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懐柔

 北部の要人の奥様達を支配している様子を見せつけるつもりでいた大奥様は、思わぬ伏兵に主役の座を奪われて、怒り心頭。営業スマイルもぎこちなく、サッサと引き揚げて行った。莉乃(美貴)は、婚約者嬢の由紀と一緒に、参列者達を見送り、流石は王族との、好評価。(見かけの)年齢が近い事もあり、由紀も美貴を気に入ったらしく、屋敷に宿泊しないゲストを送り出すと、

「もう少し、お喋りしていたいのですが・・・」

「それでは、私の客間にいらして下さい、珍しいお菓子があると思います。」

姉の視線を気にして、あまりお菓子に手を伸ばしていなかった事はしっかり観察していたので、簡単にエサで釣って、客間に向かった。


 美貴の部屋は、スイートルームの様になっていて寝室が3つ、御学友と家庭教師の部屋、メイドと護衛の部屋として使用。隣りは王姉の部屋で勿論スイート級。こちらは本物のメイドや護衛が待機している。昴は執事のオジサマと別の階でかなり離れた部屋だが、既に紛れ込んでいた。

「美貴が婚約者嬢を連れて来れたら、解呪して向こうの邪魔出来るんだけどな。」

「こめかみに痣あったもんね。」

「流石にそりゃムリでしょ?彼女から見たら敵の本陣みたいなトコでしょ・・・???」

ノックとともにドアが開き、登場したのは美貴と由紀。

「裕子さん、シュークリームをお願い。」

「かしこまりました。」

美貴が目配せで、護衛のいない事を伝えると、ひとみは催眠魔法で昏睡状態に、倒れ無いよう抱きとめると、ドレスの裾を捲り上げ、その中も下ろし、既に光っていた昴の人差し指が、由紀(×××)に侵入、こめかみの痣が消えるまで魔力を注入した。


 パーフェクトヒールが終わると、昴はまた隠れ、由紀をソファーに座らせてから術を解いた。何事も無かった様に目覚めた由紀は、何事も無かった様にお茶を楽しんで、

「しゅうくりいむ?ですか?初めて頂きました!どちらのお菓子なのですか?」

目を輝かせた。

「メイドのオリジナルですわ。」

「素晴らしいです!レシピを教えて頂くことは出来ますか?」

美貴は裕子を呼んで、レシピの伝授を指示した。同い年(の設定)のひとみも参加して和やかな時を過ごしていた。

 その間、全員で品定め。獅子家の差し金でこの屋敷に来たのは間違い無いが、具体的なミッションは与えられていないらしい。


 裕子と真理は、由紀と共に獅子家から同行している料理人に会いに行く。料理が本職ではないので、キチンとしたレシピが書けないので、メモ程度のレシピに口頭で説明すると言う口実で敵陣に斬り込む。

 元々、美貴が大好物のシュークリームがこっちの世界で食べられない事を嘆き、昴と偶に見かける転移達の情報から裕子がメインで再現した物なので、こっちの世界に限っては、無理矢理感はあるが裕子のオリジナルと言うことにして、厨房で実演指導。アシスタントの真理は、スタッフ達のこめかみに痣を探した。

 裕子の拙い解説でも、プロの料理人達はサクッとクリア。あっという間に裕子の味を超えて、

「中のクリームの味を変えても面白いですね!」

進歩型まで考えていた。

 何かお礼をと言うので、

「ずんだ餅の作り方を教えて頂けますか?」

「えっ?良いですけど、貴族の方が召し上がる様な菓子ではありませんよ、枝豆も、ここでは使いませんから、在庫していませんねぇ・・・レシピ自体はそう難しくも無いんですが。」

顔を見合わせるが妙案は無い。

「食材は、あたし達で持っているわ、良かったら莉乃様のお部屋でご指導頂けませんか?」

「ソンだば、アダシがイグべ、いながのおやつだばな。」

【でしたら、私が行きます、田舎のおやつですから。】

ギリギリ通じる東国訛りのオバちゃんが名乗りを上げた。こめかみに痣があるので、敵陣視察のつもりだろう。裕子は、大喜びで、オバちゃんを連れ帰った。


 部屋での処置は、由紀嬢と同様にパーフェクトヒール、『盗聴』のスキルが、あったので切り取ってから覚醒させる。オバちゃん本人は眠らされていた事にも気付かずに、ずんだ餅の腕前を披露。簡易キッチンと呼ばれてはいるが、一般家庭でこの規模のキッチンなら大豪邸だろう。

 東国のソウルフードに舌鼓、痣の消えたオバちゃんを送り出した。


 昴は執事の臣吾と同室の客間に戻り、痣のある人達の情報と、解呪した事を告げた。

「屋敷の重要はポストは、痣付きで占められていました。大奥様御本人も。」

 本物の護衛達の情報も纏め、明日行うスパイの自白魔法での尋問に備え、早目にベッドに入った。


 翌朝、昴はスパイの尋問に立ち会う為、衛兵の詰所を訪れた。隊長が迎えてくれたが、

「昨夜のうちに、殺されてしまったんだ、あからさまな口封じだな、地下牢に出入り出来る者が、スパイの雇い主に繋がっているんだろうな。」

「現場はどうなっていますか?」

百聞は一見にしかずという事で、現場に向かった。

 地下牢は、それぞれ区切られていて、他の独房の様子は解らない様になっている。それぞれ、格子の直ぐそばで、一突きで絶命したと思われる。死体はそのままで、鍵も掛かったまま。現状保存かと思っていたが、

「何故か独房の鍵が開かないんです、正規の鍵なんですが・・・」

「あ、スミマセン、ちょっと良いですか?」

昴は昨日、鍵に掛けておいた魔法を解いた。

「あ、開きました!どうやったんですか?」

「昨日、スパイから『解錠』と『縄抜け』のスキルを奪ったんですよ。もしかして、奪ったスキル使えるかもと思って試して見たんです、元々持っていた『反転』と『解錠』の重ね掛けなんです、効果あったみたいですね。」

 状況から推測すると、自白魔法を使った尋問が決まった為、口封じに始末されたと思われる。隣の独房も同じ様な感じで格子迄近寄って、無抵抗で殺られた感じ。昴は、昨日隠しておいた水晶珠を回収、隊長とは別れ、莉乃嬢の部屋に向かった。


「一応、助ける気は有ったんだね。」

水晶に録画した地下牢の様子を確認、庭師の姿をした男が侵入、スパイの仲間と思われる。扉の鍵に挑むが、

「術が効がね、オメもてっだってケロ!」

【術が効かない、お前も手伝ってくれ】

牢の中のスパイが格子に近付くと、ナイフで一突き。魔力を纏わせていた様で胸から背中迄貫通。当然即死だろう。

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