穏やかな時
ゆりかごの中で揺れるように、ぼんやりとした記憶の中で綺麗な女性と話をしていたきがする。未だ意識はハッキリとせずぼんやりとしたままだ
風が頬をなでている。後頭部の柔らかな感触が心地よい
「おはようございます。ユーキさん」
まぶたを開くとリリーが顔をのぞき込んでいた
後頭部の柔らかな感触。仰向けの自分。上から覗いているリリー。そこまで意識を巡らせてようやく膝枕をされているのだと気がついた
「どれくらい寝てた?」
ずいぶんと長く寝ていたらしく体が軽く感じる
「3日程です」
「そんなに寝てたのか…」
「えぇ、そんなにです」
微笑むリリーは少しだけ大人びた印象を受ける
「もう少しこのままでもいいかい?」
こんなことめったにできないしね
「どうぞ。お気の済むまで」
リリーが優しく髪を撫でてくれる
「ありがとう」あと5分だけこうさせていて
ニコニコと微笑むリリーは天使のようで、とても綺麗だった
その後二度寝をした優希が次に目を覚ました時も変わらずリリーは髪を撫でていた
「そろそろ起きようか」
「そうですね。これからどうなさいますか?」
これから、というのはいろんな意味を含んでいるんだろう
「そうだね…まずは王都に行ってみたいかな。その後はいろんな場所を見て回りたいな。僕はまだこの世界のことを知らないからね」
「ユーキ様の意のままに、どこまででもお付き合い致します」
「そう言われるとなんだかむず痒いな」
体を起こしなながらリリーと向き合う
「でも、大切な事ですから」
「そう。これからもよろしくね」
「はい」
そう言ってふたりは微笑みあった
「ところでここはどこだい?ずいぶんと見晴らしがいいみたいだけど」
草原の丘の上に立つ一本の木。その木陰にふたりはいた
「ヘイブンから北に抜けたところです。このあたりは敵が少ないですから」
山の麓かと思ったけど少し登ったところだったらしい
「町に戻ろうか」
リリーはゆっくりと頷いて答える
「距離は?」
「全力で1時間程です」
「少し軽めで走ろうか」
リリーの訓練を受けた今の自分ならなんだか楽に行ける気がする




