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御令嬢の懐

 ほぼ手ぶらの舞愛は、校舎を探索してから寮に戻った。他の生徒の動きを真似て、寮母に挨拶、一応部屋割を調べたフリをして、部屋に向かった。

 ノックをすると返事あり、同室の娘が来ているようだ。

「ただいま!改めまして、僕、舞愛です!よろしくね、美奈(みな)さん、結花(ゆいか)さん、(みお)さん!」 

「「「?」」」

「まさか、もう全員覚えたの?」

「いえ、他の皆んながフワフワのイメージで、キリッとした人が少なかったからね、その中で三姉妹ってやっぱ印象に残るでしょ?」

「そこまでお見通し?実は美奈達、養女なんです、親は平民だと思う、教えてもらってないけど。元々の貴族じゃ無いから雰囲気も違うんでしょうね。」

「いや、そういう事じゃ無くて、自分の意志で学ぼうとしてるって感じ、どっちかって言うと、フワフワの人苦手なんだ。」

「「フフフ!」」

「結花達も、お嬢様っぽくない貴女か、あと2人の誰かが同室ならって話してたの!」

 取り敢えず、話が合いそうなルームメイトに感謝。


 通常は、朝晩は寮で昼間は給食だが、今日は間に合わなかった様で、昼は各自で外食。舞愛は、かなり不安だった。お付の人なしで外出した事の無さそうな娘も大勢いそうだし、お祭りでもないのに、急に増えた客に、飲食店が対応しきれるだろうか?痴漢や暴行、誘拐なんかに遭わないだろうか?考えると憂鬱だった。

「舞愛は、北都に住んでるんでしょ?」

「うん一応ね、チョット訳あってね王弟宮でお世話になってるんだ、水瓶領にいた事もあるし、王都にも。1番長かったのは牡牛領かな?」

「ランチの情報は?」

「この辺り、大きな店が少ないから、ここの61人が押し寄せたらパンクしそうな感じだな、少し遠いけど王弟宮広場まで行ったほうが色々あるよ。」

「「「じゃあ、そこね!」」」


 同期生達が店の暖簾をくぐって引き返す事を繰り返している所、舞愛達は、乗り合い馬車の停留所に並んでいた。程なく馬車が来て、

「スマンなお嬢ちゃん、3人しか乗れんぞ。」

「ソコ、駄目ですか?」

「ああ、ココならタダでいいぞ、連れもな。」

舞愛は3人を馬車に押し込み、御者席に座った。

 3つ目の停留所で下車。人通りが多く、飲食店も、豊富で選び放題、チョット除いて、絡んで来るような客が居ない店をチョイス、

「ココ、どうかな?」

「ええ、お任せですもの。」

店に入ってランチセットをオーダー、

「ココにした決めては?」

「絡んで来るような客が居なかったから。」

「これから参考にするわ。」


 セットにはパスタとハンバーグとサラダとスープ。全体的に小振りなので、女性客が多いのかもしれない。昴ならハンバーグは半分に切ってふた口だろう。3人の様子を、真似て、小さく切って口に運ぶ。パスタも、巻き過ぎない為には、フォークをガツンと刺さず先3本くらいから巻き始めると、小さく巻き取れる事が解った。スープも器を持ってグビグビはNG、スプーンで頂いた。


 物心がつく前から、伯爵家の養女だったのだから当たり前、真里に教わった事を完璧に熟していた、いつもの癖が出ないようお手本に出来るので、今回のミッションにピッタリと舞愛は心の中でガッツポーズ、

「お支払いはどうするのかしら?」

美奈が財布を出した、

「小銀貨1枚だから、誰か代表で払って後で精算しよう。」

「では、美奈が。」


 美奈がカウンターに行くと、店員は困った様子、先に出て待っていた舞愛が戻ってみると、

「申し訳ございません、細かいお金はお持ちじゃないですか?」

美奈がカウンターに置いたのは大金貨だった。売上やお釣り用に用意してあっても小金貨数枚分だろう、舞愛が慌てて小銀貨をカウンターに4枚積んで、

「ごちそうさまでした!」

大金貨を、掴んで店を出た。


「もしかして、皆んなコレ?」

結花と澪が頷いた。舞愛も、大金貨を両替するだけの小銭は持ち合わせていない。冒険者ギルドなら手数料無しで両替出来るが、3人を連れて行くわけには行かないので、辺りをキョロキョロ。

「あそこなら、変な奴ら入って来ないな!」

 ランジェリーショップに入り、店員に事情を話すと、快く預かって貰えた。


「お嬢ちゃん、迷子かな?オジサンのウチに泊めてやろうか?」

早速、酒臭い冒険者が絡んで来た。肩を抱く積りだったようだが、感電して尻餅。

「あら、その節はごちそうさまでした。腕、繋げて貰ったんですね?」

「うわっ!ナイフ使い!」

立ち上がりもせず後ろずさり、ざわつく人達も数歩下がった。丁度、受付までの通路が出来、

「すみません、両替お願いします。」

「あら、舞愛ちゃん、見掛けないと思ったら、学校に通うのね!制服もステキよ!」

3人に預かった3枚を小銅貨も含むまで、手持ちの5枚を小金貨と大銀貨まで崩して、3人の元に戻った。


 無事合流、店員さんは伯爵令嬢をお得意様にするチャンスをゲットしてご機嫌な様子だった。


 帰りも乗り合い馬車に乗る、大銅貨1枚をそれぞれ御者に支払ってから乗り込む。

「あら?さっきの分は立て替えて頂いたのかしら?」

「ううん、僕が隣りに乗るって言ったら、負けてくれたんだ。それによりさ、他の娘も、大金貨しか持って無いかも知れないよね?3つ目が寮の最寄り停留所だから、そこで降りて寮に帰れるよね?」

「ええ、大丈夫よ。」

「じゃあ、僕は一つ前で降りて、支払いで困ってる人が居ないか、お店回ってから帰るね!」


 並んで入ったお陰で、丁度さっきの美奈の立場に立たされている人を2件発見、寮に帰ってツケにしてきた人を2人発見、それぞれ両替して一応ミッションクリアした。

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