勇者と魔王
「魔王を倒したところで、魔物がすべて居なくなるわけじゃない。せやから倒した事にして魔物を倒す事に価値をつけた。大半の魔物は魔王の意志に従って無闇に暴れなくなるんや」
「ですが新たな勇者の誕生により魔物達が縄張りを意識して争い出したり、次の魔王次第では無差別に暴れかねないのです」
「そんな時!人類のレベルを上げる救世主が現れたんや!」
トーシは優希の手を両手で握りながらに叫ぶ
「王都、諸国連合、帝国と大幅な手入れをしていただいたようで、起こりうる戦いも大敗はしないでしょう」
「まぁ、困ったらワイらが現地に向かう予定やってんけど、おかげでのんびりできそうや」
「この際情報の共有をしましょう」
提案したのはリリーだ
「例えば?」
「戦力の話から現状の確認、対応の分担等も話しておけばスムーズに動けるのではないかと」
「いいね、それ。まずはどこまで手を伸ばしてるか教えてくれるかい?」
トーシは椅子に深く腰掛けると背もたれに身を預けながらリリーに先を促した
これにより初代勇者と初代の魔王、ドラゴンにダンジョンマスターの協力体制ができたのである。
「そううえば言ってませんでしたね?優希様の妻で元天使のリリーと言います。よろしくお願いします」
深々とお辞儀をしたリリーの言葉に、魔王と勇者は顔をひきつらせながら笑っていたという…
「そうですか…彼らも戦うことになりましたか」
「ですね〜彼らもだいぶ手を広げてますし薄々はわかっていた話ですからね〜」
広くもなければ狭くもない。暗いわけでは無いが明るくもない。ぼんやりとしていて動いているような気さえしてくる不思議な空間。そこで一人の神様と、その使いが話をしている
「頼まれたら断りきれない体質なのでしょうか?」
「ただのゆーじゅーふだんだと思いますよ〜」
女神はふふっと笑う
「動く度に何かが起こるのは運命が彼に休ませまいとしているようにも感じますね」
にこやかに笑う女神の姿に、小さな使いは体を固まらせきょとんとした表情を見せる
「どうかしましたか?」
「いえ〜女神様が楽しそうにするのが初めてなもので〜」
「あら、そうでしたか?もっと見られていたように思ってましたが」
「多分ほかの子達も見たことないって言いますよ〜」
「彼らのおかげで暗い未来がなくなりましたたからね。気待ちが楽になりました」
「本当ですか?」
「えぇ。次が最後の仕事になります」
「わかりました!それで、同伴者はどうされます〜?」
「適任を見つけてあります」
「了解です〜ひととおりの準備だけしておきますね〜」
「えぇ、よろしくね」
「そいじゃ〜失礼します〜」
背中の小さな羽をパタパタと振りながら天使は女神の元を離れる。
「勇者の旅路に幸多からんことを」
その祈りにも似た願いが叶うかどうかは、まだ確定していない。
入れたい話が思いつかなければ次話でラストです