はどこ行ったんだ?」
「あぁ、すぐに戻りますよ」
「そうかい。ま、あとは任せて寝ときな。お嬢ちゃんが来たら伝えといてやるからよ」
「なら、お言葉に甘えて」
「明日も頼むぜ?」
「えぇ。それではよろしくです」
焚火を離れ仮設のテントへと向かう
「にしても、アジトは遠かったんだろうかね?」
テントに潜り込むと既にリリーが横になろうとしているところだった
「帰ってたなら一声くれれば良かったのに」
「ちょうど帰ってきた所ですが、待ちきれませんでしたので」
「そう。じゃあご褒美、だね」
「はい♪」
朝までベッタリだったことはいうまでもなく
男には朝の定番というものがある。
想像してみて欲しい。腕の中に少女がいて、身じろぐたびに甘い香りが漂うのだ。正常な男性なら反応しないはずがないだろう。つまりはそういうことだ。これは自然な事で何らおかしなことはないのだ
と、言い訳じみたことを考えながら収まるように強く念じる
モミモミニギニギナデナデ
リリーさん。そこはとてもデリケートな部分なので勘弁していただけませんかね?
「おはようございます」
「おはよう。まずは手を離して頂けるかな?」
「もう少し早ければ楽しめましたのに」
「何を?!」
人形とナニをするって言うのさ!
「旦那様の身を鎮めるのも妻としての責務です」
「既に入籍している!?」
「私には魅力がありませんか?」
目元に涙を滲ませながら見上げてくる
「あっ…いや、そういう事ではなくてだな…えっと…」
「2人きりでということですね!今晩楽しみにしていますね!」
キラキラと目を輝かせながらリリーが言う
「いや、そういうことでもなくてだな…その…」
「おぅい、そろそろ起きろ〜」
テントの外からクラウスさんの声がする
「ハーイ今いきまーす」
素早く身を起こすとリリーはテントの外へ這い出る。
置いていかれた優希は頭を抱えて蹲った
「おそかったな。おい大丈夫か?顔色悪いぞ?」
「少し不安なだけです」
「そうかい。なら聞かねぇがよぉ」
クラウスさんの気遣いが心にしみる
「ではそろそろ出ましょうか」
キールさんが指示を出す
「クラウスさん。盗賊の対処ってどうなってるんです?」
「盗賊?基本生死問わずだな。軍に突き出すってのもあるが大抵はその場で断罪だな。そいつらの持ち物は発見者のもんだ。どっかにいんのか?」
「えぇ、昨日の晩に襲われそうでしたから」
「そうか…なら悪いことは言わん。情をかけるな」
「過去に何か?」
「1度道を外れると戻れねえってことだ」
「の割にはクラウスさんは立ち直ってますよね?」
「俺らはちょっとお願いしてお零れを貰ってただけで手を汚しちゃいねぇよ」
「物はいいようですね」
「世の中そんなもんさ。ほれ、行くぞ」
そうして急かされるように今日もまた王都への道を歩み出した




