表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/13

10:鉄板焼き



 フミと約束した数日後。季節はもう初夏に入っていた。



「よし、こんなもんかな」


 今日はギンコたちがやってくる日。ハジメが庭で昼食の準備をしていた。


「大きい板。ハジメ、これで料理作るの?」


「ああ、そうだよ」


 ハジメが用意していたのは大きな鉄板。今日はこれで料理をするようだ。


「ハジメさん、こっちの用意もできました」


「ありがとうイモコ」


 イモコが食材を縁側まで運んでくる。あとはギンコたちが来るのを待つだけ。




「こんにちわ!」


 少ししてギンコとフミがやってくる。


「ハジメ、今日は外で食べると聞いているのだけど一体何を作るの?」


「鉄板を使ったメニューだよ。色々用意したから楽しみにしてて」



 早速調理を開始するハジメ。まずは焼きそばを作るようだ。手際よく食材を混ぜていく。


「ん、いい匂い」


「へー、こういう料理があるのね」


「外で焼きそば食べられるなんて夢みたいです〜」


 クロ、ギンコ、イモコの三人は鉄板の前に陣取り調理の様子を齧りつきで見ていた。


「危ないから少し離れててね」


「私も何か手伝いましょうか?」


「そしたらお皿の準備お願い」


「わかったわ」



 完成した焼きそばを皿に盛り付けていく。


「熱いから気をつけてね」


「「「いただきます」」」


 焼きそばを食べるクロたち。


「うまー」


「おいしいです〜」


「うん、中々おいしいじゃない」


 好評なようで良かった。クロたちが焼きそばを食べている間、ハジメは次の料理に取り掛かる。


 今度はお好み焼きを作るようだ。用意したタネを次々と焼き始める。



「ハジメ、まだ何か作るの?」


「うん、まだ時間かかるからゆっくり食べてていいよ」


 ハジメが調理し始めたのを見て急いで焼きそばをかきこもうとするクロにゆっくり食べるよう促す。


「ねえ、まだ何かあるの?」


「あと何品か作るけどギンコはまだ食べられる?」


「ええ、まだまだ食べられるわ」


「クロはいいとして、イモコも大丈夫かな?」


「あの、それってお好み焼きですよね?はい、お腹が裂けても絶対食べます」


「はは、無理しない程度に食べてね」


 今日はやけにテンションの高いイモコ。


「イモコ、今日はなんか変。どうして?」


 様子のおかしいイモコにクロが問いかける。


「すみません、なんかお祭りに参加してるみたいで嬉しくって」



 かつて各地を転々と渡り歩いていたイモコ。その中で夏祭りなどの行事を遠めからよく眺めていたそうだ。


 いつかお祭りの屋台の料理を食べるのが夢で、今回イモコにとってまさに夢が実現した形だったのだ。



「フミ、そういえばこの町ってお祭りあるの?」


「昔はあったけれど今はやってないわ」


「ウチがここに来た時にはもうやってなかった」


 この町では現在お祭りは行われていないそうだ。



「はい、お好み焼きできたよ」


 お好み焼きはいくつかの種類を用意したが、食べ盛りのあやかし三人娘たちはあっという間に平らげてしまった。




「はー、おいしかった」


「こんな幸せなことがあっていいのでしょうか。も、もしかしてこれは夢!?」


 満足そうにお腹を撫でるクロと夢見心地のイモコ。


「焼きそば美味しかった。また食べたい。フミ、家でも作れる?」


「今度用意しておくわ」


 ギンコは焼きそばが気に入ったようでフミにリクエストしていた。



 片付けが終わるとクロたちは遊び始める。


「フミ、お祭りってもうやらないの?」


「この辺りは子供がいないから再開することはないと思うわ」


「そっか…」


 考え込むハジメ。


「ハジメ、一度兄に会ってみない?」


「え?」


「あの子たちの為に祭りをやりたいんでしょう?それなら神社に相談してみたらどうかしら?」


 フミの兄は神社の宮司。確かに話を聞くなら適任の人物だ。


「それに兄も一度ハジメに会ってみたいと言っていたし」


「ありがとうフミ。近いうちに挨拶に行くよ」



 こうして近日中にフミの神社へ行くことが決まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ