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9:勉強会





「クロ、イモコ。フミの言うことちゃんと聞くんだよ」


「ん、わかった」


「はい」


「それじゃあフミ、あとはお願い」


「ええ任せて」


 フミにクロたちのことを頼むとハジメは自室に戻っていく。


「二人とも始めましょうか」




 居間で始まった勉強会。クロたちあやかしに人間社会の一般常識や小学校程度の知識を教えるのが目的だ。


 教えるのはフミ。彼女は教員免許を持っており以前はギンコに教えていたという。ギンコはすでに学び終わっているので今日は留守番だ。


 フミの仕事はあやかし関連と聞いていたがこういったこともしているらしい。



 まずは文字の読み書きから始まる。意外にもイモコはある程度文字を読むことができていた。人に見つからないようにしているうちに看板などから文字を覚えたのだという。


 一方クロは苦戦していた。今まで普通の猫として過ごしていたので当然だ。




 休憩を挟みつつ勉強会は進んでいく。十時から始まりあっという間に十二時前。


「みんな、そろそろお昼にしようか」


 ハジメがクロたちに声をかける。


「お昼!」


 ぐったりしていたクロが元気になる。


「区切りもいいし今日はここまでにしましょうか」


 勉強会はひとまず終了となった。


「ハジメさん、何か手伝いましょうか?」


「イモコ、お皿の準備頼めるかな」


「わかりました」


 イモコが率先して手伝いを申し出る。


「ハジメ、今日のお昼は何?」


「ミートソースだよ。クロ、机の上きれいにしておいて」


「ん、わかった」


 クロはテキパキと片付けを始める。


「私も何か手伝いましょうか?」


「すぐできるから大丈夫」


「そう、なんだか悪いわね」


「お世話になりっぱなしだしね。これ位はやらせてよ」


「お言葉に甘えることにするわ」



 それから少しして昼食の準備は終わり全員揃って食事を始める。


「うまー」


 クロが口をソースまみれにしながらミートソースを夢中で食べる。


「ほらクロ、口汚れてるよ」


 ハジメがクロの口を拭く。その一方イモコは器用にフォークを使いきれいに食べていた。



「…」


「フミどうしたの?もしかしてミートソース苦手だった?」


 黙りこくったフミの様子を見てハジメが声をかける。


「いや、ギンコもこういうのが好きなのかなと思って」


 フミは兄とギンコの三人暮らしでフミと兄は食にこだわりがなく、食事は質素な和食中心で甘味も貰い物の和菓子や果物で十分だという。


 ギンコも今まで不満を言わなかったので問題ないと思っていたが、この前駄菓子を食べた反応を見て我慢しているのではないかと感じたらしい。



「そしたら今度ギンコも一緒にご飯食べに連れてきてみれば?」


「いや…ええ、お言葉に甘えてることにするわ。お願いできるかしら?」


「ああ、任せて」


「みんなでご飯。楽しそう」


「お、お手伝いできることがあれば言って下さい」


 クロとイモコも乗り気のようだ。



 今度はギンコも含めたみんなで食事をする約束をしたのだった。






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