王城の不審者
「「「ありがと、昴。」」」
舞愛に剣を返し、防具の光が消えると、三姉妹はバタリと倒れた。
階層クリアしたようで、下層への階段が現れたが、先ずは三姉妹をヒール。防具を外すと、形見のネックレスの所が、強過ぎる魔力を浴びた時に出来る青痣がクッキリと付いていた。
ヒールしようと思ったが、直ぐに目を覚ました。3人共、魔物の体当たりで気を失い、そこからの記憶は全くなかった。舞愛が持つ3振りの大剣を見ても特に反応は無く、飛ばされた盾を拾いに走って行った。
体調を確認、全く問題無いと言う事で、階段を降りた。今まで登山道っぽい自然のままか、階段でも、それほど人の手が入ったイメージじゃ無かったが、長い階段は途中から、キッチリ加工した石段に変わっていた。
降りた所も人工的なフロアになっていて、学校の教室程度の広さで、中央に魔法陣が描かれていた。魔動車を出し、バニラとチョコはペットモードになって乗り込んだ。魔法陣の上迄徐行すると、街道から転移した時と同じ魔力を感じ、同じ浮遊感、同じ様に着地すると、見覚えのある風景、記憶を辿ろうとしているうちに、騎士隊に包囲されてしまった。王城のエントランス前の広場だった。
城内に突如魔動車が現れたと言う事で、大騒ぎ。騎士団の幹部も駆け付けた。騎士達は、遠巻きに監視するだけで、幹部が到着してようやく職務質問。
「武器を持たずに、車から降りなさい!」
指示に従って外に出る、
「どこの、誰だ?」
「北都の女子校生の舞愛と申します。」
「どうやって、ここに来たんだ?」
「南の港町から北都に戻る途中、王都の手前で多分転移の魔法陣に入ったんだと思います、大蠍がラスボスのダンジョンに飛ばされ、最下層の魔法陣でここに転移してきたようです。」
「何だと?魔物を連れているな?なんだ、仔犬じゃないか。魔法陣の誤動作か?うーん・・・」
王都に凶暴な魔物が持ち込まれないよう水際対策で、Cランク以上の魔物には警告音がなり、Aランク以上なら、未踏破のダンジョンに転移させる仕組みとのこと。意外とあっさり解放された・・・と思ったが、
「ちょっと待ちなさい、その魔動車どこで手に入れたんだ?」
「これは、パーティーの所有で、プレアデスのメンバーです。」
と、ギルドのカードを見せた。
「偽造では無いようだが、プレアデスは俺も知っているし顔も覚えているが、お前の様な方は居なかった筈だが?」
「はい、昴が一時離脱しまして私が臨時メンバーになってます。」
「そうなのか・・・?」
王がアテにする程のパーティーに、女子校生バイトが居る様なイメージなので、イマイチ納得はしていない。
「で、そっちの3人は?」
「寮で同室の学友です。」
「自分で名乗りなさい!」
不愉快そうに怒鳴り散らす。
「水瓶領、伯爵家長女・美奈でございます。」
「同じく、次女・結花でございます。」
「三女・澪でございます。」
「伯爵令嬢でいらっしゃいましたか!大変失礼致しました!」
平謝り。
「いえ、お気になさらずに。」
三姉妹は余裕の微笑みだった。今度こそ解放?
「待ちなさい!伯爵令嬢を騙るとは不届き千万、牢にぶち込みなさい。」
敦也と同世代で山羊領伯爵の勉が遮った。
「養女とは言え、血縁なのだろう、敦也殿の末娘に良く似ていた。親友の孫娘じゃ、儂はしっかり顔を覚えておるぞ!さっさと捕まえなさい!」
と、騎士を煽る。
「お待ち下さい、勉殿!」
「おや、小娘、儂の名を知っておるのか?待ってどうする?」
舞愛はポーチの土産の中から、18年物の激レアワインを取り出し、
「こちらをご覧ください!」
「ん?水瓶のワインじゃな?んん!あの年のモノじゃな?昴が?」
「はい、お耳を拝借しても?」
「ああ。」
勉は手招きした。自分が変身した経緯、三姉妹が変身していた経緯を話した。
「俄には信じられんのう。」
「奥様はお元気ですか?」
舞愛の指が眩しく輝くと、
「おお、その節は世話になった、今宵は王都泊だろう?疑った詫びじゃ、ご馳走させてくれ!」
「ありがとうございます、では魔動車と荷物を離れに置いて来ますね。」
今度こそ解放されたが、夕食の時間は拘束されることになった。
離れでは、すんなり受け入れられた。少し拍子抜けしたが、
「城に入って来られて、魔動車を乗り回す人って、プレアデスの皆様以外に想像かつきませんから。」
あっさりと答えるメイドは、全く当然過ぎると、舞愛の反応に首を傾げていた。
夕方、執事風のおじ様がお迎えにやって来た。
「こちらが、先程仰っていたお嬢ちゃんですね?では、参りましょう。」
ちょっと嫌な予感がした舞愛だったが、もう避けられないので大人しくあとを歩いた、勉は既に席に着いていて、更に上座が空いていた。予感が当たった様で空いた上座の人物も現れた。
「まぁ、そうだよね。」
舞愛はボソッと呟いた。
「昴殿、いや舞愛殿?舞愛ちゃんかな?」
にこやかに、空いていた上座についたのは王だった。
三姉妹は、特に緊張もしていない様子で、その雰囲気のせいか、舞愛も少しだけリラックス、何とか乗り切った。




