ボンボン
昴は休止状態だが、それなりの密着を楽しみ眠りについた。朝は、先に起きたひとみが跨って朝の生理現象でカチカチの昴を受け入れた。昴は夢か現か理解出来ないまま、突き上げて応戦、やっと状況把握が出来た頃、今朝の1つ目の爆発。起きるには少し早かったが、ベッドを出て身仕度を始めた。ひとみは、一度元の部屋に戻ると言い、朝食の時間に食堂で待ち合わせを約束して部屋を出た。少し時間をもて遊ぶ事になると、昨夜の記憶がドンドンと蘇り、折角ひとみが落ち着かせた昴は、あっという間に臨戦態勢になってしまった。原因になった記憶を脳内で出来る限り忠実に再現し、右手の仕事をサポート。なんとか2つ目に漕ぎ着けて普通にズボンを穿ける様にして、ひとみが置いて行ったワイシャツとライトグレーのズボンで部屋を出た。
食堂に集まり、食べながら予定の確認、先ずは馬車を買いに行く。
「えっ?魔動車は?」
「あぁ、北都から北はまだ治安が良くない筈だろう?盗賊を返り討ちにして、ワルモノの元締めに辿り着こうって作戦さ。」
確かに、美貴と2人で乗っていても、怪しい馬車が居ても、遠巻きに見ているだけだったし、トーラスが世に知られるようになったのは盗賊の返り討ちだったので、ある意味正攻法だろう。
「それと、皆んなの服、いつもと雰囲気違うね、似合ってるけど、冒険者っぽく無いね。」
「あら?もっと短い方が良かったかしら?」
ひとみがチェックのプリーツの裾を摘んで広げて見せた。
「元の世界の女子高生みたいって思って。丈は充分に短いと思うよ。」
「そうでしょ!高校セーラーだったからね、コッチにしてみたんだ、お兄ちゃん、どっち好き?」
ふと、高校時代のみなみと結依が脳内に登場、ソレっぽく無いほうが良いかな?と、
「コッチかな?多分セーラーも可愛いと思うけど、そうしたら僕は学ランでしょ?それはどうかと思って。」
ズボンのライトグレーはブルー系のチェックに使われている1色だった。
「美貴の周りの中学ってさ、どこの学校もブレザーだったからね、セーラーの方が大人な感じに思って、お兄ちゃんと同じ高校選んだんだよ!」
制服で選べる様な偏差値の学校では無いが、昴も『近いから』と選んでいたので、まぁ気にしない。
昴の本日のミッションは、金持ちのボンボンを演じる事。
「ボンボンって歳じゃ無いでしょ?」
「早漏防止でお○ん○んにヒール掛けたでしょ?オーバーヒールと同じ効果みたいね、ハタチくらいかな?自分で鏡見てみたら?」
鏡を見ての自己評価は、大学入った頃。女子と違い、それほど鏡を見つめていなかったので決め手は無いので、まぁそんな程度って感じ。
宿から徒歩で馬車屋に向かう。商店街の端から端への移動だが、冒険者風の衣装の時と比べ、圧倒的に視線が絡みついた。たかが十数分でナンパらしき声掛けが8回、立ち止まってのガン見、振り返ってからの二度見等等、旋風を起こしながら目的地に到着した。
馬車も安い買い物ではないので、何度も通ったり、他の店と比較したり、元の世界で自動車を購入する様に結構なイベント。
ハタチそこそこの若僧が、女の子を引き連れて来店すると、お金持ちのボンボンにほぼ間違い。良いカモが来たと店員が駆け寄る。その辺りは想定済み。店員は2頭立てで、座席が8人、御者台に2人乗れるゆったりしたサイズで濃紺の馬車を奨めた、多分、店内最高値だろう。冒険者なら、目立つ色は避けアースカラーが殆ど、サイズも必要最低限の人数で選ぶ筈。ボンボンのハーレム旅行にしか見えないだろう。しかも即決はせずに値引き交渉がセオリーだが、
「うん、良さそうだね!馬車はコレに決めるよ、あと、馬も頼もうか。」
あっさり決めると、裏の馬小屋に案内された。ひとみがまた、音の出ないホイッスルを吹く、
「え?今、鳥を呼ぶの?」
「ああ、コレは別の笛よ。馬を見て!」
数頭のうち3頭が明らかにひとみを見ている、試しに移動すると、長い首はしっかりロックオン。そのうち2頭がオスだったので、その2頭に決定。馬車を外せば、乗ることも出来るよう鞍もつけて貰う。
店内に戻ってお支払い。窓には野次馬が貼り付いているがお構い無しに、ウエストポーチから大きな革袋を出し、そこから大金貨を鷲掴み、カウンターに6枚積んで、手に残った数枚を革袋に戻した。店員は満面の笑みで茶菓子をすすめ、雑談をしながら、手続きを済ませた。
一度宿に戻り、車庫を貸して貰う。話しはつけてあるので、サクッと入れて結界で遮断、美貴は用意してあったパーツを取り付けたり、交換したりして、見かけは大きめの乗用車のままだが、サスペンションの改良や、壁を装甲車並みに強化、魔石に貯めた魔力で、馬ごとガード出来る結界も張れる。
仕上げにプレアデスのシンボル、六連星を描いてチューンナップは完了した。
馬車に乗って市街地を出る。御者台に座った圭織と真理は、すれ違う馬車の御者の視線を手繰り寄せてしまい、あわや交通事故。賢い馬のお陰で、少し渋滞を招いた程度。仕方が無いので、人気が有るうちは昴が手綱を取ることにした。




