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12:お祭り



「それじゃあ行きましょうか」


 夕方、準備を終えたフミたちがハジメの家を出る。


 今日はお祭りの日。ハジメは準備の為朝から神社に行っており、クロたちの引率はフミが行うことになっていた。


 九重神社はハジメの家から車で三十分程。フミの車に乗り神社に向かう。



 神社に到着する。普段なら気付かれずに素通りされてしまう程小さな神社だが、今日は提灯の灯りで幻想的に彩られていた。


「ん、きれい」


「はぁ〜、ここがお祭りの会場なんですね」


「いつもの神社と全然違う。フミ、ここ本当にウチの神社?」


「ええそうよ」


 クロとイモコは初めて見た神社の光景に感動する。ギンコは普段と違う様子の神社に驚いていた。


「さ、早く先に進みましょう。ハジメたちが待っているわ」


 入り口で立ち止まっているクロたちにフミが先に進むよう促す。




「ん、お店がある」


「見てください。屋台がありますよ!」


「本当にウチの神社でお祭りやってる」


 境内まで進むとここにも提灯が並び、その奥には屋台と大きなテントがそれぞれ一つ立っていた。


「いらっしゃい、みんな浴衣似合ってるね」


 屋台の中からハジメが出てくる。


 浴衣はこの日のために用意したもので、クロは青、イモコは赤、ギンコは白の浴衣を着ていた。



「おう、ちびたち来たか。それじゃあ始めるとするか」


 テントの方から坊主頭の大柄な男性が出てくる。九重レイジ、フミの兄でこの神社の宮司だ。


 ハジメも同じ位の背丈なのだが体格の良いレイジと比べると細く見える。



 屋台には大きな鉄板、テントにはかき氷器やわたあめ機がそれぞれ用意されていた。


 屋台はハジメ、テントはレイジが担当するようだ。


「みんな、何から食べる?」


「ハジメ、食べ物何があるの?」


「ああ、ごめんごめん。メニュー表用意してたんだった。はいこれ」


 クロにメニュー表を手渡す。


「たくさんある」


「私これがいいです」


「ウチにも見せて」


 クロたちはメニュー表に食い入るように見る。


「みんな決まった?」



「うまうま」


「あ、次はそれください」


「なぁレイジ、ウチもそれやりたい」



 クロたちは各々食事を楽しんでいた。


 クロは両手いっぱいに焼きそば、たこ焼きお好み焼きなどを抱え口いっぱいに頬張っていた。


 イモコは一つずつ丁寧に食べてはいるが、そのペースは早く用意したものをコンプリートするつもりのようだ。


 ギンコはわたあめを作るレイジの作業をやりたがっていた。




 クロたちの食事がひと段落すると、


「みんな、花火の用意できたよ」


 ハジメが手持ち花火を持ってくる。


「花火?」


「え、花火できるんですか!?」


「花火!ウチ知ってる」


 花火の遊び方をクロたちに教える。


「ん、面白い」


「わぁ〜、きれい」


「ふはは、ウチ最強!」


「ギンコ!花火振り回さない」


 クロはネズミ花火をジッと見つめ、イモコは線香花火にうっとりし、ギンコはススキ花火を振り回しフミに怒られていた。



 出店の食べ物を堪能し、花火を楽しんだクロたち。


「みんな今日は楽しめたかな?」


「ん、大満足」


「最高でした」


「今度はウチも作るのやりたい」


 どうやら大成功のようでホッとするハジメ。


「クロとイモコはお泊まりの準備しようか。フミ、ギンコ後はお願い」


「ええ、任せて」


「ウチが案内する。クロ、イモコ。こっちこっち」



 残ったハジメとレイジは後片付けを始める。


「レイジさん、今日はありがとうございました」


「おう、いいってことよ。これ位お安い御用さ」


 テキパキと作業を進めるレイジ。


「こっちも礼を言わせてもらうよ。ありがとな」


「え?」


 ギンコがハジメの家に行くようになってから以前はやらなかった家の手伝いを自ら進んでやるようになったという。


 クロたちに感化されてギンコもいい影響を受けているとのこと。


「これからも仲良くしてくれると助かる」


「もちろんです」



 片付けを終え住まいに向かうハジメとレイジ。


 戻るとクロたちは遊び疲れたのか既に寝ておりフミが出迎えてくれた。


 クロたちの満足そうな寝顔を見てハジメはこれからもクロたちが楽しく過ごせるようにしていこうと決意した。


 それが祖母の願いだと思うし何よりハジメもそうしたいと思った。



 クロたちあやかしと過ごす日々。


 楽しい時間はハジメが願う限りこれから先もずっと続いていくことだろう。






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