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お払い箱のポンコツ治癒師

医大卒業間近の昴は、附属病院に勤務する幼馴染みと高校の同級生、それと同い年で地元が近い入院患者と異世界に転移してしまった。

「そう、気にするなよ、僕だって、迷惑掛けっぱなしじゃ居心地が良くないからね!」

パーティーの、脱退を勧められた(すばる)は、素直に受け入れたが、男子メンバーから引き留められた。

「いや、別に問題無いしさ!女子のヒールは出来るんだから、これまで通り、俺らと一緒に活動しようよ!」

「ねぇ、落ち着いて考えて。Sランクが居るとね、ギルドの会費が小金貨2枚よ。私達だけなら四分の一の大銀貨5枚で済むの。」

 みなみの言う事に間違いは無い。

「さっきだって、ヒールして貰ってたじゃんか!」

 (さとし)が食い下がると由衣(ゆい)が、

「魔具屋さんの軟膏、小銀貨2、3枚のヤツの方が良く治るわ、ひと月は持つし。」

 追い打ちを掛ける。


 ザックリした価格で言うと、ギルドの月会費が15万円余計にかかり、働きは2、3千円の薬以下。昴自身が1番解っていた事だし、みなみが『私達』と表現しているので、その時点で自分は仲間ではないと言われているのも同然。事実を抉られる前に立ち去りたかったが、思うようには行かなかった。


 昴の脱退に反対する男子3人を、女子3人が説伏せ、一応昴も希望した通り、脱退が成立した。

 ギルドに行って脱退と、ソロ活動の手続き。ソロの場合はランクに関係なく年会費が小金貨2枚。かなりの出費だが、退職金的に、大金貨1枚貰っていたので、半年は安心して働ける。戦闘系魔法が全く使えない昴は、危険が少ない場所の薬草採取などで小銭を稼いで、なんとか、初期投資で残った小金貨5枚は手を付けず暮らしていた。


 昴が抜けたアルデバランは、昴を守るリソースを攻撃や他の防御に回し、効率的に戦い、会費ダウン、収入アップ。取り分も増えるし、昴に遠慮していた宿の部屋割りも、私達(・・)3組で3部屋、場合によっては、男女向けのリーズナブルな宿も選べるので経費も削減、デメリットは全く無し。冒険者ライフを楽しんでいた。


 バリバリ働くアルデバラン、ひっそり働く昴。同じギルドだが、偶々会うことは無かった。半年ほど経ったある日、

「おう、しばらく!晩飯奢るから、ヒール頼めるか?」

満面の笑みで聡が昴に駆け寄った。にこやかな貴浩(たかひろ)大輔(だいすけ)に対し女子達は、微妙な雰囲気、

「大した傷じゃないわ。」

「いいじゃん、治して貰えよ!」

居酒屋の個室で食事、その時にヒール。擦り傷や青タンがキレイに治った。お会計は昴も払おうとしたが、聡が仕切って受け取らなかった。


 昴と別れたアルデバランは、宿に戻る。いつもの様に3部屋に別れた。美音(みおん)は、久し振りの3回戦を貴浩の上で堪能、ふと昴を思い出した。


『向こうの世界なら、どうなっていたのかな?』

 昴とは幼馴染、産まれてからずっと家族ぐるみの付き合いで、中学までは、一緒にいることが当たり前だった。医者を目指す昴とは、学力に差があり、高校は別の学校になったが、専門学校を出て、昴の通う医大の付属病院で医療事務の仕事をしていた。何とか接点を維持する事と、あわよくば、一緒に開業できればと、考えていた。

 物心ついた頃から、昴に片想い、高校になってからは、校外にまでも有名な美少女2人に言い寄られて、自分の出る幕は無いと思っていたが、実は昴も、同じ様に美音を想っていたので、なんと十数年もの両想いだが、その事は本人達は気付いていなかった。

『コッチじゃポンコツ過ぎるのよね。』

 学校のヒーローだった昴、兄妹の様にじゃれ合った昴を思い浮かべたが、今、自分の下で唸っている貴浩に会うきっかけになったことを感謝するだけの存在になっていた。

 そのまま、余韻に浸りながら眠り、朝は貴浩主導でひと揺れしてから遮音結界を解いた。両隣も同じ様に楽しんでいたようで、同じ頃結界が解かれた。


 その日の依頼は遠征しての魔物駆除。途中一泊が必要で、温泉宿に泊まれる様に、早朝の出発。順調に温泉街に到着した。遅い時間だったので、雑魚寝の大部屋しか空いていなかった。

「結界で仕切ればいいわ。」

荷物を置いて浴場に向かった。

「なぁんだ、混浴じゃないのね。」

 のんびり温泉に浸かり、みなみはガッカリ。由依も同感の様子、美音はお湯に浮かぶ2人の肉塊の重みを確かめながら、

「私は、貴浩がおっきいコレ、チラ見するの、ちょっと嫌だから、混浴じゃない方がいいかな。」

少し苦笑い。

 美音が、昴の話題を切り出すと、由依は、

「えっ?それじゃあ、両想いだったんじゃん!私ね、高1の時告ったんだけどさ、別の高校の幼馴染が好きだからってゴメンナサイだったのよ!んでその子と付き合ってるか聞いたら、片想いで告った事もないって言ってたの。」

みなみも、

「私は高2の時ね、内容は以下同文って感じかしら。それでも諦め切れないから、看護師になって、一緒に働こうと思ってたんだ。医大はムリだからね、文系だし。」

「私は理系だったけどね、やっぱ医大はムリで薬剤師。皆んな同じ感じで仕事選んだんだね。」

早々に貴浩に乗り換えた美音は、

「異世界なんだから、ハーレムもアリかと思ったんだけどね、結構露骨に誘っても昴ってば全然だしさぁ、生きるためには、コッチで頼れる人が良いもんね。高校一緒だったのに全く覚えて無かったけどね。ま、クラスは違ったから仕方が無いか。」

「私は、小学校で3人とも同じクラスになった事あったよ、何となく覚えるけど、大人になった時と同一人物には思えないから、ほぼ知らない人だったなぁ。」

と、由依。みなみは

「私は同中らしいんだけど、やっぱ覚えて無いや。それにしても、3対3で好み被らなくて良かったよね!」

しばらく、昴のポンコツネタで盛り上がっていたが、美音は少しローテンションで、

「でもさぁ、アイツ、魔法無しでも結構戦えるじゃん?難易度上げても、やっぱ頑張ると思うんだよね、いつか大怪我したり死んじゃったりしそうってのも、脱退勧めた理由なんだよね。」

2人も染み染みと頷いたが、

「ま、最大の理由は別にあるけどね!ソロソロ上がって最大の理由を楽しみましょっ!」


 その頃男湯では、

「なぁ、やっぱアレだよな?昴のヒール!」

「ああ、絶対そうだな!」

「やっぱ、復帰じゃね?」

薄々感じていたヒールの副反応。ヒールの時に一緒にいると、男性(×××)のパワーが漲るようで、脱退から数ヶ月効果があった。毎日のヒールが無くなって半年、今回は昨日の1度きりだが、少なくとも2日目でも効果は持続している。


 副反応のことを女子達に話しても、大した交渉材料にはならないと判断し、機会があれば昨日のようなシチュエーションに持っていく事で方針を纏めて部屋に戻った。


 部屋には6組の布団が敷いてあり、真ん中に衝立。

「折角だから衝立も使うか。」

大輔と聡は衝立を移動させ一応3つに仕切った。

 副反応の恩恵はしっかり継続、『最大の理由』を夜の3回戦と朝の延長戦を楽しんだ。

こんにちは、グレープヒヤシンスです!

久しぶりの投稿です、覚えていらっしゃいますか?

土日祝の零時投稿予定です、よろしくお願い致します。次は明日で、5日まで連投致します!

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