舞愛
試着室は3室、昴は最初に入ったが、初めて着ける下着に苦戦、鏡に映る自分を見るのに罪悪感を抱いたり、何となくモタモタ、セーラー服姿は見られるのが少し恥ずかしく思い、気持ちを落ち着かせていると、他の2室で5人の着替えは済んでいた。
「お姉ちゃん、まだ?手伝う?」
美貴がカーテンを少し開けて覗き込んだ、って。
「もう出来てるじゃん、早く全身見せてよ!」
ジャッとカーテンを開けた。
「想像通りね!悪くないわね。」
笑顔のひとみは満足そうに、ゆっくり頷いた。
「その位の方が、脚捌きの練習になって良いかも!キレイな御御足なんだから気を付けてね。」
真里は家庭教師モード。
「ほんの数時間で、ボクより女らしいんじゃないか?秘訣を、ご教示願えるかな?」
圭織は女子力を評価。
「漆黒のサラサラストレートって憧れるわ!」
栗毛でフワフワの裕子は無い物ねだり。
「おっぱい小さくしたのって、やっぱ信じらんないけど、このクビレだったらこれ以上はアンバランスかもね!」
美貴も取り敢えず納得。
「ねえ、僕だけ靴下短くない?」
「そんなにキレイなんだから、隠すの勿体無いでしょ?」
ハイソックスの5人に対し、昴に用意されたのはスニーカーソックス。踝から太腿の殆どまで隠す事無く、水着に肉薄する露出。美貴は作戦の成功にニンマリ。抗議しても仕方が無いだろう。
怒涛の買い物を済ませ、ランチタイム。いつものなら、食べようと思った時に近くに有った店を選ぶのが殆どだったけど、
「ココはダメね。」
真里が小窓から除いて却下、数件パスして、やっと選んだ。
胃袋が切羽詰まっていた訳じゃないので気にしないが、特別な店とは感じず、昴は不思議に思っていた。
「あら?お行儀良く座れるのね?素敵な所作よ。」
真里が褒めたのは、プリーツを整えながら座った事と、膝をきっちり揃えで座っている事。そうしなければ、直接ぱんつで座る事になるし、そのぱんつも面積少な目なので、直接おしりと言っても過言ではない。ただ、それを言ってしまうと、元に戻るまで、マイクロミニ以外の選択肢が無くなりそうなので、
「あ、美貴のスパルタのお陰かな?これからもよろしくね!」
「任せて!ご鞭撻よね?ビシバシいくわよ!」
あまり都合の良くない言質を取られたが、まあソレも元に戻るまで。
「ねぇ、その姿で『昴』は無しだよね?」
裕子が切り出すと、
「そうだね、美貴はすんなり『お姉ちゃん』に変えたから、ボク達も考えよう。」
と、新しい呼び名の会議になった。色々案はでたが決め手は無い。
「女の子の名前を付けて、名前呼びしましょう!」
真里の案で方向転換、どんどん候補が上がっていった。
「それならさ、『まいあ』でどうかな?」
「あら、可愛いわね?何か由来でも?」
そう突っ込むひとみは、初恋の相手とかを期待していた。
「スバルの中の星の名前だよ、いくつか覚えてるけど、名前に出来そうなのはコレだけかな?」
「本人希望なら決定だ、文字はどうする?」
「漢字は皆んなで決めてよ。」
いくつかの候補が上がったが、割とあっさり『舞愛』に決定。
「ねえ舞愛。時々星や星座の話になるけど、ボクにはどれがどの星なのか解らないし、どう繋げれば何座とかもさっぱりなんだ。」
「わたしも!」
「あたしも!」
「あ、ソレ、私も気になって調べたの。大昔、異世界から来た人が、占いに使う言葉だったそうよ。美貴は解るけど、舞愛が占い好きとは意外だったわ。」
「そうね、美貴も元の世界で占いでしか使わなかったな。でもね、ホントにそれなりのカタチなんだよ、こっちでは見え方が全然違うんだ、お月様だって1個しか無かったし。ねぇ、お姉ちゃん。」
「うん、全く違うね。えっと惑星って・・・」
天文の話をしたが、やはりピンと来ない様子だった。
「午後の予定は何か考えてる?」
昴、もとい、舞愛が尋ねる。
「ギルドで魔力測定と、ランク認定ですわ、貴女も『舞愛』で再登録すると良いわ。」
魔力はアップしているし、実績は申し分ないので、間違いなくAランクに昇格する。トーラスジュニアとバッジの色を揃えるため、Cランクのままで、その後も目立たないようそのままだった。
「気が変わったの?」
「まあ、そんな所かしら。」
ギルドでは、予想通り5人ともAランク。舞愛は測定器を壊さないよう調整してSランクをクリアしていたが、新規登録でメーター振り切るのは測定ミスと判断され、まさかのFランク認定だった。
「Sランクの昴さんが抜けて、Fランクの舞愛さんが加入ですね?会費が大銀貨5枚に・・・あ、失礼しました、他の皆さんがAランクに昇格しましたから、会費は小金貨1枚に変わります。払い戻しは出来ませんので、次回から半額に変わります。」
意外と時間が掛かり、もう夕方。会費の半減はタナボタだったので文句は言わないでおく。舞愛のデビュー戦(?)で、手頃な依頼を請けた。明日からの仕事になるので、夕食に街へ繰り出した。




