ギルドの創設者
「で、ゲームで親睦を深めてから帰ってきたと?」
優希達は報告のためにギルドへと訪れている。
ダンジョンへと入った優希は龍の人としっかりと語り合い(物理)をして誤解を解いた後、ひたすらゲームでボッコボコにしてやったのだ。もちろんありとあらゆる手段で勝利をもぎ取った事はばれないように、だ。
「快く協力を約束してくださいましたよ?」
正確には勝つまでやろうとする彼に交換条件として差し出したのであるが…
「あの彼がそれだけで…ほんとに?」
「えぇ、何なら本人に聞いてみます?」
「いや、その必要は無いさ。君がいうんならそうなんだろう。きっと大丈夫さうん」
急にそわそわとし始めるギルドマスター藤四郎。
じっと見つめると視線をそらす
「次に合う時は一発殴ると言っておりました」
トーシの後ろにいた女性。山頂で龍の男と話をしていた人だ
「何をしたんです?」
気になったので聞いてみた
「海の向こう側には魔大陸と呼ばれる魔族の住む大陸があります。そこへ向かう際に彼に送り届けてもらったそうなのですが、お礼も無しにまた後で来ると言い残して立ち去り、そのまま自力で戻ってきたそうですね?」
トーシの方をじろりと睨みつけながら教えてくれた
「いや、あの時は本当に戻るつもりで…」
「その後、彼のことを忘れて遊び呆けたそうですね?」
「いや、、たしかに…忘れていたかもしれないけどもさ」
「見つかった時も酒に酔わせて逃げたとか?」
「そ、そんなこともあったかな?」
「今に至るまで、1度も謝罪してないそうですね?」
「ぬ…むぅ…」
反論できずにトーシは俯いていく
「安心せよ。既に来ておる」
いつの間にやらトーシの背後には赤い髪の男がたっていて俯いたトーシの後頭部に重たい一撃を加える。部屋にはごちんといい音が響き渡る
椅子から転げ落ち、後頭部を抑えて転げ回るトーシ。
「ふむ。これでようやく気が済んだわい」
にこやかな顔で赤髪の男は告げる
「あら、いらしていたんですね?」
スーツの女性は白々しくそんな言葉を漏らす
「お前さんとの話も半端だったからな」
「あの、そろそろ名前を教えて頂いても?」
優希は盛り上がりそうな2人の間に入って質問をする
「あーそういえば言ってなかったかの?」
既に説明していた気でいたらしい
「ワシは龍、としか言いようがなくてな…好きに呼べ。ちなみにコイツからは紅蓮と呼ばれていた」
「なら、僕も紅蓮で呼ばさせてもらいますね?あなたは?」
「…わたしは名乗るほどのものでは」
少し悩んでからスーツの女性はそんなことを言った
「始祖の魔王、ノヴェール。おとぎ話の悪役さ」
頭をさすりながら立ち上がったトーシが教えてくれた。
「魔王?!」
当然優希にとっては予想外の答えだった
「で、ワイが初代勇者って事。ここテストに出るで?」
その後、優希がしっかりとした説明を求めたのは言うまでもない