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7:ギンコ



「あ〜、また負けちゃいました」


「ん、クロの勝ち」


 ある日の午後。駄菓子屋が開くまでの間、庭で遊ぶクロとイモコ。バトミントンで勝負しているようだ。


 イモコが来てからは裏山に行かない時もあり、こうして庭で遊んでいた。ハジメはその様子を微笑ましく眺めていると、


「いた!」


 声のあった方を見る。ハジメの家の前に一人の少女が立っていた。巫女服を着た狐の耳と尻尾を生やした銀髪の少女。


 少女はクロたちの前までやってくる。


「クロ、イモコ知り合い?」


「ん、知らない」


「いえ、知らないです」


「ウチの名前はギンコ。ここ一帯を管理してる神様よ。覚えておきなさい!」


 手を胸に当て自己紹介をする狐耳の少女ことギンコ。


「神様?」


「か、神様!?ひ、どうか命だけはご勘弁ください〜」


 キョトンとするクロと命乞いを始めるイモコ。


「えっと、その神様がわざわざここまで何の用かな?」


「そこのあやかしたちの主はあなたかしら?」


「うーん、どちらかといえば保護者かな」


「ま、どちらでもいいわ。あんたたち、ウチの眷属になりなさい!」


「ん、やだ」


「わ、私もお断りします…」


 唐突なギンコの提案を即答で断るクロと、おずおずと断るイモコ。


「ふん、どうやら力づくでいうこと聞かせないとダメみたいね」


「戦うの?負けない」


 ギンコとクロの周囲の空気が変わる。あまり良くない雰囲気だ。


「ひぃ。ど、どうしましょうハジメさん」


 イモコがハジメに助けを求める。


「ちょっと待った!二人ともいったん落ち着こうか。クロ、おやつまだだけど無しでいいの?」


 ハジメは二人の仲裁に入る。まずはクロを説得する。


「だめ、食べる」


「じゃあ戦うのやめよう」


「ん、わかった」


 クロから圧が消える。


「ギンコだっけ、よかったら君も一緒におやつ食べる?」


「え?ウチもいいの?」


 キョトンとするギンコからも圧が消える。ひとまずなんとかなったようだ。




「何これ、おいしい!」


「ん、このサクサクは最強」


「あ、あのこっちもおすすめです」


 先ほどの緊迫した空気から一変し、和やかに駄菓子を楽しむ三人のあやかし少女たち。


 駄菓子屋の店内に並ぶ駄菓子を見て目を輝かせるギンコ。自分のお気に入りの駄菓子を薦めるクロとイモコ。


 その様子を見てホッと一安心するハジメ。今まで何もなかったので油断していたが、彼女たちはあやかし、人間とは違うことを今回改めて感じさせられた。




「この度は身内がご迷惑をお掛けしました。ほらギンコも謝りなさい」


「うぅ、ごめんなさい」


 ゲンコツをもらったギンコが涙目で謝る。


 その後ギンコに住んでいる場所や保護者はいるか聞いたところ、ギンコはこの町にある神社に世話になっているそうで連絡してからしばらくすると一人の女性がやってきた。


「ん、許す」


「わ、私も大丈夫です」


 クロとイモコは謝罪を受け入れる。二人とも特に気にしていないようでよかった。


 そのまま女性に連れられ帰っていくギンコ。


 ハジメたちも家に戻る。



 今まであやかしについて何も知らなくてもなんとかなると楽観的に考えていたが、今回の件で考えを改めることにした。


 ギンコを迎えに来た女性は神社の関係者。彼女から後日改めて話をしたいと言われた。


 少なくともハジメよりはあやかしについて知っているようだろうから色々聞くことにしよう。

















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