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  洞窟の見張りに立てていた、生き残りの冒険者達の姿は無く、獅子家の騎士が待っていた。

「和義先生、屋敷迄ご同行お願い致します。」

 石碑の事も知りたいし、屋敷には術を掛けて、いつでも手駒に出来る女性が多数居るので、素直に従った。


 屋敷に着いた和義は、早速術で操る事が出来る筈の侍女に、情報を求めたが、全く相手にされなかった。魔封島でパワーアップして『獅子の牙』を持ち出そうとしていたのは簡単に想定出来るので、全員解呪済みの上、耐呪効果の高いアイテムで防御している。

「チッ、また奴らか!」

騎士達に取り囲まれた。黒獅子のチカラを行使すれば、簡単に制圧出来るが、将来手駒にするつもりなので、戦いを避けてひらりと塀を飛び越えて屋敷を離れた。


 その頃、プレアデス一行は魔封島に向かう船に揺られていた。

「すっかり氷が溶けてるね、石碑に書いてあった通り!」

沖に錨を降ろし、ボートに乗り換えて岸に向かった。

 穏やかとは言えない海だが、然程苦労もせずに上陸を果たし、目的の洞窟に向かう。


 和義の手勢が苦労した魔物達を軽々片付け、牛馬の巨人が待つ大広間。

「何をしに来た?」

「鞘を取りに来ました。」

「通す訳が無いだろう?」

巨人達は、その身体に見あった、巨大な槍を構えるが、昴が呪文を唱えると、2体とも石像になってしまった。

 三ツ首の魔犬も石像にして、黒獅子がいた大広間。ここには誰もおらず、奥にある小さな扉の前で呪文を唱えた。

「全部、石碑に書いてあった通りだね!」

 それでも慎重に確認して、扉に手を掛けた。

 扉は簡単に開き、中には鞘が安置されていて、結界とかトラップとか無しで簡単に手に入れた。

「よし、これが獅子ケ谷の洞窟にある剣の鞘だ!獅子の牙が、和義の手に渡る事は防げるぞ!」


 目的の鞘を手に入れた昴達は、来た道を戻る。

 大広間で石像になった魔犬も、牛馬の巨人も見当たらずにスルー。往路ではそれなりに手間がかかった魔物達は、遠巻きに様子を伺うだけで襲ってくる気配は無く、ストレスフリーで洞窟を抜け出した。

 海岸に戻ると、同行していた騎士や冒険者が、仮設の船着き場を作っていたので、海の中を歩くこと無くボートに乗り、沖に留めてある船へ。

 船は、獅子領に戻る前に、旧紫峰義の最北の港に立ち寄った。ここは氷に閉ざされていたが、魔封島の氷の結界が解かれた事により、無人であるが港の姿を取り戻していた。

 数百年は経過しているが、凍ったまま時が止まっていたのか、古い桟橋は見掛け、実用に耐えうる様だった。船を着けて上陸、石積みの部分は勿論、木製の床等も、朽ちた様子は無い。


 プレアデスと一部の冒険者達は、解凍された街を調査、魔封島に鞘が封印されてから、氷河期の様になり、土地を捨て南に逃れた経緯が記された書類があり、伝説の様に語られていた事が史実だと証明された。

 町並みは何処となく和風で、所々、日本語で書かれた看板等もあった。昴の様に日本から転移して来た人が関わったと思われる。

 建物は、古民家レベル。平均的な水準にそう劣らない。井戸が完備されているので、すぐにでも住むことが出来る。道路は殆どが石畳で、凍結して土中の水分が膨張、解けて戻った時に凸凹になっているが、魔動車でも何とか走れそう。街道も同等と推測し、車酔い覚悟で、他の冒険者と別れ南に向かった。


 しっかり幅のある街道は、砂利道で、凍結の影響が少ない様で、快適なドライブ。街になると、凸凹の石畳になるが、まぁ走れ無いことも無い。夜は無人の街の無人の宿に泊まり、順調に南下を続けた。

 旧紫峰義の生活圏に近づくと、魔物の気配は有ったが、距離を縮める様子は無かった。そのまま、一番近い、王姉の次男領に入り、屋敷を訪れた。解凍された北部の状況を伝え、街を管理するように提案、兄達と、旧羅峰寺を管理している領主達にも伝言を頼んで、獅子領を目指した。


 解凍された北部は、領土としては旧紫峰義、旧羅峰寺。分割された各領主の領地の一部なので、直ぐに騎士や、冒険者を派遣。盗賊の類のアジトになったり魔物が住み着いたりさせず、活用する計画。昴たちが確認した状況では、先着順で支配出来そうなので、迅速に対応した。後にそれぞれ新しく街や農地等を手にすることになる。


 プレアデスは獅子領に入り、獅子家の屋敷で獅子の牙を手にする為に必要な鞘を入手した事を報告、

「谷の守の屋敷に封印してあります、和義もまさか自陣だった所に隠すとは思わないでしょう。」

 昴は、領主に耳打ちしたが、聞こえない筈の側近が急にバタついた事を確認して、

「僕達は、もう一度北部に戻って様子を見て来ます、鞘の管理は宜しくお願いします。」


 プレアデスの魔動車(・・・)は、元トーラスジュニアのメンバー達が運転して北へ向かった。プレアデス一行はこっそりと、谷の守の屋敷に隠れ、鞘を奪いに来る和義を待った。

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