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大熊邸

 辺境伯の指示で昴を案内している隊長も、謀叛について全く関わっていない様子、単純に辺境伯の縁談を喜んでいた。

 地下牢には、魔力封じの術で雁字搦めの女スパイが2人、

「凄く用心ですね?」

「ええ、何かの術で脱獄しちゃうんです。ここ半年で5人捕まえたんですが、2人に逃げられまして・・・」

残り2人なので、1人は自白魔法に連動して死亡したのだろう。


 昴はスパイを調べると、『縄抜け』と『解錠』の術を確認した。

「こんなの有ったらまた逃げられそうですね。」

と無意識に手を翳すと、何やら妙な感覚。再度スパイを調べるとスキルが消えていた。もう一人もスキルを消して、『死亡する術』を呪いと捉えて治癒を試みる。パーフェクトヒールの注入口(×××)は拷問にも使っていたようで、初めから開けっ放し。人差し指を光らせてそこ(×××)に挿入した。

 解呪の手応えを感じ、もう一人も同様にヒール、二人ともこめかみに有った痣が消えていた。自白魔法を掛けても死ぬ事はないだろう。勝手に出来る尋問じゃないので、立会の約束を取り付けて、戦力等の説明を聞きながら、屋敷を回った。


 スパイを調べてからは、スキルの見方のコツを掴んで、数メートルの距離で簡単にスキルの保有状況が判るようになった。衛兵の中に、『縄抜け』と『解錠』を持つ者が数人、1人は女性だったので、診察目線で、呪いを確認、スパイと同じ呪いと思われる呪いだった。

「女性には大変な仕事じゃありませんか?」

「ぅんにゃ、平気だべぇ。オラたち頑張ってっから、安心してけさいん。」

【いいえ、平気です。私達が頑張っていますから、安心して下さい。】

「あの、これから街に出るんですけど、美味しいずんだ餅の店知りませんか?」

「ずんだは古都だべ、コッチじゃ見たごとねぇです、おらいのうちじゃかぁちゃんがつぐるけどなぁ。」

【ずんだ餅は古都の名物です、こちらでは見たことありません、我が家では母が作りますけどね。】

「失礼、勘違いでしたね、では、警備、よろしくお願いします。」

東国のソウルフードを話題に、出身地をチェック。こめかみの痣を確認して、女性衛兵と別れた。


 一通り敷地内を巡り、客間に案内された。

「昼食迄はまだ少しありますね、部屋にいらっしゃると、大旦那様(辺境伯の祖父)からお誘いがあると思います、」

急に小声になって、

「お庭でしたら、息抜き出来ると思いますよ。」

元の音量で、

「何かありましたら詰所迄、武装しているもの者に、隊長を呼べと言えば直ぐに参ります。」

と、部屋を後にした。


 昴は、1人でラスボスに挑む気にはならないので、庭に避難した。隊長と巡っている間も、つけられている気がしていたが、その気配が強まったので、見通しの良く無い所を探して逃げ込んだ(フリをして誘い込んだ)。


「あれ?メイドさん達ってお披露目会で大忙しじゃなかったの?」

尾行に気付かれていないと思っていたメイド達は、隠れる事も、誤魔化す事も出来ずに昴の結界に捕まってしまった。3人とも『縄抜け』と『解錠』のスキルを持ち、こめかみに痣があった。サクサクとスキルを奪い、

「ちょっと失礼しますね。」

スカートの中のその中(×××)に魔力を注入、こめかみの痣が消えたのを確認してから結界を解いた。

「あれ?オラ、何してたんたべ?」

「「?????」」

どうやら操られていた様で、拘束されていた事も、パーフェクトヒールも覚えていない。

「なんで、こんなモン?」

3人はそれぞれ包丁を握り締めていた。

 取り敢えず、包丁を厨房に戻すよう提案する。状況の把握が出来ていないメイド達は言われるがままに厨房に向かった。

 昴はその後も庭を散策、11時半を過ぎてから客間に戻り、昼の知らせを待った。


 一方、大広間では、辺境伯の婚約者お披露目会。ゴージャスなお茶会で、主催者の大奥様こと、先々代の辺境伯の後妻が、周囲の貴族夫人達を相手にマウントを取っている事を王姉に見せつけるのが本当の目的。綺羅びやかな夫人達が先を争う様に大奥様のテーブルに媚びを売りに訪れる。

「剛君、いえ、大熊卿ももう結婚する歳頃なのですね?妾の所は、全く気配が有りませんね。」

「母上、兄上達は、剣術や(まつりごと)の勉強ばかりで、女性と出逢う機会が無いのです、母上達の様な恋愛結婚は素敵ですが、あの様子ですから、わたくしが、未来の義姉(おねえさま)を探します、お手伝い頂けますよね?」

「そ、そうね。3人とも父上に似てしまいましたから。1人位遊び心のある子が居ても良かったのですがねぇ。」

 莉乃に化けた美貴の兄嫁探し宣言は、大奥様ファーストだった媚を全て掻っ攫った。

 特に、歳頃の娘を持つ夫人達は、美貴の一挙手一投足に右往左往、主役の筈の婚約者嬢は、不機嫌な顔をする訳にも行かず、美貴のサポートに。あからさまに不貞腐れた大奥様は、

「大姉殿下、御令息に相応しい娘を手配しましょうか?」

「いえ、妾が口を出しては上手くいきそうもありません、莉乃の話なら聞くかもしれませんね、まぁ、そのうちですよ。」

微妙な雰囲気のまま、お披露目会がお開きになった。

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