ダンジョン外は苦戦
「おはよ、昴!」
「あ、うん!おはよう、裕子。」
固くなった昴が、自分と裕子に挾まれているのに気付き、慌てて腰を引いた。
「ねぇ、練習の成果見てもらって良い?」
「いや、遠慮しとくよ。」
「じゃあ別の?一応、咥え方とかも、習ったけど、ソッチが良い?」
「いや、もう起きよ!」
「ソレ、そのまんまじゃ、ズボン穿けないでしょ?」
「そのうち、収まるから気にしないで!」
真上を向いたままでトイレで苦労はしたが、なんとか落ち着いてズボンもクリア。1階にある共用スペースに降りた。
「おはよう、昴。遠征は充実していたか?」
「おはよ、圭織。計画はコンプしたよ!」
「ダンジョンだけね。」
裕子が付け加えた。
昴は他のノルマなんて無かった筈と首を傾げたが、真理とひとみが、報告を強請ったので、便乗して聞いてみた。
「キスはお強請りしてOKだったけどね、ちょっとだけだったから、2回目からは、あたしからしてね、舌は入れさせてくれるけど、入れてはくれないの。お風呂はOKね。ベッドもクリアだけど添い寝だけよ。こうやって触らせても、揉みもしないんだから!」
「うん、解った。ボクもそこ迄は期待出来るんだよね?」
昴は圭織に視線で捕らえられ、首を縦に振るしか無い雰囲気に従った。
ダンジョンでの報告をしながら、朝ごはん。食後、ひとみが魔具の点検をして、
「大丈夫ね、コレ美貴から預かってたわ。」
剣を渡した。
「じゃ、頑張ってきてね!もち、ダンジョン以外もね!」
と真理、
「あたしよりは進めてね!」
と裕子。圭織はニコリと微笑み、親指を立てた。
馬車に載ったのは圭織だけ。
「えっ?他の皆んなは?」
「遠征はボクだけだ、裕子と2人はOKで、ボクは駄目なんて事は無いよね?」
「あ、あぁ・・・あ!?」
御者台に並んで座った圭織は、見送りの皆んなに手を振ると、目を閉じて、昴に唇を突き出した。
「何してるの?」
「キスのお強請りだけど?」
「えっ?こんな所で?しかも皆んな見てるじゃん!」
「OK!じゃあ、皆んなが見ていない所で。約束だ!」
いつの間にか、昴の右手の小指は、圭織の小指に絡み取られていた。
今回は牡牛領北部のダンジョンに向かう。ダンジョン攻略の拠点として栄えた街はアナーキーなイメージだが、発見当初から昴が関わって居たので、それ程治安が悪い訳でもない。宿屋街も有るが、圭織はそこをスルーして、歓楽街の奥の宿に向かった。
「アッチの宿、空いてないか聞かなくて良かったの?」
「裕子とは、そういう宿だったんだよね?そこは平等でいこう。」
昴はどう反応して良いのか解らず、圭織に手綱を任せた。
裕子の時のリピートの様にゴム製品を貰って部屋に入った。先に入った圭織はクルリとターン、昴に正対して目を閉じて少し上を向いた。昴は、お強請りの意味は理解したが、
「裕子と付き合うのを応援して、2人にしてくれたんだと思ってたんだけど、圭織はそうじゃ無いの?」
「半分正解かな?裕子との事も、応援してるし、ボク達の事も応援して貰うし、真理もひとみも一緒だ。美貴と成美も希望すれば、歓迎するつもりだ。」
応答の無い昴に、圭織は、背伸びをして、唇と唇の距離を縮めた。長身の圭織が接近すると、10センチ程度の距離となる。昴は拒否権は無く、併せて裕子の時以上がノルマと考え、圭織を抱きしめ、唇を重ねた。触れるだけでは、やり直しになりそうなので、しっかりと舌を絡めたが圭織からの反撃は無かった。離れた時、唾液が糸を引くと圭織が赤面、
「女性らしい事が出来ず、申し訳ない、ココも標準以上の筈だが、裕子のリーサルウェポンの後では霞んでしまうだろう。」
普段、歌劇団の男役の様なイケメンキャラが目を伏せて恥じらう様子はギャプ以外の何物ではなく、標準以上という膨らみも、普段意識していなかった分、インパクトがあった。
「自分で脱ぐ?」
これから入浴なので、脱ぐ・脱がないの選択肢では無いのは仕方が無いが、自分で無ければ、昴が脱がせる事しか無い、YESの一択だった。
圭織は、スルスルと脱いでいき、残りは上だけ1枚になった。
「後ろ、手伝ってくれる?届かないんだ」
昴がホックを外すと、
「昴はどうして欲しい?」
「あ、大丈夫、自分で脱ぐよ!」
今は脱がずに、交代で入浴すると言う選択肢もあった筈だが、脱ぐ・脱がされるの二択と思い込んで即答してしまった。
2人での入浴は裕子で少し慣れていたので、サクっと身体を洗って浴槽に逃げ込んだ。圭織も続いて、昴を背もたれに密着した。座高が高い分、視界が遮られて良いかと思ったが、ブロンドのショートカットの首筋が思っていたより華奢で昴の心拍数を高くした。改めて緊張した昴の両手は、圭織に捕まり、両方の膨らみで解放された。
「やっぱ、触るだけ?」
昴は無言で弾力と、滑らかさを堪能、しばらくすると、
「コレも一歩前進だな、感謝する。」
「いや、それって僕のセリフじゃないか?」
「そう思うなら、次もよろしく頼む。」
恥ずかしそうな仕草と、普段通りのマニッシュな語りは、やはり絶妙なギャプで、昴を暴発させてしまった。




