極秘ダンジョン
追加オーダーを済ませ、宿に戻った。人型になったベリーには『苺』と名付けた。元々、ピンクなのでバニラ、チョコ、ストロベリーで3色アイス完成って命名だったので、迷わず決定。
取り敢えず、ダブダブだがバニラ達に三姉妹が買った服を着せて、服を買いに出かけた。
舞愛になった時の裕子達や、糸と蘭になった時の三姉妹の行動を参考に、必要な物を揃える。基本、糸と蘭に買った様なものを苺のサイズで選ぶ。変身対応の首輪が出来れば、必要無くなるし、食料品や生活必需品は割安なのに、衣料品や酒、茶等嗜好品とか贅沢品がかなり高いので最低限、ただ小さくなった時の糸と蘭とお揃いのワンピを見つけ、思わず買ってしまった。
2人も気に入った様で、キッズモードになって、3人で着ると、店員達が集まり、帽子やリボン、靴に靴下、その他様々な小物を合わせて、ファッションショー。流石に何も買わずにいられなくなり、自分で選んだワンピに合う靴を購入。そのままお揃いで着て店を出た。
さて、夕食の時間。子連れで入れる店は見当たらない。ポーチの食材でなんとかする事も出来るが、そんな気にはならない。
「うーん、若い女子3人組は、ナンパの対象だったけど、3人の子連れママは対象かな?ふふ、試してみよう!」
「いらっしゃい!ん?酔っ払いが騒がしいけど良いかい?」
「すみません、場違いの客で。」
「ああ、ウチは構わないぜ、呑兵衛向けのメニューしかねぇけど、ちょっと考えっから。ママさんはビールか?」
「あ、ハイお願いします。」
隅の席に案内され、ジョッキのビールと子供が持ちやすい小さ目のグラスに果実水が運ばれて来た。骨つきや串に刺した肉に齧り付くのがココのスタンダードらしいが、小さく切って、出してくれた。苺も器用にフォークを使い熟して、嬉しそうに食べていた。流石にビール1杯じゃ申し訳無いので、胃袋を浄化しながらもう1杯、子供達も満足した様子なのでお支払い、大喰いの男達向けの料理を小分けにしたからと、ほぼ1人分の様なお会計、酔っ払いに絡まれないよう、そっと送り出してくれた。
店から宿迄は、ほんの数軒だが、
「よう、よう、ママさん!ずいぶんと若いママさんだな!幾つの時からマタ開いてたんだ?」
暴険者風の男達が絡んで来た。
苺は舞愛と視線を合わせてニッコリ、絡んで来た男達は、失神して倒れた者、一目散に逃げる者、頭を抱えて座り込む者等等、一瞬で邪魔者は居なくなり、宿屋に戻った。
「あそこの店って、戦前は家族連れも入れる食堂だったんですよ、家族で外食する程余裕のある人は滅多にいませんからね、冒険者向けの飲み屋がほとんどなんです。」
見掛けは復興が進んでいるが、中々末端に行き渡るまでには至っていない様だ、街を焼け野原にしないように、主戦場を無人の避暑地にしたが、羅峰寺の攻撃は想定外で思わぬ打撃を与えてしまった。復興に協力出来る様、王姉、北都将軍と相談しようと舞愛は決意した。
翌朝は、糸と蘭は冒険者登録した姿、苺はベリーになってギルドへ行く。普通にカウンターに並ぶとまた騒ぎになるので、オープン前に通用口から応接室に入るよう打ち合わせ済み。
ギルマスが提案したのは、非公開のダンジョン。紫峰義時代、軍が管理していて、深層についてはトップシークレットで軍の上層部は全滅、資料も残っていない。ギルドが立ち上がった当初、幾つかのパーティーが挑んでいるが、帰ってこなかったそうだ。
今日も実花が同行、恒夫という、ギルマス補佐をしている男性が案内についた。
ダンジョンまで、ギルドの馬車で移動した。到着したダンジョンは、ダンジョンとは解らないように塞がれていて、直ぐ側に小屋が建っている。
見掛けはどこにでもあるような山小屋で簡単な木造だが、何か特殊な金属と、魔力遮断効果の高い石材で堅牢に作られ、更に厳重に結界で護られている。
「今、解除します、少しお待ち下さい。」
恒夫は結界を解くと、ズボンのポケットから1つ、上着から1つ、肩掛けカバンの別々のポケットから1つずつ、計4つの鍵を出して小屋の扉を開けた。全員が中に入ると、内側から鍵を掛け、結界を施した。
「では、真ん中付近に集まって下さい。」
舞愛達がそれに従うと、恒夫は呪文を唱える。床一杯に描かれた魔法陣が光り、小屋全体が目を瞑っても眩しい位に輝いた。ほんの数秒で輝きは収まり、ギュッと絞られた瞳孔が元に戻った時には、視界は全く別の岩肌に変わっていた。舞愛は周囲の雰囲気と、遠巻きに様子を覗っている魔物の魔力を考慮し、
「うわッ!結構深い階層ですよね?」
「ええ、このダンジョンでデータのある最下層の54階層です。大熊領で活躍していた腕利きの冒険者達がこの先に進んで帰って来ません。かなり危険だと思うんですが、ギルマスは無謀な事は一切しないタイプですので、貴女なら大丈夫と判断したのですから、安心・・・いや安心な訳無いですよね!私達はココてお待ちしています。」
「あ、ハイ。でも実花さん?撮影は?」
「この前のダンジョンクリアしてから、遠隔で映せる様になったんです。多分この扉の向こうがラスボスです、舞愛さん達がやっつけた後追いかけますね!」
「ソレは便利ですね、実花さんを護る分、魔物に集中出来るわ!」
舞愛も実は、ギルマスが言うから仕方が無く連れて来ているので、1つ肩の荷が下ろせた。早速扉を開け、階段を降りて行った。




