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三姉妹の素性

 遠足のノリだった三姉妹も、流石に墓前では神妙な表情になり、跪いて祈りを捧げていた。

 敦也が重い口を何とか働かせる。

「君等の本当のご両親だ。儂の命の恩人でもある。君等がまだ小さかった、12年前の事じゃ・・・」

賊の襲撃から領主を守り、毒ガスで帰らぬ人になってしまった事を話した。

「育てて頂いた上、立派なお墓でご供養して頂き、ありがとう御座いました。」

美奈が深々と頭を下げると、結花と澪もそれに習う。

「命の恩人なのだ、当たり前の事をしたまでじゃ。余りにも早く毒か回る煙でのう、ご両親達の最期の言葉は聞けなかったが、間違いなく、『娘を頼む』だった筈じゃ。何とか、それだけは叶えたいと思ってな。」

「澪はね、犯罪者の娘だから、記憶を消してくれたんだと思ってたの。本当の両親が亡くなったのは悲しい事だけど、お祖父様を救ったなんて、予想の正反対ね!自慢のパパとママね!」

「結花は奴隷だったから、本当の両親なんて解らないんだと思ってたの、お祖父様もお父様もお母様も大好きだけど、パパとママも大好きになったわ!」

「うーん、儂の気苦労だったようだ。」

「いえ、敦也殿。心豊かに育ったからこそ、悲劇も耐えられるんだと思いますよ。」

「きっとそうね!お祖父様!」

「ああ、そうであって欲しいものだ。ではコレを渡そう、母の形見だ。ただなぁ・・・」

一つの宝石箱を開けると、ネックレスが3本、

「済まぬが、美奈と、澪の物がどちらか解らんのだ。」

敦也が眉間に皺を寄せると、

「大文字の『M』がみなみ、小文字の『m』が美音、『y』が結依です。」

「良く解るな、と言うか、どうして解るんじゃ?」

「舞愛がプレゼントしたの、コッチの世界に来て最初の狩りで、たまたま金鶴捕まえたから、記念にね。」

それぞれの首にネックレスを掛け、

「3人ともあまり似ていないねずっと一緒だったのに全く気付かなかったからね!」

「ああ、ソレももう要らんな、指輪を外しなさい。」

指輪を外した三姉妹は、黒髪黒眼に変わり、何となく水瓶家の系統に見えていた顔が、それぞれの母親ソックリになった。

「出生をとやかく言う奴等もおるのでな、臣吾の妹に似て見える魔具を付けさせていたんじゃ。」

変身した本人達が一番驚いていた。

「みなみの娘が美奈って、解りやすいね。もっと捻りの効いた名前にしそうな感じだったんだけどなぁ。」

「ああ、名付けは儂じゃ。ギルドのカードで親御さんの名前は解ったんだが、子供の名前はどう調べても解らなかったんでな。誰の娘なのか解りやすくしておこうと思ったんじゃ。」


 三姉妹の記憶の件は、ミッションクリア。記憶が戻った場合、トラウマの様にならないかが心配だが、あまり深刻に考え無くても良さそうだ。舞愛のミッション、旧友の再会は、墓参りと言うカタチになってしまったが、一応達成。舞愛は微妙な感覚だが、三姉妹は充実した表情だった。


 屋敷に帰った舞愛は、味の分からないランチを食べて、客間でまた天井を睨みつけていた。

「舞愛お嬢様、夕食のお時間です。」

メイドさんが呼びに来た。


 食堂はテーブルが円卓に変わっていた。

「大旦那様と、旦那様で舞愛殿の隣りを争いそうですからね。」

満が小声で解説した。

現伯爵の臣吾が帰り食卓を見て、

「早かったな、ん?お客様?」

娘達の友達が、先代の隣りに座り、その隣りが自分と言う並びに首を傾げた。満に促され舞愛の隣りに座り、

「娘達のお友達ですね?ようこそ水瓶領へ。」

極々一般的な挨拶、全く心当たりは無いが、既視感があり、周りの様子を窺うと、自分が気付くか試されているように感じた。

 ワインが運ばれて来ると、

「ま、まさか、昴殿?」

昨晩の敦也とほぼほぼ同じ反応だった。

 昴の活躍は、既に知れ渡っているので、舞愛になってしまった事から、三姉妹の実の両親が、昴と一緒に転移して来た元同僚だとダイジェストで話した。ここでのリアクションも父親のコピーだった。


 昴の名刺代わりになったワインは、王都、西都、北都で昴とトーラスに追いやられたアウトロー達が流れ込んだ時に、昴が乗り込んで窮地を救った時の記念ワイン、葡萄は歴史的な豊作だったにも関わらず、落ち着いて酒造りしていられる御時世でなかった為出来は良いが生産量が少ない激レアワイン。その中でも質の良い物を保存、昴の魔法紋をキーにしていたので、本人がいなければ取り出す事は出来ない仕組みになっていた。


 昨夜と同じ流れで、敦也の部屋で4人で飲んだ。

「その襲撃事件のあとは片付いたんですか?」

「黒幕は掴めていません。丁度、昴殿の牡牛領に人が流れる様になった頃で、貴族同士のバランスが変わったんです。それで、狙う必要が無くなったのかと思いますね。」

「では、今でも安心と言う訳でも無いのですね?」

「その心配とありますが、スパイらしい不審な者が、めっきり減りました。獅子ケ谷の手先が一掃された時期ですので、あの件も奴等かと。」

 領の幹部は血縁や古参で占め、その関係者だけで領を運営しているので、獅子ケ谷の勢力は入り込む余地が無かった筈、それを打破する為、領主の暗殺に踏み切ったと考えるのは、かなり現実味を帯びている。その後の経過からも、まあ安心しても悪く無さそうだ。敦也が酔い潰れ、満がベッドに運んで飲み会はお開きになった。

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