ダンジョンは順調
その後は、何事も無かった様に、朝食。馬車をレンタルしてダンジョンに向かった。
治安が良くなっていて、危険は殆ど無い。裕子が手綱だと、ナンパが面倒な位で然程の問題もなく、夕方には目的地に到着した。
ダンジョン前のキャンプスペースにテントを張って一泊する。昨夜の事もあり、期待なのか不安なのか解らない落ち着きの無さを味わう昴だったが、特に何もなし。寝不足もあって、寝袋のファスナーを上げきったかどうかのタイミングで眠っていた。
さて、いよいよダンジョン攻略。今回の目的は、昴の無駄に強い魔力を攻撃に変換する魔具の実用試験。
ブーツ、ベルト、ガントレット、ネックレスの連携で、鎧と身体強化の機能を発揮させる事と、その派生で結界での防御、拘束にトライする予定。
ダンジョンは10階層程の小規模な物だが、比較的浅層から強力な魔物が出現するため、トレーニング向きとしては有名だが、実入りが極端に少ないので、人気はあまり無く、この日は貸し切り状態だった。
引退からの復帰、トレーニングは積んでおいたが、長い間実戦から離れて感覚が鈍っている。取り敢えずリハビリを兼ね、以前のように剣技で1階層に挑んだ。何も問題なくクリアし、階層を下げて、装備品での身体強化、結界での防御を試した。
そこまではカンタンにクリアしたが、応用で魔物を結界で拘束する技は、少し苦労した。色々工夫しながら中層までにはマスター。魔物を拘束して他のメンバーが、一方的な攻撃で始末する作戦。普段は真里が担当のポジションだった。
その後も順調に魔物を倒し、夕方には最下層、蜘蛛の魔物をサクっと片付けた。少しだけ休憩して地上に戻る。降りる時に、徹底的に倒しているので、ハイキング程度の労力で、サクサク昇り日が変わらぬうちに星空を拝むことが出来た。
もう一泊テント。昨夜と同じ様に緊張の要らない夜を想定していた昴は、
「もう、寝ようか?」
「うん、あたし、先に着替えるね。」
と、テントに入っていった。
「もう良いよ!入って!」
ゴソゴソと入ると、
「ふぇ?」
驚きのあまり、声がひっくり返った。テントの中にはマットレスが敷き詰められていて、枕元には、宿で貰ったゴム製品?いや、持参していたのだろう、1ダースの箱入が置いてあった。
昴は、思い切って自分から唇を重ねたが、裕子の期待は叶わずにそれ以上の進展は無く布団を被った。
翌朝、裕子は娼館のお姐さんに教わった技に再び挑戦、昴は本人が目覚める前に爆発していた。爆発で目覚めた昴は、その影響を気にしたが、
「大丈夫、飛ばさない様にしてあるから!」
枕元の小箱は開いていて、中身は11個になっていた。
「もう自信が付いたから、今度は昴が起きてる時にしてあげるね!じゃあ、ご飯にしよっ!」
何事も無かった様に、身支度を始めた裕子を見て、昴はまたフリーズ。昴も復活してしまい、
「今、試して見よっか?」
「あ、全然大丈夫!ご飯の支度しないとね!」
ズボンの穿き心地は悪いが、気付かぬフリで竈に向かった。
帰りの馬車では、御者台に並んでで座り、ほのぼのと西都に戻った。そのまま夜行列車で牡牛領に帰る。列車の中でも、裕子の密着は続き、少し慣れて来ると、罪悪感は薄れ、当たってドキドキしていた部分を触ってみたいという欲求に駆られた。必死に堪えて牡牛領の駅に降りると、
「昴は明日からまた遠征でしょ?今夜はあたしの部屋でいいよね!」
最後の方は疑問文ではなかった。
裕子の部屋は、6世帯入るアパートで既にトーラスメンバーが4室を占めていて、加入予定の成美と美貴で満室になる予定。両隣は圭織とひとみで2人とも在宅のようだが、裕子の帰宅に反応は無かった。
夜は裕子の手料理、なかなかの味だったが、女子の部屋で過ごす事なんて経験していない昴は妙に居心地が悪かった。当然の様に一緒に入浴するが、2人で入る事を前提とした宿とは違い、一人暮らし向けのアパートでは、狭い分距離が近く、視線の逸らす事も困難、浴槽に至っては、ギュウギュウ詰め。ただ、落ち着かない分、気が紛れたかもしれない。
ベッドはシングル、ソファーは無いので、昴は床で寝ると主張、
「どうして一緒じゃ駄目なの?どうしても一緒が嫌ならあたしが床で寝るよ。」
裕子が押し切ると、昴の手を引いて、自ら押し倒された。巻いていたバスタオルは丁度良く外れ、昴のバスタオルも奪って灯りを消した。横向きに寝て昴に背中を預けた。昴の腕を引っ張って、包み込まれると、その手の平で自分の膨らみを包んだ。
昴は慌てて手を引っ込めようとしたが、そっと掴まれていた気がしていた手首はガッチリと拘束されビクともしない。
「ちょっとショック。大抵の男の人ってさ、だらし無い顔でガン見するか、ズルい顔で二度見するのよココ、触りたいとか、揉みたいとか思わないの?」
「いや、ソレはそうだけどさ、もし触ったら、その瞬間から犯罪者扱いされたりするんじゃないかって思ってね、『ギルティ!!』とかって。」
「あたしって、そんな意地悪する?」
「・・・そうじゃ無いけどさ、あんまりにも急で・・・」
「んとね、あたし的には、奴隷商から買って貰えた時からその気だからね、全然急じゃないよ。昴が急って思わなくなってからでいいかから気にしないでね。」
掴んでいた手首を離し、そっと手の甲に重ねた。




