期末試験
転移からの経緯を都合の良い所を掻い摘んで話した。落ち着いて数えると、22年もコチラで過ごしている。元の世界で生きた時間に迫っていた。
元は男性だった事には触れずに、辻褄の合う説明は、事前に用意していたので、なんとか納得の語りが出来ていた。
「では、父母と同年代という事ですね?」
「そ、そうだね。」
「では、いつから女性に?」
「やっぱり!」
魔法の副反応で若返って、性別も変わってしまった事を打ち明けた。
「いつから気付いてたの?」
「元は男性だと思ったのは初めてココで会った時よ!ね?」
結花と澪が頷いて、
「年齢に気付いたのも2、3日目かな?そんなに上とは思わなかったけどね。澪は5つ位上かな?って!」
「結花は、10は違うと思ってたけどね。」
「美奈もそれくらいかな?」
「他のクラスメイトはどうかな?」
美奈が首を傾げながら、
「多分誰も。舞愛の言うフワフワの娘達は心配無いわ、それ以外の2人ね。」
「信子さんは舞愛の事ライバル視してるからそんな事気にならないんじゃないかな?澪はどう思う?」
「そうね、沙知代さんは魔法しか眼中にないよね、1番安心かも!と、言う事で口止め料!」
「「いいね!」」
舞愛が恐る恐る、要求を尋ねると、
「小さい頃の記憶を取り戻したいな、舞愛の魔法なら出来そうな気がするわ!」
「臣吾殿の様子を確かめてからじゃ駄目かな?思い出さない方が幸せかも知れないでしょ?」
「そうね、でもどうやって父と?」
「夏休み帰省するでしょ?その時、舞愛も一緒に行ってお父上の考えを探って見るわ。あそこには古い友達が居るから、久しぶりに訪ねてみようかなって!」
「嬉しい!舞愛と旅行なんて思っても見なかったわ!」
「何、着て行きましょう?」
「馬車は・・・」
上機嫌の3人に、
「その前に定期テストだよね!」
グイっと現実に引き戻した。
3人共、算数と社会の一部が苦手で、赤点の心配があった。社会の一部とは、貴族同士の交流関係。他のフワフワ系の娘は、元の世界で言うと、芸能人の誰と誰がくっついたとかのゴシップ系の話題に飛び付く感じで、勉強とは感じていないのかも知れない。
補習で夏休みが削られるのは勿体無いので、先ずは算数の特訓。小学生の頃習っていたソロバンを教えて暗算を繰り返す。短期間でマスター出来るものでは無いが、ここの標準なら、まあ赤点は回避出来そうだ。
息抜きを兼ねてフワフワのお嬢様達とお喋り、自然とゴシップネタ・・・いえ、貴族達の交友関係を学ぶ事が出来た。
一応試験勉強をして、週末がやって来た。舞愛は課題をいくつか出して帰省、美貴の新作・魔力抑制ネックレスをゲット。普段はプラチナの輝きで、光の差し方で虹色に。
「今の3連の一本よりも細いのにこれで一億分の1なんだね!輝きも素敵だし、こう捻ってるから複雑に反射するんでしょ?」
「お、お姉ちゃん、そこまで理解出来るんだ!!女子力、爆上がりだね!」
早速付けて簡易測定器で魔力チェック。しっかりFランクに落ちていた。簡単な魔法を試して、ひと安心。
「封印する方法は見つかった?」
「・・・あっ、、封印ね、封印。うん、なかなか資料が見つからないのよね、ま、焦らずやってみるよ。」
何となく、反応が鈍いと言うか、今まで忘れていたかの様だった。確かに急ぐ事は無いが、ずっと持ち歩いている舞愛は肩の荷を降ろしたい気分なので少しガッカリしたが、あとは、いつもの週末を楽しんだ。ローテーションは真里だったが、舞愛の攻めに終始し、攻守交代は無かった。
寮に戻って月曜日。学校全体をやや憂鬱にして試験の日がやって来た。意気揚々なのは信子だけかも知れない。初日は国、数、社のペーパーテスト。舞愛は何も心配無いが、ルームメイト達には大きな試練。1時間目・国語が終わり満面の笑顔。2時間目・算数のあとは苦笑い。最後の社会では、自然な微笑みだった。
2日目は剣術と魔法の実技試験、コチラは何の問題も無い・・・と思っていたが、
「舞愛さん、ネックレスは外して下さいね。」
火球を的に当てるだけの試験だが、よほど気を付けなければ、最小火力でも、的は焼き尽くすだろう、最悪実習用のグランドや、その外の果樹園が大破する事も考えられる。
「的の周りは先生が結界で守ってますから、遠慮無く放って下さいね。」
舞愛は結界の術式を読み取り、魔力を追加して、グランドの外の安全を確保した。細心の注意を払い、最小出力で魔力弾を放つ。的は燃え尽きたが周りの地面は少し抉れて、表面が、土器の用になった程度で済んだ。
「先生!大丈夫ですか?」
結界を張っていた教師が、魔力枯渇で倒れたが、舞愛がヒールして取り敢えず復活、新しい的で試験は継続出来た。
剣術の試験でも、ネックレスは認められず、身体強化が発動しないよう気を付けて剣士人形と戦う。フワフワのお嬢様達はかなりの苦戦、それでも合格水準が、かなり低い様で、大半が合格。ルームメイト達はあっさりクリア。舞愛は人形を壊さないよう、剣を払い落として首に剣を当てて勝利を確定させた。無事完了と思ったが、人形の腕が大破。予備を出したりして大幅なタイムロスを発生させてしまった。




