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蠱毒

 獅子領には、その名の元になった神話がある。魔物達が蔓延っていた頃、1人の呪詛師が自分の片目を生贄に獅子となり、魔物達を退治して王になって、人の世になったという内容だが、獅子ヶ谷という地方に、その呪詛師の末裔と名乗る呪詛師達の集落が有るそうだ。

 その呪詛師達は禁忌魔法を得意とする、一般的な尺度で言うと、邪悪な集団。殆ど表舞台には出ずにいたが、獅子家の本家論に乗っかって、王家を追い落とし、現在の獅子家を立て、実質的には支配する計画の様だ。


 王家や有力貴族に嫁いでいる娘達は、現在の獅子家の娘で、基本的にはクーデターには関わっておらず、獅子家の繁栄の為と認識しているらしい。輿入れの際、お供の家臣が刺さり込んで、影響力を強めて行く計画で、着々と進められている。

 大熊家は、先代が政略結婚を拒否、当代の婚姻も獅子家の思う様に行かなかった為、先々代の後妻として入り込み、先代を亡き者とし、当代の婚約者として由紀が乗り込んで、一気に獅子家の勢力を伸ばしていた。

 孫程の若い後妻に鼻の下を伸ばしっ放しの先々代も、クーデターに関しては何も関わっていない様だ。


 大奥様の天狗の鼻をへし折り、その妹で辺境伯の婚約者を手懐け、王弟宮のポテンシャルを見せつけるカタチでお披露目会を終える。

 これまでの情報を纏めると、諸悪の根源は獅子ヶ谷の呪詛師達。あちこちの領主に影響力を持つ。何処の誰が、呪詛師の手先なのかはしっかり把握出来たので、徐々に排除して行く。当面は、紫峰義を後ろ盾に、北部を支配しようとしている、辺境伯の呪詛師達を片付ける。波風立てない様に、紫峰義のチカラを削ぐ為、スパイにニセ情報を掴ませ、紫峰義自慢のテイマー部隊を誘い出す。


 紫峰義は面積は広いが、その殆どが永久凍土だったり、年間の殆どを雪に覆われ、生活出来る土地は王国との国境付近だけ。因みに隣りの羅峰寺も紫峰義程では無いが、長く厳しい冬と短い夏で、豊かな国とは程遠い状況。

 この両国、元は同じ民族で、小国が集まって国になった時、今の国境辺りは人が住める所では無く、両側に分かれたので、その後それぞれが国になっている。

 南下して王国の領土を奪えば、食糧事情は飛躍的に改善するはず。但し、圧倒的な国力の差は、紫峰義に開戦を選択させなかった。


 大熊家の寝返りにより勝算が得られ、羅峰寺とも休戦。南下の準備を整えていた。

 辺境伯の元にいるスパイを使って、紫峰義軍を誘い出す。国境に近い避暑地・黒金湖(くろがねこ)で北都軍の演習があり北都将軍が3人の息子を連れて参加、規模は400人。と、ガセネタを掴ませた。

 400人は、紫峰義軍のテイマー部隊が圧勝する程度、蹂躙するも良し、将軍や息子を捕虜にするも良し、出陣を否定する要素は何も無い。演習は10日後、その前にテイマー部隊が入り込んで迎え撃つはず。昴達はすぐに罠の支度を始めた。


 黒金湖は直径12キロ程の盆地で、ぐるり山に囲まれている。南東と南西に川が流れ出ており、川沿いの道が出入り口。

 先ずは、住民の避難。王家のリゾート地なので、それに携わる人しかいないから、割と簡単に撤収。オフシーズンなので、搬出する物も殆ど無かった。

 次に盆地を囲う山々に結界をサポートする水晶を埋め、同じ目的で術式を書き込んだ杭を打ち込んで行く。ギルドの協力も得て、総延長50キロを水晶と杭で囲った。


 1週間経過、紫峰義軍は予想通り、魔物達を率いて黒金湖に侵入、北都の演習部隊を迎え撃とうと準備万端。長く続く事も考えられる戦闘の初戦、圧勝して勢いを付けるべく、全てのテイマーを招集していた。

 全軍が揃った所で、

「では、魔力サポートお願いね。」

ひとみが長い詠唱の後、打ち込んだ杭に手を当てて、魔力を注入。他のメンバーはひとみの肩に手を置いて魔力注入。盆地の周りに金の輪が光ると、中の魔物達が騒ぎ出した。

「どうなってんだ!全く制御できねぇど!」

魔物同士が戦い始め、止めようとしたテイマーは良くて弾き飛ばされ、最悪の場合は踏み潰されてしまった。戦いに勝った魔物は相手を吸収してパワーアップ、更に強くなって同じ様に強くなった相手と戦う、蠱毒の呪だ。それを繰り返しすうちに、なんとか生きているテイマーは命からがら、逃げ出した。昴はそのテイマー達のスキルを切り取る。ティムに特化した者ばかりで取り敢えずテイマー部隊を再結成を防ぐ為全て切り取った。

 残り2体になった所で蠱毒の呪を解く。相討ちになるのを期待しつつ、トドメを刺しに近づく。

 圭織が剣を振りかぶると、

「圭織、ちょっと待って!真理、結界で抑えて!」

昴が制止、相討ちで瀕死の魔物達は、雌だったのと、テイマー達から切り取ったスキルが勝ち残った2体を制御出来ると、判断した。巨大な魔物(×××)に光らせた指を挿入、勢いで二の腕迄入ってしまったが、気にせずにヒール。傷と共に、禍々しい角や鱗等も消えて犬の姿となり、オーバーヒールの段階になると、大型バス程もあった身体はラブラドール程、もう1体も同じ様にヒール、同じ様に縮小した。違うのは1頭目は真っ白、2頭目は濃い茶色だった。小さくなっても、大型犬サイズだが、フワフワ感とクタット感は間違い無く仔犬。

「成長したらさっきのサイズかな?」

 昴は子供の頃、捨犬を拾って家に連れ帰ったが、親の同意が得られず、里親探しをした事を思い出し、憂鬱な気分で居たが、

「お兄ちゃん!美貴の家、マンションだったから、わんこ飼えなかったんだ、ねぇ連れて帰るんだよね?」

「紫峰義の主力を凝縮しているんだ、戦力としても期待出来るだろう。」

圭織は既に戦友として受け入れ、

「確か術を使う魔物も居るはずよ、部隊の半分の能力を引き継いだはずよね?都合よくペットサイズに化けたりしないかしら?」

真理も同行する気満々。

「フワフワね!抱っこは無理ね。」

裕子は既にハグ。

「名前と首輪が必要ね、王都にもテイマー部隊かあるから、この子達の能力調べて頂きましょう。」

凶暴かもと、反対すると思っていたひとみも意外な事にすっかりデレていた。

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