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騙された魔法使い

 市街地を抜ける頃、何か大きなゴミ(?)が落ちていた。路肩にはみ出せば通過出来ると圭織は手綱を操作した。

「え?ゴミじゃ無く人間だ!」

圭織は、馬車を飛び降りて様子を伺うと、何とか息はしていたが、放置すれば間違い無くあの世行きだろう。

「昴、頼めるか?」

裕子が怪力で馬車に運んで、ヒールの準備、座席に寝かせて下着を少し下ろし毛布を掛けた。

 昴は、恒例の長い詠唱で金色に輝く人差し指を挿入、しっかりと魔力を注ぎ込んだ。

 毛布から出ていた皺とシミで覆い尽くされていた顔はきめ細やかな美白肌、所々グレイが混じったパサパサの白髪は、艷やかな黒髪に変わっていた。毛布の中でも同じ様に変化しているだろう。手応えを感じた所で指を抜こうとすると、

「あら?見ず知らずの男性が、どこ触ってるの?」

慌てて手を引っ込め、

「あの、じ、実はですね、その、ええっと・・・」

「冗談よ、凄いヒール使うのね。解呪も出来るなんて、Sランクかしら?」

「あ、ハイ、一応。」

「ふーん、私はひとみ。Cランクの魔法使いよ。あなた達は4人パーティーかしら?」

「いや、僕は引退していて、3人に護衛を頼んでるんだ。昴って・・・」

「じゃあ貴方は結構よ。」

3人に向き直り、

「では改めて。私はひとみ、Cランクの魔法使い。パーティーに加入してあげるわ!」

「えと、誘おうと思ってたから丁度良いわ、宜しくね、あたしは裕子、Cランクだけど、身体強化とダメージ回避のスキル位で、冒険者として何が出来るかまだ解らないの。」

「ボクは圭織、パーティー参加、歓迎する。元、騎士隊の中隊長。訳あって除隊、冒険者デビューしたてだ。同じくCランク。」

「わたしは真理、貴族令嬢の家庭教師をしておりました、少しゴタゴタがありまして、お二人とパーティーを組む事になったのですが、結界を張れるだけで、何も出来るとは思わないのです。足を引っ張らないよう頑張りますので宜しくお願いします。同年代の人で良かったわ。」

「私はハタチよ、どう見ても3人とも15、6でしょ?」

「ボクは21だ。失った両腕を昴のヒールで治して貰った時の副反応のようだ。」

「わたしは22よ。」

「あたしはハタチ、同い年ね!」

ひとみは昴を振り返りながら、

「折角、舐められないオトナになれたのに、また小娘に逆戻りか。」

ボソッと言い捨てた。

「ところで、何があったんだ?こんなところで倒れるなんて。」

「ああ、最近入ったパーティーのメンバーに騙されてしまい・・・」

襲われた経緯を話した。


 転々とギルドを渡り、ソロか、臨時メンバーで活動していたひとみは、久々に王都に戻り、臨時でパーティーに参加した。男3人なので、女性冒険者は敬遠するものだが、全員がEランク、束になってかかっても、負けない自信があったので、簡単な魔物駆除の依頼に参加した。

 極普通に、依頼を熟し、初日は宿に泊まった。勿論別々の部屋で、夜這いの気配も無かった。

 2日目も順調、夜はテント泊。ひとみは自前のテント。結界が張れるので不安は無かった。

 夕食の後、

「この後、強いのが群れで出て来る筈なんだ、それで、コレ使ってくれよ。」

 自分が着けていたネックレスを外し、ひとみの首に掛けた。魔力が約2倍になる魔具との事。元々、女性向けの3連チェーンだからと、他の2人からもネックレスが掛けられた。

「えっ?騙したのね?」

「もう気付いたの?流石はCランク!それ、一本で魔力を10分の1にするヤツだからさ、あんた今Fランクだぜ、今の魔力じゃ、外せ無いだろ?」

「結構賢いんだね、自分が着けていたらマイナスの魔具だなんて思わないわね。」

3人掛かりで押し倒そうとしたが、ヒラリと躱された。ひとみは魔力を10倍にするブレスレットを装着していたので、現状Eランク相当。Eに見えていた男達は、ネックレスを外してDに戻ったので、かなり不利な状況だが、魔力のビハインドを技とスピード、コントロールで補い、一進一退で人通りのある街道迄逃げ延びた。

「畜生!ちょこまか逃げやがって!これでも喰らえ!」

渾身の魔法は、真理を捉えた。

「バカヤロー!!ソレ使っちまったら、その後のお楽しみがパァだろ?」

術に苦しむひとみはみるみるうちに老婆になってしまった。

 体力を無くしたひとみは、ボディーブロー一発で沈み、身ぐるみ剥がされボロ布一枚で捨てられていた。


「災難だったね、ちょっと失礼!」

昴は、ひとみからネックレスを外し、

「これで良しっと!僕は外に出でるから、服を借りてね。次の町迄、それで我慢してね。」

「ちょっと、なに?ダブダブの胸を見てわたしの貧乳を笑うつもり?ソレ貸しなさいよ!」

昴のシャツを奪い取った。一応、ワンピース程度の丈はあるが、サイズが合わなくても、レディースを借りた方が良さそうに思うが、それはそれで眼福と、チラ見を楽しむ昴だった。

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