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8:あやかし憑き



「二人ともいらっしゃい」


「うむ、出迎えご苦労」


「ギンコ、ちゃんと挨拶する」


「…こんにちは」


 数日後、ギンコたちが再びやってきた。


「それじゃあ俺はフミさんと話があるからクロたちは外で遊んでて」


「ん、わかった」


 クロたちあやかし組は遊び道具を手に庭に向かう。


「ではフミさん、行きましょう」


「ああ」


 ハジメたち二人は家の中へ向かう。



 女性の名は九重フミ。ギンコが暮らす神社の家の娘で巫女をやっているそうだ。Tシャツにジーンズとラフな姿だがどこか神秘的な雰囲気を感じさせる女性だった。


「ウメさんから話は聞いているわ。あやかしが見える孫がいるって」


「え?」


 どうやら祖母はフミの神社と以前から親交があり、ハジメのことだけでなくクロについても知っていた。


 祖母とハジメはあやかしが見える特殊体質であやかし憑きというらしい。


 クロは人の姿になる前からあやかしだったという。そのため普通の人には見えず、祖母とハジメだけにしか見えていなかったのだ。


「知らなかった…」


 初めて知る事実に衝撃を受けるハジメ。


「心配しなくていいわ。あやかし憑きを保護するのは私たちの役目だから。それにあなたのことはウメさんからも頼まれているしね」


 祖母はハジメのために色々動いていたらしく、この家の相続もその一つだという。


「本当はもう少し落ち着いてから挨拶に伺うつもりだったのけれど」


「ギンコが先に来ちゃったと」


「ええ、猫のあやかしが人化するのは予想できてたけどまさかもう一人増えるなんて予想外だったわ。ギンコも見習いとはいえ一応土地神だから看過出来なかったみたい」


 クロのことは元々把握しており人化することもわかっていたので問題なかったそうだが、イモコのことは完全にイレギュラーだったらしい。


「それで俺はこれからどうすればいいのですか?」


「このまま普通に過ごしてもらって構わないわ。何かあれば連絡してくれればこちらで対処するわ」


 あやかし憑きと判明したが特にすることはないらしい。クロたちについても、


「みたところあの二人は人に害するような感じじゃなかったし問題ないわ。けど中には危険なあやかしもいるから用心して」


 どうやらあやかしには危険な存在もいるそうだ。


「それから、もう少し言葉崩してもいいわよ。年も近いことだし」


「ああ、わかったよフミさん」


「フミでいいわ」


「フミ、これからよろしく」


「ええ、よろしくハジメ」




 話が終わり庭に出ると、


「ククク、どうした全然届いてないぞ」


「む、イモコもっと高くする」


「こ、これ以上は無理ですぅ〜」


 宙に浮くギンコとイモコに乗ったクロがバトミントンをして遊んでいる様だが、ギンコが高いところにいるためクロの打つ球が届いていなかった。


「ギンコ、むやみに力を使わない!」


「げ、フミ」


 フミに注意され地面に降りるギンコ。


「フミ、あれは?」


「あやかしは特殊な力を持ってて、ギンコのは妖術。今みたいに宙に浮くこと以外にも色々できるの」


 どうやらあやかしには不思議な力があり、マンガやゲームみたいな能力が使えるらしい。


「フミ、クロは何ができる?」


 クロがフミに駆け寄り質問する。


「そうね猫又に多いのは身体能力の向上だったはずよ」


「?」


「クロ、試しに思いっきり高くジャンプしてみようか」


「ん、わかった」


 クロが足に力を込めジャンプすると、先程ギンコが宙に浮いていた地点よりも遥か高く飛んでいた。


「すごい。ハジメ今の見た?」


「うん、とても高く飛んでたね」


 クロは自身の持つ力に興奮していた。


「イモコは何ができるかわかる?」


 イモコに聞いてみると、


「は、はい。お見せしますね。むん!」


 イモコが手で印を組むと、ポンと煙に包まれた。そして煙から現れたのは狸の置物。


「う、上手くできてますか?」


「うん、ばっちりだよ。イメージ通りだね」


 イモコの力は変化。その名の通り何かに化けることができる。化け狸のイメージ通りの力だった。


 フミによると世間に伝わるあやかしの能力は事実であることが多いとのことだが、あやかしを知るものが少ないので隠す必要がないのだという。

 まぁハジメも最近まで知らなかったので問題はないのだろう。




「ギンコ、そろそろ帰るよ」


 ギンコとフミは帰り支度を始める。


「あ、ちょっと待って」


 ハジメは駄菓子屋へ向かうと、


「はいこれ」


「?」


「今日はクロたちと遊んでくれてありがとう。これはそのお礼」


 ギンコに渡した袋には駄菓子が入っていた。


「帰ったら食べてね」


「おお、見たことないのがたくさん入ってる。これ全部ウチの?」


「そうだよ。その代わりちゃんとフミの言う事聞いていい子にするんだよ」


「わかった!」


 元気よく返事するギンコ。


「すまない、今度何か持ってくる」


「構わないよ。それよりまた遊びに来てくれた方が嬉しいかな。クロたちも喜ぶし」


「そうか。ギンコ、またここに来てもいいってさ」


「来る!」


 ギンコは食い気味に即答する。


「クロ、イモコ。ギンコまた来てくれるって。よかったね」


「ん、次は負けない」


「お、お待ちしてます」


 次も遊びに来る約束をして改めて帰っていくギンコとフミ。


「それじゃあ俺たちもおやつの時間にしようか」


「ハジメ、ギンコにあげたのと同じの食べたい」


「わ、私も同じのでお願いします」


 ハジメたちは駄菓子屋へと向かう。





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