表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/122

黒獅子

 最北の島、魔封島に和義達がやって来た。港や船着き場等は全く無いので、島ギリギリまで近寄って夜を明かす。翌日も何もせず待機、そんな日が3日間。

「ソロソロだな。」

明け方、救命ボートを降ろす。着水の音はせず、ガツンと着氷。ボードには、橇の様にスキー板が取り付けられていて、凍結した海面を歩いて上陸に成功した。


 真っ白な雪原を、封印の魔力を目印に島の中心に向かう。山岳エリアに入り、暴風雪に耐え、封印地点に到着した。和義は、集めた魔具をセットし、呪術師達が解呪の呪文を唱える。難度も繰り返し、1時間程経過すると、雪も風も収まり、白一色だった景色に岩肌が微かに見えてきた。更に数時間後、氷に閉ざされた洞窟の入口が見えてきた。残りの氷を冒険者が炎魔法で解かし、洞窟に侵入した。


 早速襲って来る魔物達を、蹴散らし下層に潜って行く。強くなっていく魔物に対し騎士や冒険者は、健闘するも、最下層手前では、全員刺し違え、残っているのは、和義と呪術師のみ。


「よし、2人は俺について来い、あとは、後ろの見張りを頼む!」

大広間の扉を3人が通った。


 そこで待って居たのは2体の巨人、それぞれ頭部が牛と馬になっている。

「先生、これは我々のチカラじゃ太刀打ち出来そうにありません!逃げましょう!」

「いや、大丈夫、話せば解る相手だ。」

そう言って巨人達に深々と礼をすると、

「手土産です、広間をお通し下さい。」

「ふむ、良かろう。」

巨人達は、呪術師を鷲掴みにすると、頭からバリバリと喰い尽くした。

「通るが良い。」

そう言い残し、スッ消えていった。


 和義は扉の外の3人を呼び、

「2人は先に行ったから、我々も後を追うぞ。」

駆け足で次の扉に到着した。


「今度は1人だけ来てくれ。」

さっきの扉同様に二手に別れた。


 次に現れたのは、三ツ首の巨大な魔犬。さっき同様に手土産を差し出すと、左の首が呪術師を一飲み。

「お前を喰らってもまだ足らんぞ?」

「お待ち下さい、あと2人ご用意致します。」

扉の外の2人を招き入れ、魔犬に差し出した。

「よし、通れ。」

和義は、独りになって、最下層に降りた。


「チッ!ラスボス分、使っても1人予備のつもりだったのに、しくじったな。仕方が無い、ヤツに同化するしか無いな。」


 ラスボスは真っ黒な獅子、人間を丸呑みした魔犬よりも数段大きい。


「獅子の王様、私は、独眼獅子の子孫、谷の守に仕える者、王様のお力をお借りしたく、参りました。」

「氷漬けの我が身、何も出来ん。」

「忌まわしい結界は、私が解除しました。」

「そうか?して、我への手土産はどうした?」

「それは、私自身で。」

「ほう、自らを贄にしてまで何を望む?」

「獅子の、血脈の為です。」

「何やら、複雑そうだな。お前を喰ってしまったら、どうやって願いを知るんだ?」

「私をお召し上がりになりましたら、記憶を読み取って下さい。」

「成る程、手間が掛からんな、では。」

和義が全裸になり、魔法で身を浄めると、巨大な黒獅子は一気に飲み込んだ。しばらくは、何も無かった様にダラリと眠っていたが、暫くするとグングンと縮み、人型になると、

「所詮は獣の知能か、一か八かと思い切ったが、大した事無かったな。どれ!」

岩肌を軽く引っ掻いて、重機並の掘削を確かめてご満悦。

 黒獅子が記憶を読み取ろうと意識を繋いだ瞬間、思考を乗っ取ってラスボスの身体を自らの物にした。膨大な魔力も引き継いでいるので、高位の冒険者が束になっても、安心出来ない程度の戦力を身に付けた事になる。


 和義は、来た道を戻る。2つの大広間は素通りし、騎士や冒険者達が苦戦した下層の魔物をあっさりと屠って地上を目指した。浅い層になると、魔物達が恐れて寄って来ない為、歩く事以外に体力を消費せずに地上に到達した。


 封印を解いた事により、凍結していた島は地面が現れ、海も溶け波が打ち寄せていた。橇にしていたボートで船に向かう。留守番の者が縄梯子を降ろし、無事に乗船。

「残念ながら、私独りしか戻れなかった。ただ、獅子のチカラは手に入れたから、独眼獅子の再興は叶えられるぞ!」

 

 和義の船は、獅子領に向かうが、港は封鎖され上陸は叶わない。船を捨て、ボートで上陸。残りの手下達と獅子ケ谷に向かった。

 集落に着いたが、外を歩く人は1人も居らず、谷の守の屋敷も無人だった。

「とうとう王家の手が入ったな、あのプレアデスとか言う連中の仕業だろう。ま、好きにすると良いさ。」

 集落の異変に気を取られる事無く、屋敷の裏山の洞窟に入った。


 洞窟の奥深くには、『獅子の牙』と呼ばれる剣が納められている。またの名を『滅国の剣』と言い、国を滅ぼす程のチカラを持つと伝えられている。和義は存在を確認してはいたが、結界に阻まれ、触れる事すら出来なかった。黒獅子のチカラで剣を手に入れようと考えていた。


 魔物が出る事は無いが、険しく狭い通路を進んで3時間。なんとか剣の納められている空間に辿り着いた。

 強力だった結界は、黒獅子を阻む事は無く、すんなり剣を掴む事が出来た。しかし、剣は微動だにしない。

「こりゃダメだな、別の条件が有るんだろうな、あの読めなかった石碑も、今なら読めるかも知れんな。」

黒獅子の魔力で解読しようと、少し手前の広間に戻った。

「ん?」

石碑が有った筈の場所には台座のみ。元々古代史を研究していた和義でも読めない石碑に、持ち出す価値は無さそうに思えるが、

「また、プレアデスの仕業だろう。」

舌打ちして、出口に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ