方針会議
昼間は、手頃な、ダンジョンで魔力を消費して、魔力の巡りを改善させた。ローテーションが一巡して、里沙の元で改善状況を確認する。
「まあ!」
舞愛の様子を見た里沙が、驚きの声を漏らした。表情からは、良い経過と思われるが、直ぐに言葉にはしなかった。脈を取ったり、魔力で刺激して反応を確かめたりしてから、
「魔力のルートも少しだけど改善してるわね。
舞愛は、『も』の意味が想像出来たので、その先の話題を避けて帰りたかったが、
「コチラは急成長ですね、何の心配も・・・いえ、昴さんに戻りたく無くなるかも知れません、それはそれで心配かも知れませんね。」
今まで通りの暮らしで様子見、出来れば魔力を一気に消費する魔法を使う方が良いと言うアドバイスで、特に治療とか処方とかは無く解放された。
「そうね、解凍地区かしら?」
魔力を大量消費する方法を相談した舞愛に、ひとみが答えた。魔封島の影響で凍りついていた地区をそう呼ぶようになっていた。
氷から解放された時、昴の進言で、役人や、騎士を派遣。冒険者も雇って、無人の街を治めようとしたが、環境の急変で、生態系が変わった魔物の被害で、せっかくの土地が放置されたまま。更には、ゴタゴタに乗じて、ソロでほそぼそと悪事を働いている連中、トーラスがデビューした頃派手に狩った盗賊達の下っ端が、刑期を終えて塀の外に出た奴、なかなか捕まらない、限りなくブラックに近いグレイ案件を生業にする商人、旧紫峰義、旧羅峰寺で未だに王国を受け入れようとしない者達が住み着いて、反社界集落を形成している。規模はそれぞれで、詳しくは把握できていないが50を超えると推測されている。
舞愛は、眉間にしわを寄せへの字口で、
「魔物の駆除と、世直し。元々人が住んでいた地域は、悪い影響は少ないようだから、ソコから領主の勢力を拡げていく感じが良いんじゃないかな?」
「そんな顔しないの!口角はこう!」
真里は両手の人差し指で舞愛の口角をキュッと上げて、
「変身したばかりの方が、言葉遣い良かったわよ、今なんて完璧に男の子でしょ?」
圭織は視線を漂わせたが、他の3名は大きく頷いた。
「計画の内容よりソッチ?」
良い機会だと、今後の計画について話し合った。
「トーラスジュニア出身冒険者が中心になって改善傾向らしいの、わたし達が片付けちゃうよりも、長い目で見たら、彼女達の活躍の方が安定出来ると思うわ、あそこの領主達って昴が立てた様な感じじゃない?きっと上手く連携出来るわ。」
真里の意見を採用し、取り敢えず、解凍地区案はボツ。
では、具体的に何をする?やはり、色々話し合って、ひとみが提案した、獅子の牙を封印する方法を探る事が有力になった。王弟宮の図書館は、問題無く頼めそう。近年の物は王都に敵わないが、百年程前に王都の図書館で火事があり、古い書物を消失したそうなので、古文書の様な物は北都が勝っている。
「舞愛の通院も便利だしね!あたし封印の他にも、魔法もっと勉強したいな。」
「ボクもそうだな、離れの暮らしも悪くないし。剣術の稽古も出来る!」
「わたしは結界を極めるわ、封印に1番近いと思うから役に立てると思うの。」
「じゃあ、全員一致だね!早速北都将軍に頼んでみよう。」
「頼むんなら、学校の事も頼んで見たら?」
「えっ?学校?」
「昴がいつも言っていた高校?まだ貴族しか通えないけど、三都には出来たの。貴女一期生よ!」
「ぼ、僕が通うの?」
「ええ、女の子としての常識を身に付ける事ね!」
ひとみは至って真面目に答えた。
さて翌日。北都将軍に、謁見を求めると、ランチに誘われた。正午に大広間に行くと御夫婦で迎えてくれた。
「昴さん、噂には聞いておりましたが、見目麗しくなられて!早くお会いしたかったのですよ。」
「ゴキゲンヨウ、王姉デンカ。」
「リラックスしてください。さあ、皆様も!」
「えっと、昴殿?で良いのかな?」
「コノ姿デハ舞愛ト名乗ッテオリマス。」
「ほう、舞愛殿か、名前も美しい。」
反応に困った舞愛に、王姉が助け舟、
「ワインは如何です?」
「はい、頂きます。」
なんとか乾杯に漕ぎ着けた。魔封島の事も、解凍の事も和義との戦いも、報告書は提出しているので、少なくとも概要は届いている筈だが、幼い子供が、読み聞かせをエンドレスでねだるように聞き入っていた。
「所で、舞愛殿。この度は何をご所望かな?」
「あ、いえ、その・・・」
「遠慮は無用、王位に就きたいと言うのであれば、独断出来ぬが、推薦しよう、きっと叶う筈だ。」
「ご、御冗談を・・・」
「ハッハッハ、何でも叶うと言う例えだ。少しは本気だがな。で、どうなんだ?」
舞愛は、学校で学びたい事をつげた。二つ返事で、王姉は仕立て屋を手配した。勿論、図書館はフリーパス、その上資料庫も解放してもらえた。




