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ようこそ!迷宮闘技場へ!  作者: へたすん
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敗れた者へ

「はっ!」

目を覚ましたクラウスは先ほど魔物に襲われた箇所を触って確認する

「死んでは…ねぇのか?」

「死なないって言ったでしょう?」

クラウスの独り言に答えたのは優希だ

「で、ここはどこなんだ?」

あまり広くはないが特に何も置いていない半球型の部屋だ

「言うならば物置部屋ですかね?で、どうでした?迷宮に挑んだ感想は」

「感想か?攻略出来る気がしない、だ。」

「簡単に攻略されたら命がいくつあっても足りませんからそれは仕方ないですよ」

「お前はこれで何がしたいんだ?死なない迷宮なんて聞いたことがないぞ?」

「挑戦者を殺さなくても運用が出来ることがわかりましたから、宝箱でもあれば人は来るでしょう?戦いの前に人類の強化ができればいいんですけど」

「戦い?」

「えぇ。もうじき勇者が生まれるそうですよ?」

勇者と魔王は同じ時期に誕生する。それは世界全体を巻き込む戦いの始まりとなるのだ

「嘘じゃあ、ねぇんだな?」

「えぇ。現に魔大陸では魔王を決める争いが始まってるらしいですよ?」

その言葉にクラウスは目頭を抑える

「すぐに戻る必要がありそうだ」

「そこの宝箱に報酬と説明の手紙を書いてますんで、冒険者ギルドへ伝えてもらえます?」

「他の奴らはどこにいんだ?」

箱から手紙とアタッシュケースのような箱を取り出しながらにたずねる

「そろそろ町に着く頃じゃないですかね?あぁ、そこの転移結晶で町の近くまで飛べるようにしてますんで」

「そうか…」

壁の近くには青白く光る拳ほどの石が浮いている

「言いたくねぇなら聞かねぇが…お前、死ぬ気だろ?」

クラウスは振り返ることなく優希に声をかける

「誰かのために命をかけるって感じだ」

出口へと歩きながらに言葉を続ける

「独りで背負い込むにはお前はまだ若過ぎるとおれはおもうぜ?」

そう言い残して転移結晶を起動させると、すぐにクラウスの姿は部屋から消えた

「明確な対象が無いんだよなぁ…」

優希の呟きは誰にも届かない




その日、優希は空を見上げていた。

「綺麗だなぁ…」

今の彼に出来る事はほぼ無いに等しい

「もうすぐです」

リリーは敵が来るまでに時間が無いことを告げる

2人がいるのは周囲に遮蔽物のない広い場所だ。優希はリリーに連れてこられたようなもので場所がどこかはわかっていない

見渡す限り人も動物も植物もなく、あるのは地面だけである

「いきなりすぎやしないかなぁ?」

「今が一番良いタイミングです」

「で、ここで戦うと?」

「持久戦の事を考えればダンジョンの中で戦う方が有利です」

「まずは引き込まないとダメってことだね?」

「…来ます」

振り返った2人は土埃を上げながら駆け寄る姿を見る

「まぁ、出来ることを頑張りますか」

身長は170程度の肉付きの良い人形の魔人。肌は黒曜石のような黒。額には小さな角が生え、纏う衣服はぼろ布のようだ。

その男の瞳は熱を滲ませていて、戦闘狂と呼ぶにふさわしいものだった

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