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11:留守番



「クロ、イモコ。フミの言うことちゃんと聞くんだよ」


「ん、わかった」


「わかりました」


「フミ、二人のことお願い」


「ええ、任せて」


「ハジメ、ウチには何かないの?」


「ギンコも留守番頼んだよ」


「うん!」


「じゃあ行ってくる」


 留守をフミたちに任せるとハジメは出かけて行く。



 ハジメが向かったのはフミの家、九重神社。今日はフミの兄に会いに行く日だ。


 ハジメと二人で話したいということだったのでフミとギンコはハジメの家に来ていた。


「それじゃあ二人とも訓練を始めましょうか」



「ん、難しい」


「フミさん、できました」


「イモコはいい感じね。クロはもう少し頑張ってみましょうか」


 クロはその場で力み唸っているが変化はない。一方イモコは頭のケモ耳と尻尾が消えていた。その姿は普通の人間にしか見えない。



 今クロとイモコが行なっているのはケモ耳と尻尾を隠す訓練。人前に出てもいいようにするのが目的だ。


 現在クロとイモコの行動範囲は裏山を含むハジメの家周辺のみで他の場所に行くことはない。なので現状問題ないが今度どうなるかわからない。


 ちなみにこの町の住人のほとんどはあやかしの存在を認知している。なのでそのままの姿でうろついても問題ないのだが用心するに越した事はない。


 ちなみにギンコは既に習得済みだ。よく神社から抜け出し一人で散歩に出歩いてはフミに叱られていた。



「少し休憩しましょうか」


 クロの進み具合はあまり良くないようだ。


「クロだけ上手くいかない。なんで?」


 珍しく落ち込んだ様子のクロ。


「そうね、ギンコとイモコは元々化けるのが上手い種族だからすぐできるのは当たり前なの。クロは猫のあやかしだから少し難しいのかもしれないわね」


 フミがフォローするがクロの顔は晴れない。


「クロさん、アレをしてみたらいいんじゃないでしょうか?」


 イモコがクロに提案をする。





「ただいま」


 ハジメが神社から戻ってくる。


「お帰りなさい」


「ただいまフミ。あれ?みんなは?」


 フミが出迎えてくれたがクロたちの姿が見えない。


「こっちよ」


 フミに連れられ居間に向かうとクロたちがハジメのことを待っていた。


「みんなただいま」


「おかえり、ハジメ。ん、変身!」


 クロがポーズを構えると頭のケモ耳と尻尾が消える。


「次はイモコとギンコ」


「へ、変身」


「えーっと、こうだっけ?変身」


 続けてイモコとギンコも変身ポーズを決めるとケモ耳と尻尾が消えた。


「おお、凄い」



 クロたちがやっていた変身ポーズは日曜朝にやっているヒーロー番組のものだ。何気なくテレビをつけていたらいつの間にかクロがハマっていた。


 上手くケモ耳と尻尾を消すことができないクロにイモコが提案したのはこの番組の変身ポーズを真似てみることだった。


 結果は大成功。毎回ポーズをとる必要があるがこれでクロとイモコも家の外に出られるようになった。


 ちなみにイモコとギンコはこのポーズを取る必要はないのだが、クロのテンションに巻き込まれ一緒にポーズを決めることになった。



「まだ持続時間は短いからもう少し練習は必要だけれど、ひとまず目標は達成できたわ」


「ありがとうフミ。こっちもちょうど話がまとまったからさ」


 フミの兄との話し合いはうまくいったようで、小規模ではあるが神社でお祭りをやることが決まった。


「まぁお祭りといっても子供会みたいなものなんだけどね。フミにも手伝ってもらうことになるんだけどいいかな?」


「ええ構わないわ」


 身内だけで行うので運営はハジメ、フミ、フミの兄の三人で行う予定だ。


「ねぇ、神社でお祭りやるの?」


 話を聞いていたギンコがソワソワした様子で聞いてくる。


「そうだよ。でも小さいお祭りだからギンコのイメージしてるのと違うかもしれないけど」


「ううん、そんなの気にしない。ウチたちのためにやってくれるんでしょう?それだけで嬉しい」


 クロとイモコもやってくる。


「ハジメ、クロもお祭り行っていいの?」


「わ、私も行きたいです!」


「ああもちろん。みんなの為にやるお祭りだからね」


「やった」


「はぁ〜、お祭りに参加できるなんて夢みたいです」


 バンザイで喜ぶクロとだらしない表情のイモコ。気が緩んだのか二人とも元の姿に戻る。


「クロとイモコはもっと長くその姿になれるように頑張りましょうね」


「ん、頑張る」


「はい頑張ります!」


 フミの言葉に元気よく返事する二人。


「ウチももっと頑張る」


 ギンコは既に問題ないと聞いているがクロたちと一緒に参加するようだ。やる気があるのはいいことだ。



「みんな、おやつの時間にしようか」


 その後はみんなで駄菓子屋に向かいおやつを楽しむのだった。



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