ギルドと提携
郊外に出ると早速、怪しい馬車が近付いて来る。少し並走して追い抜くと、その後からもう2台、盗賊が馬車を襲う基本らしく、遠慮なく、戦闘モードに入れる。因みに、並走した時に声をかけて来るのはほぼナンパ。コッチの方が力任せで始末出来ないので面倒臭い。
セオリー通り、前・横・後を3台の馬車で囲み、如何にもワルそうな男達が武器を手に馬車から降りて昴達の馬車を囲んだ。ボスらしき男が、
「ちょいと失、礼・・・ん!」
馬車の扉に触れた瞬間、バチンと飛ばされ、隣りに停めた自分の馬車に叩きつけられ、壁にめり込んでしまった
「何か、ふざけた仕掛けしてやがる、ブッ壊してしまえ!」
ピカピカの新車を戴くつもりでやって来たが、怒りに任せ計画変更。巨大なハンマーで潰しにかかったが、ハンマーは跳ね返され、馬車の壁から脱出出来そうだったボスを直撃。今度は馬車も大破。他の攻撃も全く歯が立たず、跳ね返されてまともに立っていられる者は居なくなった。
「ソロソロかしら?」
ひとみの合図で、真理が結界で盗賊達を拘束、安全を確保してから、縄や鎖で縛り上げ馬車に放り込む。ボスだけヒールして、尋問タイム。
ボスは、絶対に喋るもんかと、強く主張する面構えだったが、ひとみの指導で昴が幾つかの魔法を披露。ボスは失神してしまった。
ここは、失神したボスの夢の中。このまま、騎士団に突き出されるが、予てより太いパイプを持つ騎士団長が揉み消す筈。
「では、領主様に謁見して頂きますので、控え室でお待ち下さい、武器と魔具は携行出来ませんので、控え室でお預け願います。」
ボンボンと小娘達のペーペーパーティーは、魔具のサポート無しでは精々Eランク、奴隷の首輪で屈辱の倍返し。
ボンボンは魔獣のショーで踊り食い、それを観戦しながら小娘達を侍らせていた。
「誰から可愛がってやろうか?」
嫌がる表情だが、奴隷の首輪で服従せざるを得ない小娘達を見定め、一番気が強そうな娘のスカートに手を・・・
「うわっ!冷てぇ!」
目を覚ますと、一番気が強そうな娘が氷魔法で、頭部を凍らせていた。
「もっと弱くしないと死んじまうから気をつけてね!まあ、死んでも、報告書だけで、お咎めもないから良いけどね、余裕が有ったら、覚えた魔法色々試すと良いわ。あ、なるべく殺さないでね。」
昴は少し惚けて、魔力弾を誤射した様にして大岩を砂利にした。
「どうも、魔力の調整が難しいんだよね。」
魔力銃を翳して不具合を確かめる素振り。改めて魔力を注入すると、
「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺の知ってる事ならなんだって話すから、な、あのな、騎士団長の弱みも握ってんだ、な、悪いようにはしないって!」
盗賊団の全容、背後関係等、ペラペラと、騎士団長が、麻薬の密売に関わっている事を証拠も含めて話して、
「まぁ、俺が知ってる事、全部だ!助けてくれるんだろ?」
「そうね、事実関係確かめてから、正当な処置をするわ。」
涼しく微笑んで、雷土魔法。意識を刈り取ると、裕子がひょいと、子分達の束に放り込んだ。
馬車を連ね一旦街に戻り、ギルドに顔を出す。事情を話して、盗賊達を預かってもらう。ギルド経由で騎士団に突き出す事も出来るが、報奨金が、ギルドに20パー取られるので一般的では無い。ただ、領主にも報告書が回るので、騎士団長といえど、揉み消しが効かなくなる。更に、麻薬密売の証拠を揃えて、領主に面談。普通はあり得ないが、昴のこれまでの貢献は、例外を認めさせるに十分だった。
団長は、自白魔法での尋問が決まると自害。さらなる黒幕への道筋を絶ったつもりでいたが、盗賊のボスが、洗いざらい吐いているので、別ルートで黒幕を追い詰めた。
クーデター計画の資金源になっており、資金の流れを辿ると、辺境伯の参謀に至る。証拠を纏めた所で北都に向かった。
北都に着いてギルドを覗くと、依頼のボードに青い書類を発見、王弟宮からの指名依頼。嫌な予感がして横目でチェックすると、指名は『昴御一行様』で2泊3日での王弟宮の警護だった。無視出来ないルールなので、依頼書を剥がして受付に持って行った。
「昴さんですね?随分とお若く見えますが、御本人でしょうか?」
昴は、目立たないように付けているSランクのバッジをコッソリ見せ、指先で魔力を込めてほんのり光らせた。
「失礼しました、えっと、次の方・・・ングぁ!??ももも、もしかして、元トーラスの皆様でしょうか?」
「ハイ、余り目立ちたくないので、落ち着いて頂けますか?」
「シツレイシマシタ、コチラニオコシクダサイ。」
急にカタコトになった受付嬢がロボットの様な足取りで応接室まで案内した。
ソファーに沈んでいると、ギルマスが駆け付けた。辺境地の不具合を感じとっていたらしく、ギルドで持っている情報を纏めた書類を渡してくれた。大半が、今までに集めた情報と被っていたが、幾つかの謎が解けたのと、解っていても証拠が無かった事がキッチリ裏付け出来たり、地元ならではの身近な事など有益な情報満載、今後の協力を約束して、宿に向かった。




