冒険者に転身
昴は裕子を連れて、宿に泊まった。
「御主人様、あたしは裕子と申します。この様な醜い女を買って頂き、ありがとう御座います。私、その、男性に喜んで貰う方法とか良く解らないので、なんでも言い付けて下さい、精一杯頑張ります!」
「じゃあ、先ずは、ここに座って。」
ソファーに座らせると、後ろに回って奴隷の首輪を外した。
「あと、言いにくいんだけどさ、んと・・・ぱんつ、脱いでくれる?」
「・・・はい、喜んで。」
スカートをたくし上げて、小さな布切れはスルリと足首を通過した。
「他は脱がなくていいんですか?」
「ごめん、ちょっとだけ我慢してね!」
昴は詠唱を始め、人差し指を金色に輝かせると、スカートを少しだけ捲って、右手を挿し込んだ。
迷う事もなく裕子に到達、そのまま中に入って、魔力を注入した。
裕子は服の上からでも解る位に輝き、それが落ち着くとヤケドの跡はスッカリ消え、頬が固まっていたり、鼻の通りが悪かったりで、聞き辛かった声も、可愛らしくなっていた。
「この姿でしたら、幾らかは楽しんで頂けるでしょうか?」
裕子は、着ていたボロボロのワンピースを脱いだ、小柄で華奢だが痩せ過ぎず、フワっとしたイメージ、童顔ににあわず大きく膨らんだ胸は、昴が視線を、逸らす事を躊躇わせた。
「ちょ、ちょっと、何してんの?早く服着て、あと、ぱんつも!」
困り顔で服を着ると、
「女を買うって、そう言う目的しか無いと思っていたので。あたしは何をすれば良いのでしょう?」
「ああ、目的は達成しているから、キミはもう自由だよ、奴隷の首輪も外したし。」
松風で偶々出来たヒールが他の人にも通用するか試したかった事を告げ、
「まだ服屋やってる筈だから、行って見ようよ、靴とかも色々必要でしょ?」
「ありがたいお言葉ですが、何もお返し出来る事が有りません。」
「良いよ、気にしないで。明日から南の港町に行って、また戻って来るからさ、仕事見つけてたらご飯でも奢ってよ。お腹も空いたから、早く服屋行こ!」
ボロを纏った裕子を見て、バカにした様子の店員だったが、昴が大金貨をチラつかせると、掌返しで歓待、セクシー系ばかりドンドン運んで来た。
「そう言うのも悪く無いけどさ、普段着って言うか、あんなのの方が便利じゃ無い?」
カジュアル系を指差すと、店員達が飛んで行った。
「御主人様は、こう言う女性らしいのはお嫌いですか?」
「いや、年齢的にもあっちかなって。昼の仕事探すんなら、こっちは駄目でしょ。」
「解りました!では選んで来ます!」
裕子はバタバタと店を回って、女性冒険者が好みそうな、ショートパンツにタンクトップ、迷彩のジャケット。防具を着けるのに丁度良い感じで揃えていた。
「そう言う事なら、装備も揃えなきゃね!でも、胃袋が限界だから明日にしよう。あと、洗い替えとか、街用の服も要るでしょ?」
冒険者風で3組と、街用は昴がシンプルなワンピースを選んだ。
街用に着替え、食堂を探したが、開いていたのは居酒屋だけ。軽く飲んで、おつまみで胃袋を満たした。
宿に戻り、フロントで鍵を2つ受け取った、
「隣の部屋かな?303と305だ。朝、7時に食堂でいい?」
「あの、ホントに夜のお相手しなくても良いんですか?」
「勿論!あとさ、昴って呼んで、裕子でいいよね?」
「はい、昴様。」
「様ってさぁ!呼び捨てが良いな、あと敬語も禁止!」
「え?あぁ、んと、おやすみなさい、昴。」
「うん、おやすみ、裕子。」
昴はシングルベッドで、ヒール後、全裸になった裕子の姿が焼き付いた網膜に記憶を載せ、カッコ付け過ぎたかと少しだけ後悔しながら、昴を握って、細やかな快楽に浸って眠りについた。
翌朝、予定通り朝食を済ませてギルドに向かう。
「あ、無理です!登録料が払えません。」
「ああ、問題無い。泡銭だからね。先ずはしっかり稼げる様になって、僕が生きてたら、ゆっくり返してくれれば良いさ。」
登録料は大銀貨3枚、手続きは、申請書に名前と生年月日を書いて提出、魔力測定して終了。
「びっくりです!Cランクでした!」
半数程の人が、魔力1桁のFランク、その半分が魔力2桁のE、また半分が3桁のD、Cランクはそのまた半分で上位6パーセント、魔力4桁のエリートと言う事になる。測定でスタートするランクが決まり、成果によって昇格する。Bで5、Aで6、Sランクの昴は7桁で850万。
パーティーメンバー募集をチェックしていると、
「今募集しているパーティーは、女性にはオススメできません。貴女なら、ソロで軽めの依頼を熟してスカウトされるのを待った方が良いですよ。」
受付嬢が、耳打ちで裕子に告げた。
取り敢えず、アドバイスを受け入れ、買い物に出掛けた。昴は一応、冒険者として活動していたので、初期投資で必要な物は把握しているし、安くても良いものや、少し奮発したほうが良い物等、経験者として品物を選んでいった。
「お世話になった方のお嬢さんで、準備の手伝いを、頼まれまして。最近の流行りとか解らないので、ご教示願えますか?当面、王都で一人暮らしなのでそのへんもちょっと。」
昴をパートナーと見ていた店主は、つっけんどんな態度だったが、シングルの新米女性冒険者にはとても親切で、お会計の時も、自分の暗算を疑う額で済んでしまった。
お正月休みも、今日でおしまい。
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