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獅子の牙

 谷の守の屋敷に、ニセの鞘を隠して、結界で保護。それをエサに和義を待つ。魔封島の洞窟に黒獅子が居なかった事から、和義が倒したか、使役している可能性が高い。どちらにしても、今まで戦ったどの魔物とも比べようが無い強さだろう。


 昴達が、ひっそりと隠れていると、全く隠れたりする素振り無く、堂々と和義が現れた。

 屋敷に入る前に鑑定すると、黒獅子のチカラしか見えなかった。和義が黒獅子を吸収した様に見える。ただ、並の人間の器に収まるチカラでは無い筈。慎重に観察を続けた。

「うん、間違い無い!大広間の巨大な魔物って、人間を生贄にしたら通してくれるんだよね?牛馬と魔犬で手下を使い果たしたか、逃げられて、黒獅子には自分を捧げたんだ、それで思考を乗っ取って、今の姿なんだと思うよ。」

「であれば、今日の作戦で問題ないようだな。」

「うん、圭織の役割大きめだからよろしくね!」

「ああ、任せてくれ!」


 そうしているうちに、和義がニセの鞘を手にして屋敷を出ると、脇目も振らず裏の洞窟に入っていった。

 一目散に獅子の牙を取りに行くが、しっかりと張った結界に阻まれる。

「ふん、この程度の結界!」

和義は黒獅子のチカラで引っ掻いた。岩肌を砕いた威力で充分と踏んでいたがビクともしない、最大パワーで試しても足りなかった。

「なんか、手応えがなぁ・・・」

魔封島の洞窟と同じように、岩肌を引っ掻いたが、威力は半減していた。


 結界に苦戦している和義の背後に、剣を構える圭織、

「これで貴方も運の尽きね、ラクに逝かせてあげる!」

「また、お前等か!コレでも喰らえ!」

飛び掛かって!右腕を振り下ろす、黒獅子の前足となり、圭織を襲うが結界でシャットアウト。

「畜生、獅子の牙さえ手に入ったら・・・」

圭織を目で牽制しながら、剣に近付く。再度、結界に挑もうとしたが、あっさりと剣の元へ。

「よし!これでこっちのモン・・・」

鞘を持った者が、剣を抜ける筈だが、身体中に衝撃が走り、人型だった身体は、黒獅子に変わっていく。サイズは、魔封島の洞窟にいた時の様に巨大化するのでは無く、人間サイズからグッと縮んで小型犬程になると、黒の毛皮が、術式を書き込んだ紙になった。変化の途中、うめき声を上げていたが、直ぐに大人しくなり、和義の身体は、呪符を何枚も何枚も貼り重ねて、獅子の形にした人形になってしまった。人形からは、一切のチカラを感じない。


「コレも石碑の通りだったね!じゃあ、仕上げちゃうね!」

人差し指に、ロウソク程度の火を灯し、呪符の獅子人形の鬣に着火。ピッタリ貼り重ねられた獅子人形は、焚き火の着火できつく絞った新聞紙の様にゆっくりと燃え、全てが煤になると、いつの間にか、全裸の男性が横たわっていた。

「コレが首謀者の和義だね!」

鑑定した昴は、幾つもあったスキルを全て切り取り、拘束具を着けてから、意識が戻る程度にヒール、自白魔法を掛けて、クーデター計画の全てを吐かせた。


「畜生!黒獅子のチカラはどうなったんだ?」

ボソッと和義が呟いた。回答を期待した感じじゃなかったが、

「黒獅子は、剣と鞘を護るのが使命なんだ。元々は剣と鞘のチカラで生まれた魔物だからね、鞘の封印が解けて、半分戻って、剣に触れちゃったから残りも戻ったんだと思うよ。それにしても、元の身体、残っていて良かったですね!」

陽気に解説する昴、いかにも無防備に見えたので和義はチャンスと思い、渾身の魔力を込めて操ろうとしたが、魔力は空回りの様に拡散、なんの手応えも無かった。

「あっ、厄介なスキルばかり沢山持っていた(・・)でしょ?」

過去形で話され、スキルを奪われた事に気付いた。魔力自体は奪われる事は無いので、ノーマルな炎魔法を試みるが、魔力減衰の魔具でほぼシャットアウト、満身創痍と言っても過言ではないが、相手は女性ばかり、唯一の男性の昴も、体力勝負に向いた身体には見えない。一か八か、体当たりで脱出を試みる。ターゲットは、おっとりした雰囲気の裕子。多分、他でも無理だろうが、よりによっての選択は、人差し指一本で阻まれ、デコピンでノックアウト。


 さて、和義を王都に連れ帰り、一件落着と思ったが、

「お兄ちゃん!剣がめちゃ光ってるよ!かなりヤバそうだよね。」

美貴は、ポーチから盾を出して眩しい程の光を遮った。

「呪符で作った獅子が燃えちゃったから!魔力戻ったみたいね、ここに封印したままって選択はムリのようね。」

「鞘に納めるしか無さそうだね。」

昴はポーチから鞘を出して、剣に歩み寄ろうとすると、誰も抜けなかった剣がスッと抜けて中に浮き、フワリと宙を舞って鞘に収まった。

 魔力の放出も収まったので、獅子の屋敷に報告に向かった。


「ほう、コレが、獅子の牙ですか。私では、手に余りますなぁ。」

昴は剣と和義を屋敷に届けたが、領主は困惑。相談して王城に届ける事になった。


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