ある貴族の話3
「さて、わざわざ会いに来た理由を聞いておこうか」
その日、リチャードは趣味を同じくする者と会っていた
「いつもの件で面白い事がありましてね」
「君からその話が出るのは珍しいね」
「えぇ、ご覧頂ければお分かりかと」
「ふむ。詳しく聞こうか」
会話しながらもさらさらと紙を走らせていたペンを置き、置いてあるカップに口付けながら話の続きを促した
「まず、トードー商会という個人経営の店がありまして。住所はこれです。表の喫茶店で出している黒色のの茶が癖があって美味しいんですよ」
「ふむ。それで?」
「裏から個室に入れましてね。私の紹介と言えば伝わります」
「時間は決まっているのか?」
「いつでも、だそうです」
「そうか。時間をとって行くとしよう」
「それともうひとつ、重要な話がありまして」
「…聞こうか?」
「魔道具技師が見つかりました」
「正気か?」
「ですが、確保はできそうにありません」
「そうか…可能性は?」
「ゼロでしょう。下手すれば国が消えかねません」
「冗談だよな?」
「冗談でしたら、良かったのですがね」
「そうか…」
「とはいえ、依頼出来ない事はないので話をしてみるのも楽しいですよ?」
「考えておこう」
「今日はこの辺りで。お邪魔しましたね」
「いや、気晴らしになったよ」
「ではまた。」
「あぁ、また。」
リチャードがこの勧誘を皮切りに人脈を広げていくのはまだまだ先の話である




