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キミは隣  作者: サン
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Story-3『マンション』

 そのマンションは、上野にある某有名美術大学のすぐ近くにあった。17階建てで、少し古い物件であったため、1DKで賃料4万円。おまけに敷金礼金は無し。大家さんもこんな条件のいい物件はめったに出ないと言っていた。

 早速大家さんに連れられマンションを見に行く事に。行く途中、少し遠回りをした。近くにはたくさんの古い寺が並んでいて、太陽に照らされた木の暖かい温もりが薫り、梓はより一層足取りが軽くなった。たった数百mの道のりが長く、また短くも感じた。暫く歩くと、大家さんが空の向こうを指を差して言った。

「ほら、あのマンションだよ」

二人の目線の先には薄い灰色をしたマンションが。綺麗な姿勢でとても清潔な育ちの良さそうな建物だった。梓の目にはとても堂々としたマンションの像がくっきりと映っていた。その後大家さんが何か言っていたみたいだが、梓には何一つ聞こえていないようだ。 5分後、とうとうマンションにたどり着いた。

「綺麗なマンションですね〜」

梓は心からそう思っていた。

「えぇ、ここらは環境もよくてね。ホコリとかもあんまりしないんだよ」

「でも、こんなに素敵なマンションなのにあんなに安いなんて。何かあるんじゃあ?」

「安心して下さい。うちは数で勝負してるんで安く出来るんですよ。」

「へぇ〜」

そんな会話をしながら二人はエレベーターに乗った。少し窮屈に感じたが、不自由ではない程度なのであまり気にはならなかった。

エレベーターはゆっくりと上がって行き、9階のランプが点灯した時動くのをやめた。ドアが開き、5、6歩ほど進むと壁があった。そこを右に曲がると目の前には長い直線がのびていた。シンプルな両壁には一定間隔でドアが並んでいた。大家さんは梓を導くように歩いて行き、急に足を止めたので梓は危うくぶつかりそうになった。

「やっと着いた。ここだよ」 梓は視線を上にずらした。そこには『960』と書かれていた。

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