ドラゴンの人
(ง˙ω˙)ว頑張りまっしょい
赤い髪の男が繰り出した拳を優希はバックステップやしゃがみで回避しながらカウンターを狙い地道にダメージを与えていく
「ええい!ちょこまかと逃げ回りおって!!」
赤髪の男は1歩距離をとると腰を落とし大技のタメに入る
「ここだっ!」
駆け寄った優希は男の襟を掴み背負い投げる
「グッ!」
叩きつけられ跳ね上がる男に優希はさらに追い打ちをかける。
そして男の体力ゲージが尽きた時、画面にはKOの文字が現れる
「だぁぁ!なぜだ!なぜ勝てぬのだ!」
ヘルメット型のコントローラーを投げながら男は優希にすがりつく
「動きが直線的なんですよ。困ったらタメ技に行くでしょう?」
ふたりがいるのはダンジョンの中で目の前にはいくつかのゲームが置いてある。闘拳、バーチャルファイター、街頭勝負師、ブレイクスルー…優希の記憶にあるゲームを再現したものたちだ。電気のない世界では普及させることが出来ないので迷宮内部限定の遊びとなる。
ふたりがやっているのはそれらを元に開発した、プレイヤーが擬似的に戦うことが出来る格闘ゲームだ
「頼む!もう1回!もう1回やればきっと勝てるから!!」
「そう言ってもう3度目ですよ?そろそろ違うゲームにしたほうが良くないですか?」
「ぐぬぬ…ここまで一方的にやられてしまうと引くに引けないのだ…」
「とにかく、このゲームはこれが最後って言って始めましたからね?やるなら違う方法でやりましょう」
さて、龍のブレスはどうしたかといえばダンジョンに送り込むことで回避したのである
「ご馳走様でした!」
リリーは楽しそうに言う
『なぬっ!?』
よほどの自信があったのであろう、ドラゴンは目を見開いている
「とりあえず送っちゃう?」
「その方が速そうですね
「ほいっと!」優希が柏手を打つとドラゴンの足元に落とし穴のように扉が開く
『ぬっ?おぉっ!?』
羽ばたいて飛び上がろうとしたドラゴンにリリーの重力魔法がかけられる
『ぐぉぉぉぉ!』
ろくな対応もできずにドラゴンはダンジョンへと送られていった
「さて、名前を伺っても?」
「な、なによ、あなた達は…」
スーツな女性は尻餅をついて呆然としている
「冒険者と伴侶ですっ」
と、リリーが告げる
「さて、とりあえず彼と話をしに行くんですけどあなたはどうされるんです?」
立ち去るのか、それともこのまま座っているのか
「わ、私はもう戻らないと…」
ゆっくりと立ち上がり女性はふらふらと歩き出した
「どうぞお気をつけて」
おそらくギルドマスターの知り合いだろうが、そのあたりの事は戻ってからでも聞くことができるだろう
「じゃ、穏便に話し合いで解決しましょうか?」
優希の前に扉が開かれ、最後には誰も残らない