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谷の守

 ダミーの移送を襲い、手駒を使い切った男爵は、自らの手勢を率いて、西都から出た護送車を襲う。第2便がホンモノである事が漏れていることも考えられるので、当然襲撃に対する備えは充分。サクッと返り討ち、男爵の後ろに誰が居るのか明らかにするチャンスと思ったが、男爵の自決でその道は断たれた。

 男爵邸を捜索しようとしたが、男爵の死亡に連動して、焼き払われる呪が掛かっていた様で、騎士団が到着した時には既に瓦礫と灰になっていたそうだ。


 昴は、到着する女性囚の解呪で日中を過ごし、夜は(×××)の活躍抜きでローテーションを回した。

「ボクだけが、楽しんで申し訳無い、王都ならそっち(×××)に詳しい治癒師もいるんじゃないか?」

「うん、そうも思ったんだけどさ、獅子ケ谷を片付けてからにしようと思ったんだ。しばらくこんなんだけど我慢してくれる?」

「ボクは充分楽しんでいるさ!お返しが出来ないのが心苦しいんだ、我慢はキミの方だろ?」

「僕もそれなりに楽しんでるから、僕の事気にしないで。」

 床上手に魔力を追加して、圭織の反応を確かめながら、睡眠迄のひと時を味わった。


 解呪して自白魔法での尋問が続き、『谷の守』について少し情報が得られた。

 元々、直系と言う事なので、世襲制なのだが、3代前から『血縁』とされる女性が谷の守になって、その父親の和義(かずよし)と言う男が獅子ケ谷を仕切っているらしい。先々代も先代も和義が『直系』と言い張った女性、当代は先代の娘で、父親は和義らしい。

 和義の素性は良く解っていないが、獅子ケ谷がきな臭くなったのは彼が谷の守に接触するようになってから、間違い無く鍵を握る男だ。谷の守を捕獲して立ち位置の確認と思っていたが、交渉の相手は和義だろう。


 和義と谷の守を捕獲する事をミッションに獅子ケ谷に出陣。昼、商人を装った荷馬車に送られて出発。途中日が暮れた頃、騎士団の4人を除いて荷馬車を降りる。藪を漕いで獅子ケ谷の裏山を目指す。

 一泊して翌日も山を歩き、夕方に獅子ケ谷の背後に到着、深夜12時迄仮眠して作戦に備える。


 真夜中から集落の周りを結界を強化する術式を刻んだ杭と水晶珠で囲み、日の出と同時に、騎士達が踏み込む、

「王命により、獅子ケ谷の長、谷の守を国家転覆未遂の罪で連行する。直ちに出て来なさい。」

訪問の理由を高らかに読み上げた。

 当然、谷の守が出て来る筈もなく、バタバタと寝間着姿で出て来たのは呪術師達。彼女達は、何かの術を繰り出そうとするが、ことごとく失敗。昴達が張った結界は、出入りを規制するだけでは無く、中での魔法は一切使えない、正確には、Sランクの昴を10倍以上上回る魔力がなければ発動しない。術を使えない呪術師達は、フィジカルでの戦闘を強いられるが、その戦力は皆無に等しい。あっと言う間に20数人全員が拘束されてしまった。


 裕子と圭織は、フィジカルの強い元トーラスジュニア達と、集落でひときわ大きい、塀を回した家に侵入。裕子が門の扉を押すと、(かんぬき)をへし折って開門、

「へ?あだす達の結界、なして効かねんだ?」

【あれ?私達の結界、どうして効かないの?】

数人の呪術師が結界で護っていたらしいが、集落ごと魔法が使えないので、全く抵抗無く建物に入り、更に結界担当と、戦闘要員の呪術師を倒し、奥の間の少女を拘束した。

「キミが、谷の守だね?」

少女が頷くと、

「お父さんはどこ?」

今度は首を振った。

 家中探しても誰も居らず、先に集落を制圧する。真理と数人が、結界の維持に残り、あとは集落の住人達の拘束にあたる。情報通り50戸足らずの集落に120人ほど。男性は出稼ぎで子供と老人だけ、女性は100人とちょっと。谷の守の家に押し込み、集落全体に張っていた結界をそこだけに集中、魔力封止の首輪をつけてから外に連れ出してパーフェクトヒールで解呪、戦闘、スパイに有効なスキルを切り取り、騎士団に引き渡す。騎士達は自白魔法で、淡々と調書を仕上げていった。


 肝心の和義は、既に集落を離れており、行き先は谷の守だけが知っていた。

「父は、最北の島に行きました。」

紫峰義の更に北にある、氷で閉ざされた島で、かつては人間が住んでいたらしいが、史実かどうか解らない。

 伝説的な昔の話しによると、魔物を封じる為に、島ごと凍らせてしまったらしく、谷の守の話しによると、獅子ケ谷のルーツはその島で、和義は、島の解放の為、魔物の封印を解くつもりらしい。

 その為に必要な魔具の類は、永年全国各地に送り込んだ者達に集めさせていて、紫峰義と羅峰寺を島に送り込む算段だったが、すっかり計画が狂ってしまい、僅かな手勢を率いての決行となっていた。

 各地から集まって来た独眼獅子崇拝の騎士や冒険者が12人と獅子ケ谷の呪術師が5人、和義を含めてもたった18人。獅子領の港から海路で島に向かっている。

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